【GPT機翻】戰(zhàn)國小町苦勞譚 (戦國小町苦労譚)- 127 [千五百七十五年 五月中旬]
書名 戰(zhàn)國小町苦勞譚
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作者: 夾竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻譯工具:ChatGPT
*機器輸出的翻譯結(jié)果UP未做任何修正,僅供試閱。標題章節(jié)號為原翻譯版的順延。*
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千五百七十五年 五月中旬(*原文網(wǎng)頁序列號 - 144)
靜子は京に著くと、一先ず自らの京屋敷へと身を落ち著ける。訪問の先觸れを出し、真っ先に京都所司代を務(wù)める村井(むらい) 貞勝(さだかつ)と約束を取り付けた。
靜子到達京都后,先回到了自己的京屋安頓好。接著,她向村井貞勝,也就是京都的代官,發(fā)了拜訪的邀請,安排好了會面。
村井は古くから信長に仕える行政官であり、織田家と朝廷との橋渡しを擔い、禁裏の修復(fù)事業(yè)や二條城の造営、公文書調(diào)査から係爭の調(diào)停など、彼が果たしてきた役割は決して小さいものとは言えない。
村井是一位長期為信長服務(wù)的行政官,他擔任著織田家和朝廷之間的橋梁作用,參與了禁裏的修復(fù)工作、二條城的建設(shè)、公文書調(diào)查以及糾紛調(diào)解等多項工作,他所扮演的角色絕非微不足道。
京における行政全般を取り仕切り、信長の名代とも言える信任篤い村井を指して、ルイス?フロイスは『都(京都)の総督』と稱した。
指向負責京都行政的村井,他是信長的代表,并受到充分的信任。路易斯·弗洛伊斯稱他為“京都總督”。
村井が『都の総督』ならば、靜子は言わば『尾張の総督』であり、互いの任地が決定的に離れていたため、今まで直接交流を深める機會に恵まれなかった。
如果村井是“都的總督”,那么靜子可以被稱作是“尾張的總督”。由于雙方的任職地點明顯分離,他們一直沒有機會直接加深交流。
今年は幸いにして靜子が京へと足を運ぶため、急遽ではあったが會談を持つことが可能となった。
今年幸運的是靜子能來京都,我們得以緊急舉行會談。
「此の度は急な申し出にも関わらず、お時間を割いて頂き感謝しております」
「盡管這次是突然的請求,您抽出時間,我感到非常感激?!?/p>
「何を仰います。靜子殿と言えば、上様が尾張をお任せになる程のお方。お噂はかねがね伺っておりまする」
“您有何吩咐。說到靜子殿,她可是上様信任把尾張交給她負責的人物。她的名聲早已廣為流傳。”
「ははは、お耳に入っているのが良い噂ならば構(gòu)わないのですが、若輩者ゆえ不手際も多く、お聞き苦しい話などもあったのではないでしょうか?」
“哈哈哈,如果您聽到了好的傳聞,那就無妨了。但是由于年輕的原因,可能會有許多疏漏和令人不快的話題,您覺得這可能會讓您不舒服嗎?”
下手をすると祖父と孫程にも歳が離れた靜子を相手に、村井は下にも置かないもてなしで遇し、柔らかい物腰で応対していた。
遇到靜子這樣年齡差距很大的祖父和孫子,村井對她采取了非常熱情的款待,非常溫柔地對待她。
それに靜子が京に滯在することは、村井にとってもメリットがあった。靜子が率いてきた軍は、靜子が京に滯在中、交替で休暇が與えられる。
此外,靜子在京城停留也對村井有利。靜子率領(lǐng)的軍隊在她逗留期間,可以輪流休息。
とは言え、緊急の召集に即応できねばならないため、遠く離れることなく、京のあちこちで無聊(ぶりょう)を慰めることになる。
然而,由于必須隨時響應(yīng)緊急召集,因此必須在京城內(nèi)四處尋找樂趣來消磨時間。
休暇中とは言え、精鋭の軍屬であるため物腰からして一般人とは異なる。必然的に悪人は鳴りを潛め、京の治安は引き締められることになる。
盡管休假中,但由于是精銳的軍屬,舉止言談與普通人不同。惡人自然而然地變得小心謹慎,京城的治安也被加強了。
また靜子軍は羽振りが良い事でも有名であり、末端の兵にまで比較的金が行き渡っており、財布の紐が緩い。
同時,靜子軍以其富有和向下級士兵分發(fā)相對可觀的金錢而著名,因此他們的錢袋子非常松散。
兵たちは珍しい京の土産を買ったり、京の街並みや見世物などを冷やかしたりして金を落とし、時ならぬ好景気に街は沸いていた。
士兵們購買了稀有的京都特產(chǎn),嘲笑著京都的街景和景點,花費金錢,城市因此熱鬧起來,時至今日的景氣非比尋常。
「さて、早速鴨川(賀茂川)普請へ黒鍬衆(zhòng)を派遣していただき、ありがたく存じます」
“那么,我們立即將黑鋤手派往鴨川(賀茂川)的普建工地,非常感謝。”
「いえいえ、鴨川の安堵は京の重用事。お力添えとなったのなら幸いです」
"不用謝,鐮倉的安堵與京都的重要事務(wù)有關(guān)。如果我能幫上忙,那就再好不過了。"
鴨川は過去に何度も氾濫を起こした暴れ川である。
鴨川是一條曾多次爆發(fā)洪水的狂暴河流。
そもそも川自體に急な勾配が付いており、自然と流速が上がることに加え、水源地である北山の樹木が伐採され保水力が落ちた事が原因とされる。
首先,河道本身具有陡峭的坡度,自然流速就會增加,加上北山的森林被砍伐,水源容量降低,這是導(dǎo)致問題的原因。
平安末期に於いて、絶大な権勢をふるった白河法皇でさえも、思い通りにならないものとして『加茂河の水』を挙げたほど、時の支配者をして手を焼かされていた。
在平安末期,就連擁有巨大權(quán)力的白河法皇,也像對待“加茂河的水”一樣對待時代的掌權(quán)者,無法讓他如愿以償,讓他感到非常棘手。
余談だが現(xiàn)在では鴨川は賀茂川との字を當てることがある。読みは同じだが表記が異なる理由は、上賀茂神社(かみがもじんじゃ)と下鴨神社(しもがもじんじゃ)に起因する。
順便說一下,如今有時把鴨川寫成“賀茂川”的字。雖然讀音相同,但拼寫不同的原因是因為上賀茂神社和下鴨神社。
それぞれの神社が、己の支配域を流れる川を神社名に因んで賀茂川、鴨川と呼んだため、現(xiàn)在の加茂大橋(かもおおはし)より上流を賀茂川、下流を鴨川と呼び分け、総稱を鴨川と表記している。
每個神社都因其支配區(qū)域流經(jīng)的河流以神社名稱命名為賀茂川或鴨川,因此現(xiàn)在稱上游為賀茂川,下游為鴨川,并統(tǒng)稱為鴨川?,F(xiàn)在的加茂大橋以上稱賀茂川,下游稱鴨川。
村井の語った普請とは、川底の掘り下げと堤防の構(gòu)築、老朽化の進んだ五條大橋と四條大橋に加え、史実に於いて江戸時代に公儀橋(こうぎばし)に指定された三條大橋の改修を指す。
村井所說的普修工程包括挖掘河床和筑堤防,除了五條大橋和四條大橋這兩座老化嚴重的橋梁之外,還包括修繕江戶時代被指定為公家橋的三條大橋。
帝のおわす御所から遠いとは言え、戦略的価値を有する橋の工事を任されるということは、信長の権力もさることながら、それを現(xiàn)実の計畫へと落とし込める村井の調(diào)整力の高さを示していた。
從天皇的御所來說雖然很遠,但擔任修建具有戰(zhàn)略價值的橋梁工程,不僅顯示出信長的權(quán)力,也顯示出能將其轉(zhuǎn)化為現(xiàn)實計劃的村井的協(xié)調(diào)能力的高超。
橋を整備し、交通の便を良くすることは防衛(wèi)力の低下を招くが、元來京は攻めるに易く、守るに難い土地である。
"修筑橋梁,改善交通便利度會導(dǎo)致防御力下降,但京都原本就是攻城易守難的土地。"
京まで軍勢が攻め込んできた時點で詰みであり、信長は最初から京での防衛(wèi)戦を考えていなかった。
當軍隊攻入京城時,信長就已經(jīng)陷入了絕境,他并沒有考慮過在京城進行防御戰(zhàn)。
その後も村井との會見は終始和やかに進行した。互いの近況を語り、それぞれの情報を交換し、時に信長を主君と抱くが故の苦労に対する愚癡を零し合う。
隨后,與村井的會見一直保持著和諧。他們互相談?wù)摫舜说慕鼪r,交換信息,有時候還會抱怨自己作為信長的忠臣所經(jīng)歷的磨難。
性別も年齢をも超えた重臣同士の會談は、雙方にとって有意義な時間となったが、共に多忙な身であるため、僅か一刻ばかりでお開きとなった。
性別和年齡都超越的重臣們進行的會談是對雙方都有意義的時光,但由于兩人都很忙,只能短暫地結(jié)束了。
「お名殘惜しゅうございます」
"非常惋惜"
「こちらこそ、名高き靜子殿と交誼を結(jié)べたことを嬉しく思います。されど、今は刻苦精勵(こっくせいれい)を以て上様の日ノ本統(tǒng)一を支える時。天下統(tǒng)一が成った暁には、お互いの身辺も落ち著いておりましょう」
「我也很高興能與名聲顯赫的靜子大人交往。但現(xiàn)在是以勤奮努力支持君主的日本統(tǒng)一的時刻。天下統(tǒng)一之后,我們的生活也會平靜下來?!?/p>
「その折には是非、尾張へお立ち寄り下さい。今度は私が精一杯おもてなし致しましょう」
"請務(wù)必在那個時候順道到尾張來。下次我將竭盡所能地招待您。"
「名にし負う尾張の風物、心より楽しみにしております」
「聞名遐邇的尾張名勝,我非常期待。」
靜子の暇乞いを以て、村井との會談は終わった。村井は下げていた頭を起こし、靜子達が見えなくなったのを確認して、ようやく肩の力を抜いて大きく息を吐いた。
在靜子請求空閑之后,與村井的會談結(jié)束了。村井抬起低垂的頭,確認靜子們消失后,才松了一口氣。
「人の噂とは當てにならんな。武田を下した剛の者と聞き、どのような鬼女が現(xiàn)れるかと思えば、気品すら感じさせる手弱女(たおやめ)ぶりよ」
“人們的傳言不可靠。我聽說能夠打敗武田的勇者,以為會是一個鬼女,沒想到她卻是一個甚至連溫柔美麗的女子都不如的柔弱女子。”
「実に惜しい御仁でございます。女子でさえなければ、天下を窺える器であったことでしょう」
“實在是一位很可惜的人。如果不是女子的話,她本來有能力成為覬覦天下的人才?!?/p>
村井の補佐を務(wù)める長男、貞成(さだなり)が父の言葉を継いだ。息子の的外れな意見を、村井はからからと笑い飛ばす。
擔任村井的助手的長子貞成接過父親的話題。村井用干笑化解了兒子不切實際的意見。
「靜子殿には天下を獲るだとか、歴史に名を殘すだのという俗人が抱く野心は無かろうよ。彼女が持つのは故事に曰く『王佐の才』、上様と共にあってこそ輝くのだろう。唯一つ難點を挙げるならば……」
「靜子殿可能不會抱持著那些俗人渴望著能夠統(tǒng)領(lǐng)天下、留名青史的野心。她擁有的是故事中所說的『能輔佐國王的才華』,只有與上級一起才能閃耀。如果真要挑出一個難點的話……」
貞成は父の言葉に喉を鳴らし、次の一言を待った。
"貞成喉嚨發(fā)出聲音,等待著父親的下一個話語。"
「余りにも歳の差があり過ぎ、また彼女は才を持ちすぎた。靜子殿と接していると、孫のように成長を見守りたくなる」
「年齡差距太大了,而且她太有才了。與靜子殿交往,讓人想像看著孫子一般見證她的成長?!?/p>
多忙を極める村井へは、靜子が出向く形を取ったが、多くの人々は靜子の京屋敷を訪れた。
靜子前往忙碌中的村井那里,但很多人卻前往拜會靜子在京都的宅邸。
公家に限らず武家の人間や、仏家ですらも靜子との誼(よしみ)を求め、目通りを願って列を為した。
不僅是官員,武家人和出家人也都希望和靜子交往,紛紛前來拜訪。
天下に王手を掛ける信長の懐刀であり、穏やかな人格者と名高い靜子に取り入りたいと考える人間は多い。
許多人想要得到信長的得力助手,并以其和善的個性而聞名的靜子為己有。
そんな人々の織り成す欲望と駆け引きに辟易としながら、しかし表面上は分け隔てなく終始にこやかに対応していた。
對于這些人們編織而成的欲望和博弈,盡管內(nèi)心感到厭煩,但表面上仍然坦然以對,毫不分別地與他們交往。
靜子は次に、自分の後見人であり義理の父にあたる前久へと先觸れを遣わせた。折り悪く前久は急用の為、堺へと出向いており都合がつかなかった。
靜子隨后讓作為她監(jiān)護人和義父的前久先行一步。不幸的是,由于急事,前久前往堺市且無法安排時間。
靜子が堺まで足を伸ばすこともできたのだが、前久の家宰がそれには及ばないと遠慮したため、會談が実現(xiàn)することはなかった。
靜子可以伸展她的腳到堺市,但是由于前久的家祖認為自己不及靜子,所以會面就沒有實現(xiàn)。
代わりに靜子直筆の文と、各種手土産を家宰に託し、近衛(wèi)の屋敷を後にした。後に靜子とのすれ違いを知らされた前久は、靜子との用件については判斷する前に、早馬を仕立ててでも自分の意見を仰ぐようにと家宰を窘(たしな)めた。
代替,她將靜子的親筆信和各種手信托給家宰,離開了近衛(wèi)家庭。之后得知與靜子擦肩而過的前久,在判斷與靜子的事務(wù)之前,就責令家宰準備快馬,以便聽取自己的意見。
「うーん。濃姫様ですら嫌がる理由が判ったかも……なんと言うか毒気に中(あ)てられるね」
「嗯。甚至連濃姬殿下也討厭的理由可能也被找到了……怎么說呢,會被毒氣所中毒吧。」
少しばかり憔悴した面持ちで、靜子は文機に突っ伏した?!呼~心あれば水心』と故事にはあるが、下心を隠そうともしない賄賂の応酬は、想像以上に靜子の精神をささくれさせた。
面容有些憔悴,靜子伏在寫字臺上。雖有諺語“有魚之心,無水不活”,但這場公款賄賂的明爭暗斗,即便藏著私心,也超出了靜子的想象,激怒了她的精神。
靜子の手が精神安定を求めて想像上のヴィットマンを觸ろうとしたところへ、小姓の足音が近づいてくる?;扭皮凭幼·蓼い蛘?、小姓の呼びかけに応じた。
在靜子試圖用手觸摸想象中的維特曼以尋求精神穩(wěn)定之際,侍從的腳步聲逐漸靠近。她匆忙到住所,并回應(yīng)了侍從的叫喊。
「靜子様、宗易(そうえき)様がお目通りをお求めです。如何致しましょうか?」
"靜子小姐,宗易先生想與您見面。您有何打算?"
「おや? 珍しいお方からのお誘いですね、お會いしますので、そのように伝えて下さい」
"哦?是一個不尋常的邀請,我很愿意見到他/她,請轉(zhuǎn)達我的回復(fù)。"
「はっ」
"「はっ」" in Simplified Chinese is "「哈」".
利休が會見を求める理由が思い當たらず、靜子は首を傾げつつも、実りの無い腹の探り合いよりはと思い、彼との會談を了承した。
利休請求見面的原因讓靜子想不起來,但她覺得與其進行無果的明爭暗斗,不如同意與他會談。
「此度(このたび)はお忙しい処、お時間を取って頂き、有難く存じます」
"感謝你抽出時間來,盡管你很忙。"
「どうぞ、お気になさらず。こちらも欲得づくの面會に食傷しておりましたので。お連れの方は、初めて見る方ですね?」
“請不用客氣。我們也對這次會面感到厭煩了。您的同伴是第一次來嗎?”
互いに口上を述べた後、靜子は利休の連れに話を向けた。外見からは30代後半の男性であり、職人のような蕓術(shù)家肌の人物に見える。
互相說完感言后,靜子轉(zhuǎn)向利休的伙伴說話。從外表看,他像是一個長得像職人的藝術(shù)家,大約在30多歲左右。
利休が素性の怪しい人間を連れてくるとは思えないが、問い質(zhì)さない訳にはいかなかった。
不能不追問,但我認為利休不可能帶來可疑素性的人。
靜子にとって初見の人物であると言及した途端、背後に控える才蔵や小姓たちは一瞬で前に飛び出せる姿勢へと移行している。
一提到這是靜子初次見到這個人,才藏和侍從們立即就從原來的姿勢中迅速轉(zhuǎn)變成了立即向前躍出的姿態(tài)。
「失禮しました。遅ればせながらご紹介させて頂きます。こちらは私の友人で、名を長谷川(はせがわ) 信春(しんしゅん)と申します」
“失陪了。雖然晚了,我來介紹一下。這位是我的朋友,名叫長澤川信春?!?/p>
利休の紹介を受け、男が頭を下げる。靜子は男の名前に心當たりがあった。
在接受利休的介紹后,男子低頭致意。靜子對這名男子的名字感到熟悉。
長谷川信春、後に等伯(とうはく)と號する彼は、長谷川派と呼ばれる派閥を構(gòu)成する絵師だ。
長谷川信春,后來號稱等伯,是組成被稱為長谷川派的畫派的畫家。
史実では安土桃山時代から江戸時代初期に掛けて、當時畫壇のトップであった狩野派を脅かす程の存在となる長谷川派を興す人物だが、この時は未だ雌伏の時を過ごしており、知る人ぞ知る程度の知名度であった。
在歷史上,從安土桃山時代到江戶時代初期,創(chuàng)立長谷川派并成為當時美術(shù)界頂尖的狩野派的威脅者的人物出現(xiàn)了,但當時他仍處于潛伏狀態(tài),并且名氣僅在狹窄的范圍內(nèi)人盡皆知。
才蔵たち護衛(wèi)の警戒は緩むことが無かったが、靜子は現(xiàn)代で得た歴史の知識から、この時期の彼は利休や日蓮宗の僧侶、日通(にっつう)と交流を得ていたことを思い出した。
才藏們的護衛(wèi)始終沒有松懈,但靜子憑借自己獲得的現(xiàn)代歷史知識想起了這個時期的他曾與利休、日蓮宗的僧侶和日通進行過交流。
「長谷川……なるほど。それでは貴方が日堯上人(にちぎょうしょうにん)の肖像畫を描いた方ですね」
"長谷川……原來如此。那么你就是畫了日堯上人肖像畫的人啊"。
靜子が長谷川の名を聞いただけで、素性を察した上に作品の一つを口にしたことに驚きを隠せない二人。利休は勿論、作品を言い當てられた信春自身が露骨に狼狽(うろた)える。
聽到長谷川的名字,靜子就猜出了他的身份并口中念出了他的作品,兩人都感到非常驚訝。不僅利休,就連被猜中了作品的信春自己也露出了明顯的慌張。
「私はこれでも蕓事保護を任されております。將來有望と目される方の情報は、多少なりとも私の耳に屆くようになっております」
“我負責藝術(shù)保護工作,未來有潛力的信息,稍微有些也會傳到我耳邊?!?/p>
「はっ! お褒めに與り光栄です」
「哈!受到夸獎感到榮幸」
我に返った信春は頭を下げた。未だ在野に埋もれている己に目を付けていてくれた靜子に、彼はその腕の広さに驚愕しつつも嬉しさを隠せなかった。
我清醒過來后,信春低下了頭。他感到驚訝又高興,因為靜子注意到了他,即使他還在野外。
靜子としては後の業(yè)績を知っているがための知識であるため、先見の明でも何でもなく、少し申し訳ない気分になっていた。
作為靜子,她知道后來的成績,所以她并沒有預(yù)見能力,只是有知識罷了,這讓她感到有些抱歉。
「彼を私に紹介すると言うことは、何か狙いがあってのことでしょう?」
“介紹他給我這件事,肯定是有什么目的吧?”
朝廷より蕓事保護を任されている靜子の許には、信長が執(zhí)心している茶器は勿論、様々な美術(shù)?蕓術(shù)品が集まってくる。
由朝廷授予保護藝術(shù)的職責,信長所熱衷的茶具和其他各種美術(shù)藝術(shù)品都聚集在靜子的所在地。
また、寺院などが秘蔵している品についても、特別に閲覧を許される権限を付託されていた。
此外,他還被授予了特別瀏覽權(quán)限,可以查閱寺廟等機構(gòu)珍藏的物品。
この時期の信春は伝手を頼って様々な美術(shù)品に觸れ、襖や衝立(ついたて)に描かれた障壁畫と呼ばれる障子絵に影響を受けたとされる。
據(jù)說在這個時期,信春靠著關(guān)系接觸了各種藝術(shù)品,受到了描繪在襖和屏風上的屏風畫所稱的障子畫的影響。
それらに刺激を受け、知識や技術(shù)を吸収して獨自の畫風へと昇華させるに至ったのだ。
正是在這些刺激的影響下,我吸收了知識和技巧,最終發(fā)展出了屬于自己的畫風。
信春の才能を認めた利休が、最も多くの美術(shù)品を管理する靜子に彼を紹介し、少しでも多くの作品に觸れる機會を作ってやりたいと思うのは自然な流れであった。
認識了信春的才能后,利休想介紹他給管理最多美術(shù)品的靜子,自然而然地希望能夠創(chuàng)造更多機會讓他接觸到更多的作品。
「はい、こちらの男は素晴らしい才を持っておりますが、それが開花するには今暫し修養(yǎng)を積む必要があるとみております。つきましては、當代一級の作品群を管理される靜子様の所蔵物を開陳していただけまいかと思い、大変厚かましい願いではございますが連れて參りました」
“是的,這位男士擁有出色的才華,但為了讓它開花,他需要進行一些修養(yǎng)。因此,我想請求靜子女士展示她所收藏的一流作品,雖然這是一個非常厚顏無恥的請求,但我還是帶他來了。”
「ふむ」
“ふむ”翻譯為簡體中文可為“嗯”。
素性は利休が保証すれば問題ないが、だからと言って何の利益も無しに彼だけを優(yōu)遇するのは、流石に外聞が悪いと靜子は考えた。
如果利久可以保證他的素質(zhì)沒有問題,那就沒有問題。但是,靜子認為,僅僅因為他沒有任何好處就優(yōu)待他,這確實會給人留下不好的印象。
彼に美術(shù)品閲覧の許可を與えるのは簡単だが、その事実が知れ渡れば利休以外にも、靜子の知己を通して同等の許可を求める人々が殺到するのは目に見えている。
給他瀏覽藝術(shù)品的許可很容易,但一旦這個事實開始傳開,肯定會有大量的人通過靜子的關(guān)系來要求同樣的許可,而不僅僅是利休。
靜子自身は信春が大成するのを知っているが、現(xiàn)時點の信春は無名の存在であり、彼だけを優(yōu)遇するに相応しいと萬人に認めさせる根拠を示させる必要があった。
靜子自己知道信春已經(jīng)取得了巨大的成就,但目前的信春還是一個默默無聞的人,需要展示出只優(yōu)待他這一點是值得大家認可的依據(jù)。
「宗易殿のご紹介ですし、その人品や腕前は確かなのでしょう。しかし、彼だけを優(yōu)遇する根拠とするには弱い。彼が今後の美術(shù)界を、ひいては畫壇を牽引するであろう第一人者たると、優(yōu)遇するに相応しい実績を示して頂きたい」
“介紹一下宗易殿,他的品德和技藝是可靠的。但是,把他單獨優(yōu)待的根據(jù)不夠充分。我們希望他能展示出優(yōu)待他的資歷和實力,成為未來藝術(shù)界,畫壇的領(lǐng)袖?!?/p>
そう言うと靜子は小姓に指図し、とある屏風(びょうぶ)を運び込ませた。屏風は左右で異なったモチーフが描かれており、左側(cè)の屏風の二面を使って松が、右側(cè)の屏風の二面には檜の姿が描かれていた。
"靜子這樣說著,指示著仆人運進了一扇屏風。這扇屏風左右兩面畫上了不同的圖案,左邊的屏風上畫了松樹,右邊的屏風上則畫了檜樹。"
これは四曲一雙(よんきょくいっそう)と呼ばれる作風であり、その鮮やかな色彩や、躍動感あふれる精緻な筆致は、素人目にも一廉(ひとかど)の人物の手に拠るものだと理解できた。
這是一種被稱為“四曲一雙”風格的創(chuàng)作風格,其鮮艷的色彩和充滿活力的精致筆觸,即使對業(yè)余愛好者來說,也能理解它是一個有一定水平的人所創(chuàng)作的。
因みに屏風は1つの面を扇(せん)と呼び、一つながりとなった扇の數(shù)で二曲、四曲、六曲と偶數(shù)で増えていく。そして左右一組となる作品を雙(そう)、単獨で成立する屏風は隻(せき)と數(shù)えられた。
順便說一下,屏風的一個面被稱為“扇”,通過扇的數(shù)量增加來定義二曲、四曲、六曲等偶數(shù)的屏風。如果左右兩側(cè)連接在一起,則稱其為“雙”,而只有獨立成立的屏風則被稱為“隻”。
「これは狩野(かのう)殿(狩野 永徳(えいとく))が私にと、獻上された屏風です。當代隨一と名高い狩野殿を超えよとは申しませんが、これを見て私が貴方を優(yōu)遇するに相応しいと思えるだけの作品を描いて頂きたい。それを以て許可を與えるか判斷したいと思います」
「這是狩野殿(狩野永徳)獻給我的一屏風。雖然不想超越被稱為當代第一的狩野殿,但我希望您能畫一件足以讓我認為您值得優(yōu)待的作品。我會根據(jù)這個來判斷是否批準。」
狩野の屏風に魅入っている信春に、靜子は決然と宣言した。
被狩野的屏風所迷住的信春,靜子堅定地宣布。
「今すぐにこれを超える才を示せと言う訳ではありません?,F(xiàn)時點で畫壇の頂點に立つ人物の作品に対して、自分なりの表現(xiàn)で作品を作ってみてください。明確な期限は切りません。必要ならば人や物、金も支援いたしましょう。代わりに必ずや、自分なりの回答となる作品を提出して頂きます。して、返答や如何に?」
“并不是要求您立即展現(xiàn)超越這個的才華。請嘗試通過自己獨特的表達方式創(chuàng)作作品,并向現(xiàn)在站在畫壇巔峰的人物的作品致敬。我們沒有設(shè)定明確的期限,如果需要, 我們將支持您的人力、物力和資金。但是我們希望您一定能提交一份代表您的回應(yīng)的作品。那么,您的回答是什么呢?”
靜子の提案に対して信春は即答できなかった。望み得る最高の支援をする代わりに、逃げを許さぬ條件だと彼は気付いたからだ。
信春無法立即對靜子的提案做出回答。他意識到,為了提供最好的支持,他必須接受毫不妥協(xié)的條件,而不是逃避。
人手さえあれば、金さえあれば、時間さえあればもっと良い物が作れたという言い訳を許さず、その時點での最善を盡くした作品で、當代隨一の才能と競い合えという厳しい問いだ。
只要有人力、有金錢、有時間,不允許有“如果有更多”這種借口存在,應(yīng)該盡力做出最好的作品,與當代最杰出的才能競爭,這是一個嚴厲的要求。
「暫し、時間を頂戴しとう存じます」
"暫時請給我一點時間" (Simplified Chinese)
及ばずとも良いが、その時點で最高の才を示し、劣っているのを認めよという厳しい問いに、信春はようようそれだけの言葉を絞り出した。
盡管不抵達至最優(yōu)水平也無妨,然而面對嚴格的要求,必須展現(xiàn)出最高才能,承認自己的不足。信春費盡口舌,才勉強說出這幾句話。
返答を保留された形の靜子だが、彼女は気にした風でもなく、答えが出たら利休を通じて伝えるようにとだけ告げた。
保留回復(fù)的靜子沒有流露出任何不安的神色,她只是告訴利休,讓他等待她的答復(fù)并轉(zhuǎn)達出去。
信春の用件が終わると、利休は彼と共に場を辭した。利休は信春と靜子とを引き合わせるためだけに訪問しており、自身はこれといって用事を持たなかった。
信春事情處理完畢后,利休與他告別離開了。利休此行只是為了介紹信春和靜子,且他并沒有別的事情要處理。
「少し厳しい注文を付け過ぎたかな? でも、明らかに特別扱いするには、それに相応しいと言える実績が必要。誰にでも気軽に見せる開架方式じゃない以上、資質(zhì)を示して貰わないと収拾がつかなくなるからね」
"有點點過于嚴苛的要求了嗎?但是,明顯需要有相應(yīng)的實績才能特別對待。既然這不是對每個人都隨意展示的開架式,所以必須要展現(xiàn)出素質(zhì),否則會失控的。"
唐の作品や古今東西の一級品を目に出來るかもと期待を抱いていたところへ、厳しい課題を突き付けられたのだ。その落差たるや想像するだに恐ろしい。
也許可以看到唐代的作品和各種一流藝術(shù)品,但期望被擺在了一個嚴峻的挑戰(zhàn)面前,巨大的落差讓人感到非??謶帧?/p>
「さて、お次はオルガンティノ殿か。この処、男裝をしていなかったから、なんとも窮屈だね」
“接下來是奧爾甘蒂諾殿了。因為沒穿男裝,所以感覺有些不自在呢?!?/p>
侍女にサラシで胸を締め上げられながら、男裝を纏う靜子がぼやいた。
靜子穿著男裝,被侍女用紗布勒緊胸部時喃喃自語。
そろそろ正體を明かしても良いのではと思わないでもないのだが、信長から許可が下りない以上は男裝を続けるしかなかった。
我不得不繼續(xù)男扮女裝,因為我認為現(xiàn)在揭秘身份的時機差不多了,但既然信長沒有下令,我只好繼續(xù)裝扮成男性。
一方信長と言えば、最初の一件以來同席することがないため、靜子に男裝させていることを失念していた。
如果提到信長這個人,因為自從第一次見面后就沒有同桌過,所以一時也忘記了靜子正在穿著男裝。
窮屈な恰好に耐えつつ休憩していると、會談の準備が整ったと小姓が告げた。一つ気合を入れると肩を回し、靜子は謁見の間へと歩を進める。
忍受著拘謹?shù)拇虬缧菹⒅⌒崭嬖V靜子會談準備就緒。換上一股氣,靜子轉(zhuǎn)動肩膀,走進了接見室。
「ご無沙汰しております、閣下のご活躍は遠く離れた故郷でも度々噂となっております。こうして直接お目通りが葉い、お元気な姿を拝見し心よりお慶び申し上げます」
"您好久不見了,閣下的輝煌事跡即使在遙遠的故鄉(xiāng)也時常傳聞。今天能夠與您面對面交流,看到您健康狀況良好,我很高興。"
「これはご丁寧に。流石はオルガンティノ殿と言った処でしょうか、我が國の文化にも長じておられるご様子。そちらはお変わりありませんか?」
"這是非常周到的。確實像是奧爾加蒂諾殿說的那樣,您似乎也在熟悉我國的文化。那邊還好嗎?"
謁見者を代表してオルガンティノが口上を述べ、それに靜子が応じる。今回謁見に訪れたのはオルガンティノ、フロイス、ロレンソの三名となる。
代表接見者發(fā)言的是奧爾甘蒂諾,靜子作出回應(yīng)。這次接見會見的人是奧爾甘蒂諾、弗洛伊斯和洛倫佐三人。
修道士たちはそれぞれ布教に勤しんでいるのか、ここのところ姿を見せることはない。
修道士們最近都在忙著布道,所以已經(jīng)有一段時間沒有出現(xiàn)了。
「前の任地(インド西海岸のゴア州)で暑さには慣れたつもりだったのですが、こちらの暑さは一味違いますな。こうしてお會いする前には行水が欠かせませぬ」
“我曾在前任地(印度西海岸的果阿邦)適應(yīng)了熱,但這里的熱又有些不同。在與您見面之前,我不能沒有沖涼?!?/p>
「京は盆地であるため、濕気がこもりますから、どうしても暑さ寒さが厳しくなりましょう。夕暮れともなれば、多少は涼しい風が吹くのですが」
“由于京都位于盆地中,空氣濕度很大,所以不可避免地會有相對嚴重的寒暑兩極。盡管傍晚有些許涼風吹來?!?/p>
オルガンティノはすぐに用件を切り出さない。まず挨拶から入って近況を語り合い、會話を弾ませ相手と共感を得ることで會話の糸口をつかむ。
奧爾加蒂諾不會立即提出要事。他首先通過問候和交流近況,讓對話變得活躍并贏得對方的共鳴,以此獲得對話的線索。
必然的にオルガンティノが話題を提供することが多くなるが、彼の話術(shù)は非常に優(yōu)れていた。
必然會有更多的人提起OrganTino,但他的演講技巧非常優(yōu)秀。
実體験に裏打ちされた豊富な話題に、言葉の抑揚や間の取り方は言うに及ばず、己の失敗談すらもユーモアを交えて笑い話にしてしまう。
由豐富的實體經(jīng)驗支持,不僅言辭抑揚和停頓有分寸,就連自己的失敗故事也能調(diào)皮地當成笑話說出來。
「箸というのは面白い道具です。當初はあんな棒切れで食事が出來るものかと思いましたが、一度習(xí)熟してしまえばあれほど萬能な道具もありません。手摑みで麺を口に運ぶ故郷の人々にも教えてあげたいぐらいです」
「筷子是個有趣的工具。起初我還以為那只是一根木棒,怎么可能用來吃飯呢。但是一旦熟練掌握,它就是無所不能的工具。它甚至能幫助傳統(tǒng)地用手叉面的故鄉(xiāng)人們?!?/p>
「習(xí)得に少し時間を要しますが、慣れれば小豆と大豆を皿から選り分けるといったことも可能となるそうです」
“雖需要一些時間才能掌握,但一旦習(xí)慣了就可以從盤子里挑選出紅豆和大豆這樣的事情了?!?/p>
「なんと! 丸い豆を滑らずに摑めるようになれば、挑戦してみたいと思います。そうそう、豆を摑む話で思い出したのですが、以前伺った真珠の件、少しお話しても宜しいでしょうか?」
“什么!如果能夠不滑落地抓住圓形豆子,我想嘗試一下挑戰(zhàn)。順便說一下,想起了一個抓豆子的故事,以前聽說的珍珠事情,可以講一下嗎?”
オルガンティノが世間話の延長から、実に自然に本題へと話を誘導(dǎo)する。オルガンティノが訪問を申し入れてきた時點で、靜子としてはおおよその事情を摑んでいる。
奧爾加天諾自然地從閑聊中引導(dǎo)話題到正題。當奧爾加天諾提出拜訪時,靜子已經(jīng)大致了解情況。
靜子が領(lǐng)土で養(yǎng)殖している真珠の件について、何らかの進展があったのだろうと當たりを付けていた。
我猜想關(guān)于靜子在領(lǐng)土上養(yǎng)殖珍珠的事情可能會有一些進展。
「ええ、構(gòu)いません。そのご様子では、雙方にとって良いお話と思って良さそうですかな?」
“是啊,沒關(guān)系。以那個樣子來看,這似乎是對雙方都有好處的故事,你覺得呢?”
「勿論です。まずは前任地であるゴアと、我らの故郷の王侯貴族たちに情報を流したところ、概ね好感觸を得ることができました」
“當然可以。我們首先向前任地果阿以及我們的故鄉(xiāng)的王侯貴族傳遞了信息,大體上獲得了好反應(yīng)?!?/p>
オルガンティノの言葉に靜子は頷いて次を促す。
奧爾加提諾的話讓靜子點頭并催促他說下去。
大きく時代を先取りした養(yǎng)殖真珠が受け入れられるか否かは、神ならぬ靜子としては祈る他なかったのだが、オルガンティノの言に依れば好評だったようだ。
廣泛采用先進時代的養(yǎng)殖珠寶是靜子真正祈求的事情,但根據(jù)奧爾加汀諾的話來看,好像很受歡迎。
しかし靜子は、話がそれだけでは終わらないだろうとも予感していた。
然而靜子預(yù)感故事不會就此結(jié)束。
「しかし、難點が無いわけでもありません。一番問題となったのは、その色合いです。我らの常識では真珠とは銀に近い色味を呈するのですが、閣下にご用意頂いた真珠は純白に近い色を示しております」
“然而,并非沒有困難之處。最大的問題是它的色彩。按照我們的通常認識,珍珠的顏色接近銀色,但您所準備的珍珠顯示出接近純白色?!?/p>
「……ふむ、色合いですか。なるほど……」
“嗯,是指顏色搭配嗎。原來如此……”
當時歐州に流通していた天然真珠は銀色、対して養(yǎng)殖のアコヤ貝産真珠は白色となる。これは真珠質(zhì)を分泌する母貝の種類に起因している。
當時在歐洲流通的天然珍珠是銀色的,而飼養(yǎng)的珍珠貝產(chǎn)生的珍珠是白色的。這是由于分泌珍珠質(zhì)的母貝種類不同所致。
當時の世界は銀を貴ぶ風潮にあったため、靜子は白色よりも銀色の方がヨーロッパ人の好みに合致すると考えた。
當時的世界因珍視銀而流行,靜子認為比起白色,銀色更能迎合歐洲人的口味。
「色合いを銀に近づけるのは困難です。別種の真珠として売り込んでは頂けませんか?」
「將色調(diào)接近銀色是困難的。您可以將其推銷為另一種珍珠嗎?」
「そうなりますと、相手が譲歩した形となりますので、閣下の希望される値段より幾ばくか値下げを求められるかと思います。これを呑んで頂けるのであれば、交渉の余地があるかと」
“如果這樣的話,對方會被視為做出了讓步,所以我想要求比閣下期望的價格稍微降低一些。如果您愿意接受這個條件的話,我們可以繼續(xù)談判?!?/p>
オルガンティノは終始にこやかに善意で交渉しているように話を進める。靜子はそれを受けて、流石は宣教師だと舌を巻いていた。
奧爾加蒂諾一直以微笑和善意的態(tài)度推進談判。靜子聽了這話,不禁驚嘆于奧爾加蒂諾作為傳教士的能力。
色の好みというのは確かに一つの要因なのだろう。しかし、実際のところは瑕疵(かし)(欠點)を指摘することで、少しでも安く仕入れたいと言うのが本音であろう。
"顏色偏好確實是一個因素。但實際上,指出瑕疵是為了盡可能以更低的價格采購,這才是真實的想法。"
彼らの手に掛かれば、色の好み程度は何とでも出來るのだろうが、それを材料に価格交渉を迫る。好々爺(こうこうや)然(ぜん)としながらも、中々に強かな策略家であった。
如果落到他們的手中,顏色的喜好程度可以進行任何調(diào)整,但卻會利用該因素來進行價格談判。他雖然表現(xiàn)得像個溫和的老爺爺,但實際上是個相當狡猾的策略家。
しかし、オルガンティノを指して腹黒いとは思わない。この程度の腹蕓が出來なければ、母國と言う後ろ盾がない敵地で侵略行為に近しい宗教の布教など出來ようはずもない。
然而,我不認為指責奧爾甘蒂諾為心黑之人。如果不能施展這種程度的謀略,就不可能在沒有本國支援的敵境中進行類似侵略性宗教布道的行為。
「(ならばプランBを採用する時?。┊斎护扦筏绀Δ汀婴晔证趣筏皮仙伽筏扦飧撙Iい取って頂きたいが、買い手がつかないのでは商品となりません。値下げも必然でしょう」
"如果采用B計劃的話,當然了。作為賣家,我們希望能以盡可能高的價格把商品賣掉,但如果沒有買家,商品也就成了無用之物。因此,降價也是必然的。"
「ご賢察、恐れ入ります」
“非常抱歉,恭請見諒”
「それらを考慮した上で、こちらは二つの方案を提案しましょう。一つは買取価格を下げての通常の取引、もう一つは価格を據(jù)え置いた狀態(tài)での獨占販売契約を結(jié)びます」
"在考慮到這些因素之后,這里提出兩個方案。第一個方案是通過降低回購價格來進行常規(guī)交易,第二個方案是以維持價格不變?yōu)榍疤岷炗啰毤忆N售合同。"
「詳しくお話を聞かせて頂けますか?」
能否請您詳細講述一下?
靜子の言葉を受けて、オルガンティノが纏う雰囲気が変わった。
接受靜子的話后,奧爾加蒂諾身上的氛圍發(fā)生了變化。
表情は変わらないが、警戒しつつも大きな利益を摑めるかも知れないという野心が、彼をして滲(にじ)み出てしまうのだろう。
他的表情并沒有改變,但他的野心可能會讓他抓住巨大的利益,雖然他也持有警惕心。
摑みは得られた。靜子は心中でガッツポーズをとっていた。頭巾を被っているため、表情は読まれないが、それでも言葉に感情が乗らないよう慎重に會話を進める。
抓住了機會。靜子心中暗自高興。因為帶著頭巾,所以面部表情看不清,但她還是小心進行交談,避免言語帶有情緒。
「通常の取引については、特にお話することはありません。獨占販売契約について解説いたします。まず買い取り価格ですが、以前こちらが提示した価格での提供となります。代わりに原則として提供できる真珠の全量を貴方がたのみに販売致します。売れ行きが振るわず在庫を持て余す可能性を含みますが、貴方がたが我が國から産出される真珠取り扱いの唯一の窓口となれるのです。その立場が生み出す優(yōu)位性は、商売に明るいオルガンティノ殿ならばご理解頂けるかと」
“關(guān)于常規(guī)交易,無需特別談?wù)摗,F(xiàn)在我們將解釋獨家銷售協(xié)議。首先,收購價格將以我們先前提供的價格為準。作為代價,我們原則上將向您提供所有可供銷售的珍珠數(shù)量,但這可能會導(dǎo)致庫存積壓和銷售不暢的風險。但值得注意的是,您將成為我們國家的唯一珍珠貨源代理商,這樣的地位將帶來許多優(yōu)勢,相信對于商業(yè)敏銳的客戶來說,您能夠理解?!?/p>
二つの案を提示してはいるが、オルガンティノならば獨占契約を選択するとの確信があった。
雖然提出了兩個方案,但有信心選擇獨占契約,如果是奧爾甘蒂諾的話。
その背景には近頃、プロテスタント系の商人が東洋に進出し、活発に活動を始めているとカトリック系の商人から聞いていたというものがある。
那背后有近來,聽說來自天主教派別的商人得知新教派系的商人正進軍東方,開始積極開展業(yè)務(wù)。
未だ東南アジア以東の諸國や、中國、日本の市場へは進出していないが、それも時間の問題だと言える。更にイエズス會派が交易を獨占できる時間的猶予は殘り少ない。
盡管尚未進入東南亞以東、中國和日本等市場,但這只是時間問題。此外,耶穌會壟斷貿(mào)易的時間余地不多了。
プロテスタント側(cè)の商人が東洋へと歩を進めたという事は、彼らが獨自の航路を確立したことを意味する。
“基督新教的商人向東方前進,這意味著他們建立了獨立的貿(mào)易路線?!?/p>
數(shù)年も経てば、イギリスやオランダというプロテスタント國家が、極東日本まで進出し商圏拡張を巡ってカトリック國家と覇を爭うことになるのは容易に想像できる。
幾年后,可以輕易想象到英國和荷蘭這樣的新教國家將進入遠東的日本,為擴大商業(yè)領(lǐng)域而與天主教國家爭奪霸權(quán)。
「……大変興味深いお話ですが、少々私の裁量を上回ります。一度話を持ち帰り、改めてお伺いするという流れでも宜しいでしょうか?」
"雖然聽起來很有趣,但是可能超出了我的職權(quán)范圍。能否將這個話題帶回去,稍后再做回復(fù)呢?"
目の前に吊るされた餌に飛びつくかと思われたが、オルガンティノは冷靜に判斷を保留した。
看起來奧爾甘蒂諾會撲向懸掛在眼前的食物,但他保持冷靜并暫緩了判斷。
靜子としては騙し討ちにするつもりもなく、商売相手をイエズス會に限らねばならない理由もない。
靜子并沒有欺騙的打算,也沒有必須將商業(yè)伙伴限制在耶穌會內(nèi)的理由。
そこまで織り込み済みのプランBであり、全て想定內(nèi)の事象に収まっていた。
已經(jīng)在計劃B中考慮得非常周到,所有的情況都在預(yù)料之中。
「勿論構(gòu)いません。こちらも我が國の真珠が腳光を浴びると思い、少々前のめりになり過ぎておりました。ご存分にご検討いただき、その上で良いお返事が頂ける事を願っております」
當然沒有關(guān)系。我也因為想讓我們國家的珍珠受到關(guān)注而有些沖動。希望您仔細考慮后能夠給出好的答復(fù)。
「とんでものうございます。閣下のご意向を國許に伝え、必ずや良い返答を勝ち取って參ります」
“實在是一件榮幸之事。我將向您的國土傳達您的意愿,并一定會爭取到良好的回答。”
「オルガンティノ殿が請け負って頂けるとあらば、これ以上頼もしいこともありますまい」
“如果可以托付給Organtino殿,就不會有更值得信賴的事情了。”
オルガンティノの言葉に、靜子は頭を下げて禮を述べた。
奧爾加蒂諾說完這話,靜子躬身向他行了一禮。
真珠については仮押さえということで折り合いがついた。
有關(guān)珍珠的問題,我們達成了暫定意見。
當面、靜子は真珠を他所に流さない代わりに、オルガンティノたちは輸出用に準備されていた真珠箱二つの全てを買い取った。
當面,靜子沒有賣掉珍珠,而奧爾加蒂諾們則購買了準備用于出口的兩個珍珠盒子。
この仮押さえが本契約へと進むか、それとも破談となるかは、今後のオルガンティノたちの活躍次第ではあるが、靜子としては十中八九本契約に至るであろうと考えていた。
這個暫定協(xié)議是否會進展為正式合同,還是會破裂,取決于今后奧爾甘蒂諾們的表現(xiàn),但靜子認為很可能會順利達成正式合同。
「いやはや、疲れた疲れた……」
"哎呀呀,累死了累死了……"
自室に戻って男裝から解き放たれた靜子は、全身を伸ばしつつ獨り言を漏らす。
回到自己的房間,解放了男裝束束縛的靜子,一邊伸展全身,一邊自言自語地說著。
凝り固まった肩を解しながら、會談の最中にロレンソとフロイス両名が殆ど喋らなかったことを思い出していた。
解開了僵硬的肩膀,他回想起洛倫索和弗洛伊斯在會談中幾乎沒有說話的情景。
真珠の件も、それ以外についても話を主導(dǎo)するのはオルガンティノであり、意見を求められた時以外は二人が口を開くことは無かった。
真珠的事情,以及其他事情都由奧爾甘蒂諾主導(dǎo)談話,除非需要征求意見,否則兩人都不會開口。
(恐らく、窓口擔當はオルガンティノに一本化されるんだね。そして、二人はスムーズに引継ぎが出來るよう、サポートに徹しているのかな?)
(很可能,窗口負責人將集中在奧爾加蒂諾。然后,這兩個人會全力支持,以便順利進行交接吧?)
靜子とイエズス會との縁を紡いだのは、フロイスとロレンソだ。その二人がどういった経緯で靜子との交渉役から離れ、オルガンティノに後を託したのかは判らない。
靜子和耶穌會的聯(lián)系由弗洛伊斯和洛倫佐編織而成。這兩個人離開了與靜子談判的角色,并把重任交給了奧爾加洛天諾,但我們不知道他們?yōu)槭裁匆@樣做。
悩んでいても答えが出そうにないため、靜子は心の片隅に留めおくことにした。
縱使困惑不解,答案似乎也無法出現(xiàn),靜子決定將其留在內(nèi)心深處的某個角落。
「さて、そろそろ一度尾張に戻り、その後徳川家へ挨拶に向かわないとね」
"那么,差不多該先回尾張一趟,然后再去拜訪德川家了。"
家康へのご機嫌窺いは、信忠からの命を受け、彼の名代として務(wù)めることになる。
"代表著信忠的命令,打探家康的高興程度將成為他的代表的工作。"
表向きは信長より尾張と美濃を任され、正式に尾張奉行並びに美濃奉行に就任したことを同盟國でもあり、隣國でもある三河國(みかわのくに)及び遠江國(とおとうみのくに)に周知がてら挨拶に向かうこととなっている。
他被任命為尾張和美濃的奉行,并正式就任。作為同盟國和鄰國,他將前往三河和遠江,并向他們致意。
奉行というと大岡越前や遠山金四郎を思い浮かべる方も多いだろうが、あれらは江戸時代以降の町奉行であり、ここで言う奉行とは朝廷から任命される公的役職ではなく、あくまで織田領(lǐng)國內(nèi)のみで通用する役職となる。
提到“奉行”,許多人首先想到的可能是大岡越前和遠山金四郎等江戶時代后期的町奉行。但是,這里的“奉行”并非由朝廷任命的公職,而是僅限于織田領(lǐng)國內(nèi)通用的職務(wù)。
奉行の主な役目は尾張及び美濃の守護に就く信忠の補佐となり、実務(wù)を?qū)g行する事務(wù)長官のような役目を擔う。
奉行的主要職責是擔任信忠的助手,擔任尾張和美濃的守護,并承擔類似執(zhí)行實務(wù)的秘書長職責。
しかし、當の信忠は尾張と美濃の配下達の手綱を握ることで手一杯になっており、とても外交にまで気を回しているような余裕はない。
然而,信忠本人已經(jīng)忙于掌握尾張和美濃的部下,并且沒有時間專注于外交事務(wù)。
そう考えれば、一連の予定について手筈を整えたのは信長であり、彼が家康に伝えんとしたメッセージは明確であった。
這樣想的話,整理一連串的計劃的是信長,他傳達給家康的信息非常明確。
(いよいよ、東國征伐が始まるのかな)
(終于開始東國征伐了吧?)
靜子の徳川領(lǐng)行きは、東國を治める各國人に対して、旗幟を鮮明にする機會を明確に示すメッセージだ。即ち、服従するか、さもなくば死だ。
靜子前往德川領(lǐng)地是向東國各國人明確傳達旗幟鮮明的機會。即服從或死亡。
安土城築城の動きに隠されて見えにくいが、靜子軍の中核を擔う兵站軍が活発に動いている。
安土城修建的動向可能不太明顯,但靜子軍的后勤軍隊正在積極活動。
そう遠からず、早ければ夏の終わりにも東國征伐が始まるだろう。そう靜子は睨んでいた。
不久之后,最早也會在夏末開始對東國的征伐。靜子一直在注視著這一點。
(きちんとお役目を果たさないと)
(不認真履行職責的話)- Simplified Chinese
京より戻った靜子は尾張に數(shù)日留まり準備を整え、再び家康の待つ遠江を目指して旅立った。
京都回來后,靜子在尾張停留數(shù)天整理行囊,再次啟程前往等待她的家康所在的遠江。
三河國に入ると案內(nèi)人を務(wù)める夏目(なつめ) 吉信(よしのぶ)と合流した。
當進入三河國時,加入了作為導(dǎo)游的夏目吉信。
史実では三方ヶ原の戦いで家康を逃がすために身代わりとなって命を落とした人物だが、今も生き永らえていることに靜子は奇妙な感慨を覚えていた。
在歷史上,他是因為替家康逃走而犧牲生命的人,參加了三方原之戰(zhàn)。但是,靜子感到有些奇怪的感慨,因為他竟然還活著。
案內(nèi)人が必要となる理由は、三河や遠江は街道整備が十分でなく、地元の人間でなければ道中に難儀する可能性があるためであった。
需要導(dǎo)游的原因是三州和遠江的道路并未完全整修,如果沒有當?shù)厝说呐阃?,可能會遇到困難。
流石に案內(nèi)役を任された夏目の先導(dǎo)は確かであり、何の問題もなく靜子達一向は家康の居城である浜松城へと到著した。
夏目擔任導(dǎo)游的確很靠譜,靜子等人毫無問題地到達了家康的居城——浜松城。
「遠路はるばる、ようこそお越し下さいました」
"遠路來遠方,歡迎光臨"
「徳川様も御壯健なようで、何よりです」
「徳川様也很健康,這真是太好了?!?/p>
謁見の場にて家康と言葉を交わす。ふと視界の隅で、忠勝が目立ち過ぎない程度に小さく手を振っており、気付いた半蔵と康政から肘鉄を貰っていた。
在拜見場合中與家康交談。在視線的角落里,忠勝稍微低調(diào)地揮手,以免過于引人注目,被半藏和康政注意到后受到了點頭示意。
(どうして、こんな時まで漫才をやるんだろう?)
(為什么要在這個時候做相聲呢?)
場を和ませるための寸劇にしても、こっそりと周囲の目を気にしながら行うことではないと思いつつ、靜子は家康に意識を戻す。
為了讓現(xiàn)場氣氛更加輕松愉悅,靜子想表演一個小品,但她同時也知道不應(yīng)該心虛地畏懼旁人的眼光,于是她重新集中精神,回到了和家康的對話中。
信長から明確なメッセージや文書を預(yù)かっていない以上、東國征伐の話題など出ようはずもない。尾張?美濃奉行就任の挨拶を終えれば、終始世間話の延長上の話題が飛び交う。
由于沒有收到明確的來自信長的消息或文件,因此不可能出現(xiàn)有關(guān)東國征討的話題。在完成尾張和美濃的代理職位介紹后,話題一直在閑談中延續(xù)。
靜子としては挨拶に訪れただけであり、元より長居するつもりもないため、會談後數(shù)日の逗留を経て尾張へと帰國することとなった。
靜子只是前來致意,原本也沒有打算長留,會晤后逗留數(shù)日后就返回尾張。
帰りの案內(nèi)人は忠勝が務(wù)めることになったのだが、半蔵と康政が裏から手を回したのか、靜子の周辺警備を擔當したのは忠勝の叔父である本多(ほんだ) 忠真(ただざね)であった。
回程的導(dǎo)游被忠勝任命為,但是半藏和康政是否在背后搞了什么鬼,負責靜子的周邊警衛(wèi)工作的卻是忠勝的叔叔本多忠真。