秒速5センチメートル 1.3
とにかく。明里はその時(shí)、いちめんに舞う桜の花びらを雪のようだと言ったのだと思う。ども僕にはそうはみえなかった。その時(shí)の僕にとっては桜は桜、雪は雪だった。
「ねえ、まるでゆきみたいだね」
「え、そう?そうかなあ....」
「ふーん。まあいいや」と明里はそっけなく言ってから、ぼくより二歩ほどさきでくるりと振り向いた。栗色の髪の毛が空を映してきらきらと光り、そしてふたたび謎めいた言葉を口にした。
「ねえ、秒速五センチなんだって」
「え、何が?」
「なんだと思う?」
「わかんない」
「すこしは自分で考えなさいよ貴樹(shù)くん」
そんなことをいわれてもわからないので、僕は分からないと素直に言う。
「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速五センチメートル」
びょうそくごせんちめーとる。不思議な響きだ。僕は素直に感心する?!袱诈`ん。明里、そういうことよくしってるよね」
ふふ、と明里はうれしそうにわらう。
「もっとあるよ。雨は秒速五メートル。雲(yún)は秒速一センチ」
「くも?くもって空の雲(yún)?」
「空の雲(yún)」
「雲(yún)も落ちてるの。浮いているように見(jiàn)えるだけ。雲(yún)の粒はゆっくり落ちながらだんだ大きくなって、雨や雪になって、地上に降るの」
「....ふうん」と僕は本當(dāng)に感心して空を眺め、それからまた桜を眺めた。明里のころころとした少女らしい聲で楽しげにそういうことを話されると、そんなことがまるで何か大切な宇宙の真理のように思える。秒速五センチメートル。
「....ふうん」と、明里が僕の言葉をからかうように繰り返し、唐突に駆け出した。
「あ、待ってよ明里!」僕はあわてて彼女の背中を追う。
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