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雪跡

2023-03-12 15:35 作者:夏音諸汐  | 我要投稿

拝見

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  乙坂未咲さん。

  最近元気にしていますか?

  春になったとは言え、こっちはまだちょっと寒い。風が強くなったら、服を多めに著てないと、風邪を引きやすくなる。今日はコート、明日はシャツ、著替えるのは手がかかる。あ、そっちはずっと寒いだろう?私は傍にいなくて、面倒を見るのは無理だから。

  昨日、隣に住んでる夏目さんから少し焦げ目がついたエッグタルトをもらいました。彼女は案外根性ありますね。年越しの頃にオーブンを買った後、夏目さんは時々“食べ物を無駄にしたくない”と言う理由で、失敗作のケーキをうちに持って來て、そして一緒に食べた。味のほうは確かに腕が上がってるだけど、なんて言うか、外観見た目があまり良くない?そうだ、私もオーブンを買ってみよう。次に帰ったら、エッグタルトを焼いて食べさせてあげる。先に言っておくけど、焦げ目に対する文句は無しで。

  そうそう、この間バス停で宮子と會った。彼女は佐藤と手を繋いて歩いてい、私を見た彼女の反応はどうだったと思う?見かけた瞬間、すぐに手を引っ込めた。あれからもう何年経ったけど、相変わらず知り合いの前で恥ずかしがり屋になる、「雨宮部長」だった。ふふ、佐藤がどれだけ悲しかっただろう。こういう話を手紙に書くと、不意に笑ってしまう、私も他人のことを言う資格はないかもしれません。だって、こうやって昔みたいに手が掛かる後輩の面倒を見てるじゃないですか?

  バス停の話をすると、當然去年に起こったあのことを無視できないあなたがどんな表情をしているのが想像できる、面倒そうにしてるに決まってる。でも仕方ない、あの時の君はとっても可愛かったから。傘を持ってないなら、近くのコンビニに入って雨を避ければ良かったのに、ぼんやりとケーキを持っていつもの場所に立ってた、一體どういうつもりなのよ。翌日、やっぱり風邪を引いた。まったく、誕生日の日にも心配をさせて。あんたね、いつになったら私みたいな大人になるですか。あまり一人で抱えすぎないで、何があったらちゃんと話しよう、私みたいに辛抱強い人は少ないと思う。

  以前は特に何とも思ってなかったけど今時貴方のドレスが數(shù)え切れないほどあると感心した。毎回干すのとっても面倒です。白色、水色、スカイブルー、そして淡い緑、一緒にすると何だか夏みたい。青い空、白い雲(yún)、溢れ出す緑。貴方の考えは當然バラバラだけど、ドレスを著るとレディに見える。そうそう、偶にはわたしに貸してくれないかな?どうせクローゼットに収納するだし。ベランダにある花の世話を私に任せてください、毎日水をやりますから。それと、仁菜の事だけど、あいつは最近毎日私の布団に潛り込んで寢る。貴方が帰ってくる頃には、私のほうが仁菜と親しいかもしれない。

  さて、やかましい言葉はここまで。體に気をつけて、あまり徹夜しないで、毎日の食事を忘れないで下さい。

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                             八木橋流歌

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拝啓:

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  八木橋流歌さん。

  どうしていつも同じ質(zhì)問をしてくるですか?

  私は當然元気です。こっちでうまくやりますので、あなたからの心配はご無用です。一人暮らしはとっても心地よいです。ベッドは大きくて柔らかくて、騒がしいアラームもなくて、週末のいい夢を邪魔する人もいない。もっと服を持ってくれべきだったとは後悔してる。先月東京に出張したとき、ついでにミズキと會った。最初は別人だと思った。降ろした髪に、白いローヒールと薄い茶色の木綿ドレスの著飾る、「溫厚」という言葉はまるで彼女のために作られたみたい。時々思うだけど、年を取ると、みんなは無意識に大人っぽいスタイルに傾くじゃない?あ~~~、とっても悔しい!これはもうだめ、私がよく著てるドレスを幾つか選んでこっちに送って、他のドレスは君に貸しても構(gòu)わない。汚れたら、洗うのは私じゃないから。

  それと、あの件は禁止事項です!まだこの話をしたら、今後の誕生日ケーキは無しで!絶対にね!とは言っても、今年誕生日ケーキは食べられないです、ちょっぴりの仕置きだと思ってください。

  オーブンですか、あなたの腕前じゃお世辭でも言えないですよね…夏目さんに注意しなければいけないみたい、早くこの考えをやめなさいって。そういえば、彼女はまだ一人なの?性格は結(jié)構(gòu)いいと思うけど、どうして彼氏を作れないだろう?雨宮をからかう暇があるなら、夏目さんのためにいい男を物色してやってくれ。そんなに食べ物を貰っただから、それくらいのことは手伝うべきでしょう?貴方は借りっぱなしの人じゃない、私はしっかりと知ってます。

  仁菜と君のほうが親しい?冗談をやめなさい、ありえない。最初にあいつを拾ったのは私だ。貴方は『面倒』と私に丸投げた。仁菜は普段だらだらだけど、賢いから。誰が優(yōu)しくしてくれたとか、仁菜は全部知ってます。動物は人間よりシンプルですから。私が帰ったら、あなたを待っているのは捨てられた運命のみです、ふん。そうそう、朝起きたら、布団の中に毛があるかもしれない、チャックを忘れないでください。溜まったら、処理するのはとっても面倒だから。

  とにかく、この私、あなたからの心配はご無用です。自分を磨く方法をもっと勉強しなさい。服を買うには私が協(xié)力しなければならない、まったく、私あなたの母親じゃない。何があったら、メッセージを送ればいいじゃないですか、手紙って、不要なことに真剣すぎる。もういい、この後用事があるから。

                              乙坂未咲

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拝啓: 

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  乙坂未咲さん。

  この手紙を書いてるとき、仁菜は私の膝晝寢をしている。今日天気がいい、午後になったら、仁菜を連れて公園に行く予定です。いつも家に籠って、段々怠いになる気がした。週末、晝ご飯を食べなきゃいけないって起きるどこかの馬鹿みたい。でも、仁菜のほうが大人しいです。それに、好き嫌いがない、なんでも食べる。

  ミズキの事ですが、大人っぽいスタイルに傾くの理由は多分年のせいじゃないですよ?こういう言葉があるでしょう、人を好きになれば、無意識にの人のために変わる。彼女は人生を託したい人を見つけたのかもしれない。戀愛に行いては、あなたはいつも大雑把だから、分からなくてもおかしくない。夏目さんより、あなたのほうが心配です。

  階下の木槿はここ數(shù)日咲いています、幾つか白いと桜色の花を摘んだ、乾かして栞にした。そうして、あなたが大好きの本の中に挾んだ。內(nèi)容は面白いですよ、私は毎日寢る前に少し読むようになっ、今はもう全部読みました。詩人、剣士、哲學者、これら縁がなかったみたいの肩書同じ人の身に付けるなんて、劇作は思ったより面白いかも。先週図書館の前を通り過ぎた時、偶然真夜を迎えに來た藤木と會った。私は笑いながら尋ねてみた、まだ真夜と結(jié)婚しないの?彼は私をちらっと見た、ゆっくりと答えた?!夯橐鰧盲悉趣盲颂岢訾筏?、結(jié)婚式だけ…』私たちにも教えてくれないなんて、水臭い過ぎるじゃないですか!藤木が言ってた、來年結(jié)婚式を挙げるつもりです。あなたが帰ったら、一緒にドレスを選びに行きましょう。もしかしたら、あんたが憧れる千尋先輩にも會えるかもしれない。よく考えて見れば、高校卒業(yè)したから、クラスのみんなと會うことがほとんどなかった。あいつらは今元気だろうか

  そうそう、そっちに送ったドレスを著ましたか?送る前にわざわざ洗って、ついでにアイロンをかけた。最初は失敗したのか怖くて、ネットの動畫に従って何とかやり遂げた。あの白いレースが付いたワンピースは30分くらいかかりました。あなたが帰ったら、ご飯をご馳走してください、場所については考えがあります。この前話したあの子を覚えていますか?宮子は去年時々口にした泉燈里、前任天文部の部長、あなたの後輩です。近くに新しいファミレスが出來て、彼女は夏休みの間にそこでバイトをしていました。雨宮とは何回行った事があって、飯の味がなかなかいいです。お気に入りの料理があるけど、今は教えない、その時の楽しみで。

  コートは要りますか?間もなく冬だし、あなたが持ってくるのは夏と秋の服だらけです。あなたは寒さに弱い體質(zhì)だから、風邪をひかないように注意しなきゃ。

  クリスマスプレゼントは何が欲しい?メールで教えて、私が買ってそっちに送ってあげる。

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                             八木橋流歌


  天気予報によると、今日は雪が降るかもしれない。私は出かける前にわざわざもう一つコートを羽織っている。そのおかけで、ちょっぴり太ったように見える。クリスマスの日だから、普段は寂しい街でも、今は人でぎっしりだ。店の放送から定番ソングが流れ、少し歩けば目いっぱい飾られたクリスマスツリーもに入る。目的地はあまり遠くないですが、そこに著いた時、私の手には既にチラシがぎっしりでした。

  「よ、約束の時間ぴったりだね」

  橫から誰かがの肩を叩く。

  振り返ると、夏目さんはいつもの笑顔を浮かべながらこっちに視線を送った

  「ええ、出かける前に服を選ぶだけでも30分掛かるあいつじゃないから」

  「あ、それって乙坂のこと?ちょうど去年のこの頃ですよね、彼女は転勤で札幌に行っ、そろそろ帰ってくるでしょう?」

  「…かもね、私に言ったことない」

  秋に書いたあの手紙を送った後、未咲の返信はまだ屆いていない。往復のメールも友達の挨拶に過ぎない。

  「そんな事は後で考えればいい、今日はせっかくのクリスマスだから、仏頂面をやめて」

  夏目さんはさらに強く力で私の肩を叩いて、「モンブラン」の扉を開けた。

  「そんなに分かりやすですか?」

  「超~やすです」

  「えっ…」

  少し呆れた。

  この後、私は夏目さんについて店に入った。


  こっちに來るのも一年ぶりかな。

  私は手すりに縋って、麓の街並みを眺める。

  今日はクリスマス、どこにも賑やかで幸せの雰囲気が溢れる、ここだけは靜かで人は少ない??激à胜堡欷肖胜椁胜い长趣ⅳ盲?、正面から歩いてきた子供連れ家族やすれ違うカップルに私はイライラしていた。少し重い足取りで騒がしい人込みをすり抜け、お祭り騒ぎになった街を遠ざかった。私はお土産がいっぱい入った袋を提げって、久しぶりの大吉山を登った。

  馬鹿と煙は高い所が好き。

  流歌はいつもこの言葉で私をからかう、私は反論する気ない。私にとって、山頂は頭を空っぽにして考えるのに適當の場所だ??栅悉蓼毪亲苑证螝莩证沥虮恧工瑜Δ恕⒈“丹铺枻姢à胜?。

  私と流歌は、いったいどんな関係だろう

  私は顔を上げて、灰色の空を見つめる。その時、頭の中に葉月の姿が浮かんだ。一人で留學している彼女は、夜になると寂しく思うだろうか?流歌の手紙が屆いた翌日、急に大雨が降った。深夜、騒がしい雨の音に起こされた後、私は薄いパジャマを著てベランダに行った??栅?/span>降る雨を見て、言葉にならない寂しさを感じた。今までこんなに流歌の笑顔と溫もりを戀しがる事無かった。

  「あ……」

  胸に秘めた疑問応えるように、白い結(jié)晶がひらひらと舞い落ちてきた。私は手を伸ばし、一つ受け取る。そうして、ゆっくりと手のひらに収め。まるでかけがえのない寶物を貰ったかのように、胸に置いた。


  「じゃあ、先に帰るよ」

  夏目さんはマフラーを巻きながら、私に軽く手を振る。

  「ええ」

  「そうそう、ケーキを焼いたんだ、帰ったら忘れないでね」

  「まだその一口で食べるケーキ?」

  「いいえ、今回挑戦したのは…」

  夏目さんは頭上の看板を指した。

  「モンブラン?」

  「そう」

  「自分の胃が心配になってきました…」

  「まだそんなことを、そろそろ私を信用してよ」

  「してない」

  「ちぇ…」

  夏目さんは不満そうに唇を尖らせて、足早に歩いて行く。でも、すぐに振り返って、笑いながら「感想を期待しますよ」という言葉を殘した。その後、彼女の姿人ごみに混ざて消えた。

  「…相変わらずだな」

  あの性格いったいどこがいいだか?彼氏を見つける気はないじゃなくて、男はみんな彼女に怯えて逃げたでしょう。この場にいない未咲に心の中で文句を言う。

  そう言えば、あいつは今どこで何をしているだろう?去年のクリスマス、未咲と一緒に神社に行った。未咲の話によると、大晦日に初詣する人が多すぎる、それに寒いし、家に潛り込んでテレビを見るほうが楽だ。二人で參拝する時、私はこっそりと目を開けて隣に立つ未咲をちらりと見た。彼女は両手合わせて、普段はあまり見たことがない真剣の表情を浮かべて、綺麗なまつげが寶石のような瞳を覆っていた。マフラーの下に隠した顔がほんのり赤くなった、つい見とれてしまた。大體の場合、未咲は理解しやすい人。でも、わからない時もある。例えば、あの時にかけた願い。私は何度も尋ねたが、未咲はいつも口をつぐんでいた。


  「これって、バカと同じじゃない?」

  麓に立った私は、自嘲の言葉を呟いた。特に何の理由もない、ただ一時の気まぐれに過ぎない。手を伸ばして、コートに積もった雪を振り落とした。私は、長いとは言えない坂道を登り始めた。


  気のせいかもしれない、足が軽くなっ気がした。私は袋を手に持って、のんびりと階段を降りる。雪はだんだん積もってきた、世界に純白を加えた。たまに人とすれ違って、薄い積雪の上に様々な足跡が殘った。違う場所から來ても、同じ方向へ伸びていた。

  どこが始まり、どこが終わり、その答えを知る人はこの世に存在しない。

  私は足を止め、振り返って、自分が殘した痕跡を見つめる。一列歪んだ足跡は、かつて順風満帆ではない人生みたい。心のどこかで、取り返しのつかない遺憾が山積みになってきた。すれ違った事はたくさんある、今はもう、後悔しても仕方がないという感覚を味わいたくない。

  私は再び足を踏み出した。透き通った雪が髪と肩に降り注いでいる。


  私は顔を下げて、自らの爪先を見つめる。

  來た道を沿って引き返すほうがいいじゃないと、頭の中で考えている。夜は深い、雪も酷くなった。そもそも、用事があるからって、ここに來たわけでもないし。一つ、また一つ正しいそうな理由を探している。でも、足は地面に固定したみたいに動かない。

  そう、帰ったとしても、何の意味もない。

  振り切れない寂しさが、私を底のない深淵に引きずり込んでいく。

  墮落寸前、とある手が私を引き上げた、この手の持ち主がこれまで何度もしたことのように。

  「まったく、こんな寒い日にわざわざこんなところまで來てるの?」

  急にを上げると、數(shù)歩離れた階段に、未咲が立っていた。

  「何で黙ってるの?」

  私は笑いながら、未咲の前へと歩いた。

  「キミを待ってるから」

  そうして、未咲が提げていた袋に手を伸ばす。

  「ちょうど夏目さんがケーキを焼いたんだ、帰っ一緒に食べてみましょう」

  階段を幾つか降りると、彼女がついてこなかったことに気付く。振り返って後ろを見ると、未咲がまだその場に立っていて、左手を伸ばした。

  彼女の意図、すぐには分からなかった

  「何だ、嫌なの?こんな寒い日に、ポケットに入れたほうがましだわ」

  未咲は口をへの字に曲げていた。微動だにしない左手に、雪が降りている。

  「まさか、そんなことできるわけないでしょ」

  私はまともじゃない笑顔で、未咲の手を握る。そして、階段を登って彼女の傍に立った。

  「背が伸びた?」

  「冗談をやめてくれない?」

  「じゃあ、こういう時は何と言えばいい、『ふつつかものですが、よろしくお願いします』とか?」

  「お前…!」

  未咲の顔が急に赤くなった。私は彼女の顔に寄り添って、煽るみたいに言い続ける。

  「顔が赤いね、寒いからではないでしょうか」

  「余計なお世話です」

  もし時間を戻すことができたら、私は絶対にほかのやり方をする。だって、この後の未咲の挙動は、完全に予想外だった。


  驚愕の顔をした流歌が私の目に映った。

  流歌の唇がひんやりとしてて、ちょっと予想外だった。

  「流歌」

  真剣に彼女の名前を呼ぶのはいつぶりだろう?私は少し考えた後、追求することを辭めた。

  「一緒に帰ろう?」

  「……」

   流歌は黙ってまま、返事ない。

  彼女の手を握ってこの場を去ろとしていたが、歩けるのが一歩だけ。流歌はまるで凍りついたように、じっとその場に立っている。こういう可能性も考えていたけど、やっぱり心のどこか痛みを感じる。私は思わずため息をついて、名殘惜しそうに流歌の右手を放した。

  所詮は高望みだった。

  よりにもよってこんな時に、記憶が走馬燈のように頭の中に浮かんでくる。數(shù)年前のあの午後のことが思い出した。優(yōu)しい夕日が教室に満ちていた、私は黒板を拭、流歌は椅子の背に持たれ、笑顔で私を見つめた。何を笑っているのかと尋ねてみた、流歌は私が飛び跳ねて一番上のところを拭いた様子が可愛いって答えた。その後、チョークを幾つか投げた事も私がしっかり覚えていた。そのうちの一つしっかり流歌のおでこにぶつかっていた。それと、高校の卒業(yè)式の後、私が隅に隠れて泣いた。この事を知ているのは流歌だけ。他人の目の前弱いところを見せるのは滅多にない、流歌は特別の人です。

  私は黙ってまま階段を踏んで降り、寒さに弱いのに、左手をポケットに戻のも忘れた。いち、に、さん…階段を數(shù)えながら、流歌と段々遠くなる距離を計算する。

  後ろに殘ったのは相変わらずの、孤獨の足跡だ。


  こういう可能性があるかもしれないと考えてはいました。

  そっと指を唇にかけて、一瞬だけの溫もりを味わてみた。自分は未咲の一時的な避難所に過ぎない、彼女の羽が大きくなったら、手放す時だ。私はいつもこうやって自分を制限している。未咲の居場所になる自信が、ない。

  でも、彼女の軽いキスが、選択を無理矢理私の前に置いた。

  口を開けて、何か言うつもりだが、手のひらから無くした溫もりと遠くになった未咲の後ろ姿が私に意識させた。どんな言葉でも、今は無力だ。私は走り出して、ぶつけるように未咲を抱きしめた。

  「これが、あなたの答えなの?」

  「…ええ」  

? ? ? ? 今でも自信がないけれど、私は選択をした。未咲の手を取って、前へ歩いて行く。白い世界に、もう一人ぼっちじゃない足跡が二つ増えた。


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