中國から日本への団體旅行が3年半ぶりに解禁となりました。11日早速、団體旅行客が日本へやって來ましたが、“爆買い”も復活するのでしょうか。

■中國から団體旅行　さっそく日本に

10日、中國政府が3年半ぶりに日本への団體旅行を解禁しました。個人旅行はすでに解禁されているものの、団體旅行は新型コロナが感染拡大した2020年1月から制限されていました。個人旅行よりも費用が安くできる団體旅行が解禁されたことで日本への旅行客増加、インバウンドが期待できます。

旅行客：「日本のうどんが大好きです。あと…しゃぶしゃぶも大好き。コロナ後、初めて日本に行くのでとてもワクワクしています。また日本の風景を見て、おいしいものを食べ、日本文化を満喫したいと思います」

中國人観光客といえばこれまで、いわゆる“爆買い”が度々、話題になっていました。中國人観光客はコロナ前の2019年、およそ960萬人が日本を訪れ、およそ1兆7700億円を使いました。

旅行客：「爆買い？たくさん買い物をすること？私はいつも（日本で）爆買いをしてしまいます」

早速、11日朝、北京の空港からおよそ10人の団體旅行客が日本に飛び立ちました。ただし、団體ビザの取得には1週間ほどかかるため、11日に出発した一行は個人ビザでの団體旅行です。

11日、日本への団體旅行が解禁されてわずか一日。中國の大手旅行代理店にはもう多くの問い合わせがあったといいます。

Trip.com　Group　マーケティング部　劉剣英駐日首席代表：「期待は大きい。中國人は日本に行くのが好き。コロナの前に戻りコロナ前を超えると思う」

中國人にとって、日本は人気の旅行先です。

北京市民：「日本は良いね。富士山に行った。キレイで良かった。また行きたいね」

ところが、中國のSNSでは意外な反応が多く見られました。

中國のSNS：「これから日本に行っても混雑していて騒がしい。できれば人気の観光地は避けた方が良い」「明らかに人手不足だ」

中國人に人気の旅行先、日本。中國人が心配しているのは日本の混雑だというのです。

■“爆買い”復活？期待と不安が…

10日から中國で解禁された日本への団體旅行。懸念されるのは、急増が予想される旅行客への受け入れ態(tài)勢です。帝國データバンクの調(diào)査によりますと、先月「人手不足」と答えた旅館やホテルは70％以上になりました。

11日午後1時ごろ、日本の羽田空港に著いた中國人旅行客。まずは箱根に向かうそうです。

きょう日本に著いた中國人観光客：「とてもうれしいです。3年間ずっと來たかったので。きょうはやっと來ることができました」「日本では、食べて遊んでぶらぶらします」

受け入れ側(cè)には期待と若干の不安が入り混じります。調(diào)理器具や食器などを扱う専門店が集まる東京?かっぱ橋道具街です。

ニイミ洋食器店　新實孝代表取締役：「グループで來て色んなものを買うという傾向が多かった。こういったトングはよく売れた。特に金色が好きなので…。バー用のピック、それもちょうど金色がある」

以前はインバウンドで來店する客の6割以上は中國からだったといいます。

ニイミ洋食器店　新實孝代表取締役：「業(yè)務用の飲食店が完全に戻っていないなかで、インバウンドの観光客に買ってもらえるのは非常にありがたいことだと思う」

一方、懸念はと言うと。

ニイミ洋食器店　新實孝代表取締役：「いまの（人手の）狀態(tài)で回せるかとなるとちょっと心配な部分もある」

新宿の高島屋にはインバウンド客とみられる人の姿もちらほら。

高島屋　新宿店　企畫宣伝部　鈴木太嘉雄課長：「コロナ禍前の2019年と比較すると來日客、売り上げは8割くらい戻ってきている」

ただ、本番はこれからです。

高島屋　新宿店　企畫宣伝部　鈴木太嘉雄課長：「中國から大きな塊（団體）での來日が想定されるので期待感を持って商品、サービスを拡充していきたい」

中國人観光客の求めるものは変わってきているといいます。

高島屋　新宿店　企畫宣伝部　鈴木太嘉雄課長：「以前は初めて來る日本ということもあり、爆買いという購買行動を取っていたと思うが、（今後は）日本らしいもの、本當に良いものを買っていく購買（行動）になると思う」

■なぜ今？中國政府には思惑が？

北京の日本大使館関係者も「非常に驚いた」というこのタイミングでの団體旅行の解禁。その背景には中國國內(nèi)の事情があるといいます。

中國総局　冨坂範明総局長：「実はいま、中國國內(nèi)にもオーバーツーリズムの問題があります。コロナで海外に行けなかったこともあって、中國國內(nèi)の観光地がかなり混雑しています。『人が多すぎる』『宿が取れない』そういった不満が中國各地で渦巻いている。今回、海外の団體旅行を解禁することで國內(nèi)の不便を解消し『不満を海外に逃す』そういった思惑も中國政府にはある」

中國で起こっている“オーバーツーリズム”。今度はその受け皿になる日本での“オーバーツーリズム”が懸念されているのです。