石のお話
「だからもっと輝かしくでなくちゃ......」
「わたしのように、君を愛でるばかり人前では一度でも傷つけたことがないだろう?」
いつもの演説を続けながら商人は自慢げに石にこう言った
「一度もないわけではありません、あの時だって全員の前で.......」
ずっとだんまりしてた石は何故か聲が出た
「なに?ありえん!全く見覚えがないんだ。いったいどういうことだか説明しろ」
「それは......」
一瞬理由を思い出さなかった石
だが思い出したところで
「.....何でもありません」
「言え」
「大したことではありません」
商人が気になったのは情報であって自分のことではない
それを百も承知の石は、言わないと怖い目にあうと知ってた
それでも、石はその傷についてなにも言いたくはなかった
「言えよ!またそうやって私を苦しめる気か?。俊?/p>
商人の聲が途端に大きくなった
「些細なことです、言った所で何になるでしょう」
この人が欲しがったのは情報だけ
それで値段がつけられ、価値を決められるから
もう曝け出したくない傷痕でさえも
「ここ數(shù)年記憶力がなあ....正直に言いな!でなきゃ私の身が持たん!」
「言いたくありません、大事でもないのでどうか話の続きを...」
思わず傷のこと言ってしまったことに後悔した石
「まだ言わんのか!これ以上言わないと追い出してやるぞ!」
息が荒れ始めた商人
「もういいでしょう」
自分の箱に逃げようとした石は怖い目をした商人がしがみついた
何度も
何度も
何度も
もがいて
泣き叫んで
逃げてつかまれたら最後
石は初めて
人前で自分を割って傷痕を見せた
それをつけた商人の一言は意外ではなかった
「ハ??!ふざけたことを......」
これまで聲高く叫んでた商人の表情はすっかり冷靜になった
「人前で傷つけたら、私の商売仲間が逃げ出した貴様の様子を見に行ったって?」
「馬鹿馬鹿しい」
こう吐き捨てた
どうやら何か思い所があるところが
その事自體なかったような口振り
「しかも理由ってのは貴様に私と貴様を買い取った商人の仲を割れそうとした容疑がかかったって?」
「とっくに縁を切れたやつとの仲だと?戯言を?qū)嫟蒲预ā?/p>
そう、縁を切れたことは後から知ったことだった
だから石はかえってわからなかった
商人は人前で其奴を罵った時星空に気を引かれてだけで
何故反論しなかったと商人にそんな容疑をかかされた
理屈が滅茶苦茶で、傷が深かった
だから全部忘れようとした
辛くて誰にも言えない痛みだけを抱えて
だが何によりも
自分でさえ忘れた傷を
もう一度自分自身で抉り出さなければないことが
それをつけた本人に爪弾きにされることが
自身の価値に苦しめられた人に傷も涙も冷やかされることが
ただただ
悲しかった
そしてまた
「すまないね、君の価値が下がることでここ數(shù)年気が気じゃなかった」
「いえいえ、あなたがそれでいいのなら」
「なかったことにしよう」
「ええ」
「あなたの思い通りに」