二匹の欲張り子グマ
むかしむかし、深い森のはずれに、お母さんグマと二匹の子グマの親子が住んでいました。
子グマたちは大きくなると、世の中へ出て幸せを探そうと思いました。
それを知ったお母さんは、子どもたちに言いました。
「どんな事があっても、けんかをしてはいけませんよ。けんかをすれば、必ず損をしますからね」
「大丈夫。ぼくたちは仲良しだから、けんかなんかするものか」
二匹の子グマは、元?dú)荬瑜盲顺訾堡蓼筏俊?br>旅を続けているうちに、お母さんにもらった食べ物がなくなってしまいました。
「兄さん、ぼく、もう歩けないよう。朝から何も、食べていないんだもの」
弟グマが、泣き出しました。
「ぼくだって、同じだ。腹が減って、もう死にそうさ」
兄さんグマも、涙をこぼしました。
それでも二匹は、歩き続けました。
すると道のまん中に、赤い大きな丸い物が落ちていました。
「何だろう? 良いにおいがするけど」
子グマたちは、急いでそばへ行ってみました。
するとそれは、大きなチーズではありませんか。
二匹は大喜びで、チーズを分けようとしました。
「では、ぼくが二つに分けてやるよ」
「いやだ。そう言って兄さん、大きい方を取るつもりだろう」
「なにを言う。お前こそ、大きい方を取るつもりだろう」
二匹はチーズをそばに置いて、口げんかを始めました。
するとそこへ、キツネのおばさんが現(xiàn)れました。
「まあ、まあ、子グマさんたち。何をそんなに怒っているの?」
そこで子グマたちは、わけを話しました。
するとキツネは、笑って言いました。
「おや、そんな事だったの。それなら、おばさんにチーズをかしてごらん。上手に分けてあげますよ」
「ありがとう。でも、ちゃんと同じ大きさにしておくれよ」
「そうだよ。同じ大きさだよ」
「はいはい、ちゃんと同じ大きさにしてあげますよ」
キツネはチーズを受け取ると、パカリと二つに割りました。
すると片一方が、どう見ても大きいのです。
「あっ、大きさが違うよ」
「ちゃんと、同じ大きさにしてよ」
子グマたちが文句を言うと、キツネはニヤリとわらいました。
このキツネはずるいキツネで、わざと片方を大きくしたのです。
キツネは、子グマたちに言いました。
「坊やたち、さわがないで大丈夫よ。おばさんが、うまくしてあげるから」
キツネは大きい方にガブリとかみついて、チーズを食べてしまいました。
「あっ、そっちが小さくなっちゃった!」
「平気、平気。それなら今度は」
キツネはまた、別の方をかじりました。
するとそっちが、小さくなりました。
「あっ、今度はそっちが小さくなっちゃった」
「あら。それならこれで」
キツネはそのまま、あっちをかじったり、こっちをかじったりです。
そしてやっと同じ大きさになったときには、チーズはちっぽけなかけらになっていました。
「さあ、これで同じ大きさよ。では、さようなら」
キツネは大きくなったお腹をさすると、さっさと行ってしまいました。
おしまい