《サムデイ イン ザ レイン(Someday in the Rain)》【劇本原文】

本文采用《ザ?スニーカー2006年8月號(hào)》中刊載的版本,與實(shí)際劇集略有出入。
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〇北高正門(mén)。天候曇り。
冬服姿で下校していく生徒達(dá)。女子はセーラーの上にカーディガン、男子はブレザーの下にニットのベスト。マフラーを巻いている生徒もチラホラ。
〇部室棟遠(yuǎn)景、背景に曇り空。
キョンN 「文化祭やその後にやってきたゴタゴタも終了し、早や冬の足音が山風(fēng)とともに聞こえてくる今はもうそろそろ十二月で、建築以來(lái)の古さを誇る舊館、この部室棟はその壁の薄さのせいもあって、屋內(nèi)にいながら妙に寒々しい日のことである…」
※注Nとはナレーションのこと。
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(OP)
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〇文蕓部部室。
キョンと古泉は向かい合ってカードゲーム(ドラゴン☆オールスターズ)、長(zhǎng)門(mén)(制服の上にカーディガン)はテーブルの隅で読書(shū)中(『赤頭巾ちゃん気をつけて』莊司薫?中央公論社ハードカバー、図書(shū)館貸し出し本)。
みくる(メイド姿)は座って編み物(マフラー)をしている。
キョン、ふと顔を上げる
キョンM 「毎度いろんなとに巻き込まれてきたSOS団…というよりもっぱら俺だったが、しかしそんな事態(tài)が毎日毎日律儀に訪れるわけはなく、だいたい毎日のようにアレやコレやの非日常爆弾が炸裂していたら俺の身が保たず、心のほうはもっと保たない」
※注Mとは心の中でつぶやいているモノローグゼリフのこと
キョン、傍らに置いてあった湯飮みのお茶を飲みつつ、
キョンM 「しかしハルヒがいないとホント、靜かでいいな…。でも少し、靜かすぎるか……」
キョンの視線が無(wú)人の団長(zhǎng)機(jī)に向く。
機(jī)の上に雑多な物が散らばる下、『世界の鍋百選』というムック本やクリスマス特集の雑誌が隠すように積み重なっている。
× × ×
キョン、サイコロを一つ振ってテーブルに転がす。
キョンM 「よく考えたらハルヒや朝比奈さんたちと出會(huì)って、もう半年経ってんのか」
古泉が転がすサイコロの出目から目を逸らし、部室內(nèi)に顔を巡らすキョン。部屋の隅にある段ボールに入っている薄汚れた野球グローブとボール、短く切られて怙れた笹にかかっている短冊(cè)、壁に畫(huà)鋲で貼ってある集合寫(xiě)真(孤島の浜辺で水著になっている全員)、ハンガーラックにかかっているみくるの衣裝(バニーガール、ナース服、夏用メイド服、ウェイトレス、アマカエルの著ぐるみ、セーラー服とカーディガン+マフラーも)、テーブル上の四臺(tái)のノートパソコン。
キョンM 「いろいろやらかしてきたもんだ。ハルヒが原因なものもあれば、そうでないものも含めてな。まあ、たいていはこうして俺たちがまったりと時(shí)を過(guò)ごしている最中に、あいつが突然飛び込んできて始ま――」
モノローグが終わらないうちに部室のドアが勢(shì)いよく音を立てて開(kāi)く。
ハルヒ 「みんな聞いて! 朗報(bào)よ!」
攜帯電話を掲げて笑顔いっぱいのハルヒ。格好はセーラー服にカーディガン。
キョンM 「…またか。こいつの言う朗報(bào)とやらが、俺たち…特に俺と朝比奈さんにとって朗らかな報(bào)告となったことなど、実際ほとんどないのだが」
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キョン 「今度は何だよ」
ハルヒ 「部室に暖房器具を設(shè)置する手はずが整ったわ」
ハルヒ、ずかずかと団長(zhǎng)機(jī)に向かい、ドスンと座る。
みくる 「あっ。はい、はい」
みくるは編んでいた毛糸と棒針を置き、いそいそとお茶の準(zhǔn)備を始める(嬉しそうに)。
ハルヒ 「映畫(huà)撮ったときにスポンサーになってくれた電器屋さんが提供してくれるって。去年の売れ殘りを倉(cāng)庫(kù)にしまったっきり忘れちゃってて、処分に困っている電気ストーブでよければって、さっき電話があったわけ」
キョンM 「ハルヒにわざわざ電話して、そんな申し出をするほどヒマでも親切でもないだろうから、どうせこいつがゴリ押しでねじ込んだのだろう」
ハルヒ 「だからね、キョン。あんた、これから店に行って貰ってきてちょうだい」
キョン 「俺が? 今から?」
ハルヒ 「そう。あんたが、今から」
キョン 「お前、俺に毎日往復(fù)している山道をもう一回下りて、しかも電車(chē)で二駅かかる電器店まで行ってから、おまけに荷物抱えてまたここまで戻って來(lái)いって言うのか」
ハルヒ 「そうよ。だって急がないとおっちゃんの気が変わっちゃうかもしれないじゃない。いいカらさっさと行きなさい。どうせヒマなんでしょ?」
キョンM 「この部室にいる時(shí)點(diǎn)でヒマでないヤツなどいないような気がするが」
ハルヒ、みくるの入れたお茶をズルズル啜る。
キョン 「お前はヒマじゃねえのか」
ハルヒ 「あたしはこれからしないといけないことがあるから」
ハルヒ、にんまりとみくるを見(jiàn)る。キョトンとしているみくる。
キョン、古泉を見(jiàn)る。手持ちのカードをテーブルに伏せ、わずかに肩をすくめる古泉。
ハルヒ 「古泉くんは副団長(zhǎng)で、あんたはヒラの団員なんだから、階級(jí)の低い方がキリキリ働くのはどこの組織だって同じよ。もちろんSOS団もそのルールを採(cǎi)用しているわ」
キョンM 「人使いが荒いのは今に始まったことじゃないが、…まあいいか。今回ばかりはハルヒもマシな用件を取り付けてきた。ちょうど部室に暖房器具が欲しいと思っていたところだ。俺が行くのでなければなおのことよかったのだが、朝比奈さんや長(zhǎng)門(mén)に行かせるくらいなら俺が行くさ」
キョン 「わかった、わかった」
腰を上げ、立ち上がるキョン。古泉は意味ありげな微笑。
古泉 「どうぞ、お?dú)荬颏膜堡啤?/p>
みくる 「あ。あたしも行きましようか?」
ハルヒ 「みくるちゃんはいいの、ここにいなさい、雑用係はキョンの使命みたいなものなのよ」
みくる 「はあ…」
心配そうにキョンを見(jiàn)るみくる。長(zhǎng)門(mén)は一切顔を上げず、読書(shū)中。みくる、何か思いついたように手を合わせるとハンガーラックへ歩み寄り、ぶら下がっているセーラー服にかけていたマフラーを持ってきて、
みくる 「今日は冷えますから…」
キョンの首に巻いてやる。一瞬驚いてからホワンとした表情になるキョン。
キョン 「いやぁ……どうも」
ハルヒはやや不機(jī)嫌そうに、
ハルヒ 「は?や?くっ。行きなさいよっ」
キョン、ひらりと片手を振って部室を出る。
× × ×
ハルヒ、窓際に立つて中庭を見(jiàn)下ろしている。中庭をキョンが橫切って歩いていくの確認(rèn)し、パッと振り返る。
ハルヒ 「さ、邪魔者は消えたわ」
みくる 「えっ?」
ハルヒ、機(jī)の中からデジカメを取り出す。不安そうにピクっとなるみくる。
ハルヒ 「みくるちゃん、あなたの寫(xiě)真撮りたいから、ポーズとってくれる?」
みくる 「ええっ? なな、なんの寫(xiě)真ですか?」
ハルヒ 「決まってるでしよ、文化祭で上映した映畫(huà)、『朝比奈ミクルの冒険エピソード00』をDVDにするから、そのジャケット撮影よ」
みくる 「えええつ。あれ、本當(dāng)に作るつもりなんですか??? あきらめてくれたんじゃあ…」
ハルヒ 「あん時(shí)はキョンがうるさかったから。いいじゃない、今なら反対するヤツもいないしね」
ハルヒ、ニャリと笑ってカメラを構(gòu)える。長(zhǎng)門(mén)は無(wú)反応で読書(shū)中。おろおろするみくるに、古泉が微笑んで肩をすくめてみせる
〇高校前の坂道。
キョン、坂を見(jiàn)下ろしながら下っている。両手をポケットに突っ込み、テクテクと。
キョンM 「最初にこの坂道を上って登校した日にはウンザリさせられたが、半年以上通っているとすっかり慣れちまった。ハイキングコースみたいな登下校にも、そしてSOS団にもな」
キョン、歩きながら遙か下に広がる風(fēng)景を眺めて、やれやれという表情
キョンM 「今頃、俺のいない部室でハルヒは何をやってんだろう。ヒマだからとかなんとか言って、朝比奈さんをオモチャにしてなければいいんだが」
首に巻くマフラーツ觸るキヨン。
〇文蕓部部室。
最初の位置からまったく動(dòng)かず本を読んでいる長(zhǎng)門(mén)。みくるは怯えた表情で盆を抱えて棒立ち。
ハルヒ 「古泉くん、レフ板係お願(yuàn)いね」
古泉 「解りました」
古泉、部室のガラクタ置き場(chǎng)からレフ板(べニヤに車(chē)用サンシェードを貼ったもの)を引っ張り出す。
ハルヒ 「みくるちゃん、ばうっとしてないでポーズをとりなさい。ほら、ほら」
みくる 「は、ふああい…」
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古泉がレフ板を掲げる前で、みくるを激寫(xiě)するハルヒ。
様々なポーズを取らされるみくる。せわしなく色々な角度からシャッターを切りまくるハルヒ。
〇県道沿いの坂道。
自動(dòng)車(chē)が行き交う車(chē)道沿いの道を歩いているキョン。背景の山際がほのかに紅葉している。
〇文蕓部部室。
ハルヒ、カメラを下ろし、ニパっと笑う。片手にバニーガール衣裝。
ハルヒ 「そろそろ衣裝チェンジしましよ。次はこれ」
みくる 「えー…」
ハルヒ 「いいから、いいから」
腰を引かせるみくるをガッシとつかみ、ハルヒは強(qiáng)制著替えを開(kāi)始。
みくる 「あわわ…わわつ」
古泉は微笑したまま、靜かにレフ板を置くと部室を出て行く。
ポイポイっと空中に投げ出されるメイド衣裝。ただし脫衣そのものは長(zhǎng)門(mén)の頭が邪魔になって見(jiàn)えないカメラワーク。
〇文蕓部部室前通路。
古泉、湯飲みを片手に部室ドアにもたれている。背後にハルヒとみくるの嬌聲。古泉はのんきに、
古泉 「平和ですねえ」
〇文蕓部部室。
ハニーガールとなったみくる。胸元を押さえつつ、ぶるっと震え、
みくる 「うう、さぶいです…。それに、恥ずかしいですよぅ…」
ハルヒ 「みくるちゃん、あなたはもっと自信を持つべきよ。何と言ってもこのあたしが選んだ學(xué)校一のマスコットキャラなんだから。ね、古泉くん」
古泉、またレフ板を持っている。爽やかに、
古泉 「まったく、その通りかと」
ハルヒ、バニーガール朝比奈の激寫(xiě)を開(kāi)始。また様々なポーズと角度から。
ハルヒ 「んじゃ、次。これ著て」
ハルヒの手にはナース服。また脫がされていくみくる。
もちろんその様子は長(zhǎng)門(mén)の頭に隠れて見(jiàn)えな。ハルヒと、ばたつくみくるの手足だけが辛うじてかいま見(jiàn)える。
〇文蕓部部室前通路。
部室ドアにもたれて優(yōu)雅に微笑む古泉。湯飲みを傾け、のんきに、
古泉 「ふー」
〇光陽(yáng)園駅前。
切符を買(mǎi)っているキョン。
〇文蕓部部室。
ナース姿のみくるをハルヒ激寫(xiě)。古泉はレフ板持ち。長(zhǎng)門(mén)は読書(shū)中。
ハルヒ 「はい次。これ」
持っているのはアマガエルの著ぐるみ。
みくるは恐る恐る、
みくる 「あのう、さっきのナース服もそれも、映畫(huà)の中で著たりしてないんですけど…本當(dāng)にこれ、ジャケットの撮影なんですか?」
ハルヒ 「うん、そうよ。でも今アイデアが閃いたわ。この分たと寫(xiě)真集だって作れそうね。どう? 古泉くん、このアイデア」
古泉 「まことにけっこうなアイデアかと」
みくる 「ひええ」
ハルヒ 「いえ、侍って。どうせDVDにするなら、特典としてオマケ映像をつけるべきよね。とう? 古泉くん」
古泉 「非常によいお考えかと」
みくるにウインクするぐ古泉。縮こまるみくる。
〇文蕓部部室前通路。
部室ドアにもたれている古泉。ふと廊下の窓から外を眺め、
古泉 「「どうやら、一雨來(lái)そうですね」
〇電車(chē)內(nèi)。(座席は埋まっている。『光陽(yáng)園女子學(xué)院』の生徒が多い)
つり革を持って揺られているキョン。窓の外では、曇り空が濃くなっている
〇文蕓部部室。
アマガエル衣裝のみくるを撮影した後、今度はウェイトレス(ミクルの冒険で使用)に著替えさせようとするハルヒ。
ハルヒ 「ほら、脫いで脫いで」
みくる 「わわっ、ちょっ…。ひえっ」
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あわや脫がされそうになったみくるの半裸シーンが見(jiàn)えると思いきや、それまでじっと本を読んでいた長(zhǎng)門(mén)が、不意に立ち上がって本棚に移動(dòng)、みくるの姿を覆い隠す。
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ハルヒ(off) 「みくるちゃん、また大きくなったんじゃない? ますますダイナマイトね」
みくる(off) 「涼宮さ…その、觸らないで…ひっ」
※注(off)とは、畫(huà)面上に出ていないキャラクターが話すセリフのこと。
本を選び終えた長(zhǎng)門(mén)、再び定位置の椅子に座る。その動(dòng)きにつられたようにもつれ合うハルヒとみくるも移動(dòng)。結(jié)局、著替えシーンは映らない。ハルヒの姿とわたわたするみくるの髪や手足のみが長(zhǎng)門(mén)ごしに見(jiàn)える。
長(zhǎng)門(mén)、淡々と読書(shū)していたが、ふと
カメラのほうを見(jiàn)て、しばらくそのまま。(冷たい眼差し)
――中CM――
〇大森電器店。
大森電器店店長(zhǎng)(大森栄二郎)が段ボールを床にドスンと置く。
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大森 「これが約束のストーブだよ。持って帰れるかい?」
キョン 「ええまあ、なんとか」
大森 「あの可愛(ài)い娘さんたちは元?dú)荬省?/p>
キョン 「一人が元?dú)荬ⅳ辘工评Г盲皮蓼工琛?/p>
キョン、店內(nèi)を見(jiàn)回す。
キョン 「CMの効果はありました?」
大森 「正直言って、あまり変わってないね」
キョンM 「そりやそうだろうな。高校の文化祭映畫(huà)上映中のCMじゃあ、あまりに局地的すぎる。よくスポンサーなんかになってくれたものだ」
大森 「ところで、あの元?dú)荬韦いつ铯丹螭娫挙茄预盲皮い郡螭坤?、映?huà)の続編を作るって本當(dāng)かい?」
キョン、あきらめ顔。
キョン 「あいつがそう言ってんだったら、そうなるんでしようね」
大森 「次もスポンサーになるよう頼まれてしまったよ」
大森店長(zhǎng)はおかしそうに笑い、
大森 「そのストーブは次のスポンサー料の前渡しだと思ってくれ」
キョンM 「そういうカラクリだったか。いくら何でもタダでくれるなんて話がうますぎると思ったんだ」
× × ×
大森店長(zhǎng)に頭を下げるキョン。にこやかに手を振る大森店長(zhǎng)。キョン、段ボールを抱えて店を出て行く。
キョン 「さて、帰るか」
〇文蕓部部室。
長(zhǎng)門(mén)が一人で本を読んでいる。
〇電車(chē)內(nèi)。(がら空き)
座席に座って揺られているキョン。傍らに電気ストーブ入り段ボール。
〇文蕓部部室。
読書(shū)中の長(zhǎng)門(mén)。ふっと顔を上げて窓のほうを見(jiàn)る。
〇光陽(yáng)園駅前。
改札から出てくるキョン。そこに喫茶店から出てきた谷ロと國(guó)木田が通りすがる。
谷口 「よう、キョン。何やってんだ、こんなところで」
キョン 「見(jiàn)て解らないか。荷物運(yùn)びだ」
谷口はニャニヤと、
谷口 「はん、ご苦労なこった。どうせまた涼宮の命令だろ」
キョンM 「どうやら半年もあればクラスメイトが俺の立場(chǎng)を正しく認(rèn)識(shí)するに充分のようだった」
國(guó)木田は穏やかに、
國(guó)木田 「これから學(xué)校に戻るの? 本當(dāng)にご苦労様だね」
キョン 「まったくだ」
谷口と國(guó)木田、手を挙げながら去っていく。
谷口 「じゃあな」
國(guó)木田 「また明日」
キョン 「おう」
高校への道を歩き出そうとしたところに、ポツリと雨が降ってくる。まだ雨粒程度。
キョン 「ちぇっ、降って來(lái)やがった」
空を仰ぎ見(jiàn)るキョン。
キョンM 「天気予報(bào)じゃ降水確率十パーって言ってやがったのに、あてにならん気象予報(bào)士だ」
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段ボールを抱え直し、歩き出す。
キョン 「本降りにならんことを祈ろう」
〇渡り廊下。
ハルヒ、みくる(ウェイトレス姿でツインテール)、撮 影機(jī)材を抱えた古泉が歩いている。ハルヒは意気揚(yáng)々、みくるは恥じらいつつ、古泉は微笑顔。
古泉がふと足を止め、廊下の窓から空を見(jiàn)上げる。
古泉 「雨のようですね」
窓ガラスが雨粒で濡れ始める。徐々に勢(shì)いを増す雨。
ハルヒとみくるも立ち止まる。
みくる 「キョンくん、大丈夫かな…」
ハルヒは微妙な表情で、窓の外を見(jiàn)つめている。
〇高校へ至る通學(xué)路県道沿い。
段ボールを抱え、息を切らしながら歩いているキョン。
小雨に濡れながら、
キョンM 「今ほどあの部室が戀しいと思ったことはない。一刻早く朝比奈さんの入れてくれるお茶にありついて、心と身體をあっためたいぜ」
〇文蕓部部室。
長(zhǎng)門(mén)が一人で読書(shū)している。と、突然扉が開(kāi)かれ、
鶴屋 「やっぽー、みくるいるーっ? って、あれ? 長(zhǎng)門(mén)ちだけ?」
長(zhǎng)門(mén)は無(wú)言のまま。
鶴屋 「明日の掃除當(dāng)番替わって欲しくてさー。それ頼みに來(lái)たんだけど、みくるは?」
長(zhǎng)門(mén)、無(wú)言で片手を校舎の方に向ける。
鶴屋 「そっちの方にいんのかいっ? あんがとっ」
さくっと立ち去る鶴屋さん。
〇高校前坂道。
小雨の中、黙々と坂を上るキョン。
〇校舎近景。部室の向かいの廊下。(窓の外からの映像)
窓の中で撮影中のハルヒ、みくる、古泉。そこに鶴屋が合流してみくるに何か言っている。〝明日なんだけどさっ、ちょっと用事人っちゃって、掃除當(dāng)番替わってくんない??というロバク。
みくる頷く。ついでにみくると肩を組んで記念撮影する鶴屋。その後、いつもの笑顔でさっくりと立ち去る。
〇昇降口。
キョン、校門(mén)から走って昇降口に辿り著く。
キョン 「やれやれ」
段ボールを置き、服についた雨を手で払っているキョン。そこに現(xiàn)れる鶴屋。
鶴屋 「あれれ、キョンくん、お使いだったのかい?」
キョン 「鶴屋さん」
鶴屋 「道理でっ」(楽しげに)
キョン 「は? 何がです?」
鶴屋 「んーっ(貓のような口になりつつ)、何でもないっさ! ご苦労さんっ。んんっ、濡れてるねっ」
鶴屋、広げたハンカチをキョンの頭に放るようにして被せる。
キョン 「あ、ども」
鶴屋、にこやかな表情で鞄から折りたたみ傘を取り出しながら、キョンが首に巻いているマフラーを指さし、ますますニコヤカに、
鶴屋 「じゃーねーっ、ハンカチなら、それと一緒に後でみくるに渡しといてっ」
そのまま下校していく。その後ろ姿を見(jiàn)送りながら、怪訝な顔つきのキョン。
キョンM 「相変わらず、挙動(dòng)のよく読めない人だ。さばけた感じの良い先輩だが」
〇文蕓部部室。
キョン、段ボールを攜えて部室に入り、マフラーをほどいてハンガーラックのみくるの制服に掛ける。このとき衣裝の中にウェイトレスがないが、キョン気づかず。
長(zhǎng)門(mén)は元々の位置で読書(shū)中。
キョン 「長(zhǎng)門(mén)、お前だけか」
わすかに頷く長(zhǎng)門(mén)。
キョン 「ハルヒ達(dá)は?」
わずかに首を傾げる長(zhǎng)門(mén)。
〇體育館。
ハルヒが撮影するビデオカメラ視點(diǎn)映像の中で、體操著姿のみくるが跳び箱をしている。著地に失敗し、コケるみくる。
ハルヒ(off) 「そう! そこはコケるべきところよ! なかなか解ってるじゃない」
畫(huà)面の中にデジタル表示で録畫(huà)中であることを示す『REC』と、時(shí)間『4:10』が出ている。カメラが振られ、レフ板を持ってニコニコしている古泉が一瞬映りこむ。ここで一端映像が途切れ、再開(kāi)したときには時(shí)間表示は『4:15』になっている。
チアガール姿にチェンジしたみくるが、あやうい手つきでバトントワリングしている。バトンを投げ、取るのに失敗して頭に當(dāng)てるみくる。
みくる 「あいたぁ」
頭を押さえてしゃがみこむみくる。
ハルヒ(off) 「愡れ愡れするくらいのドジっこぶりねえ。ひょっとしてワザとやってない?」
カメラが揺れて古泉を?qū)懁筏坤埂?/p>
ハルヒ(off) 「古泉くん、ちょっと、これ持ってて」
カメラの持ち手が古泉に替わる。時(shí)刻表示が『4:16』に。映像の中、みくるに駆けよっていくハルヒ。バトンを拾い上げると、
ハルヒ 「こうするのよ、こう」
見(jiàn)事なバトン蕓を披露する。
〇文蕓部部室。
キョンM 「三人が今どこで何をしているのか、少しは気がかりだが、さすがに嵩張る荷物持っての坂道登りはこたえたぜ。しかも同じ道を下校時(shí)にまた下りないといけないときた日にはなおさらだ」
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ぶるっと震えたキョン、段ボールから電気ストーブを取り出して、コンセントを繋ぐ。スイッチをオンにして、かじかむ指先をかざす。
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キョン 「あー、指先が冷てえ」
ゆっくりと赤みを増す電気ストーブ。キョン、しばらくストーブ前にしゃがんでいたが、パイプ椅子に座り、テーブルに著く。テーブル上にはやりかけのカードゲーム。
キョン 「疲れた…」
キョンはテーブルに突っ伏す。薄目を開(kāi)けてばんやりしているウチにウトウトし始める。
霞がかった視界の端で、長(zhǎng)門(mén)が本から顔を上げてキョンのほうを見(jiàn)る――と同時(shí)にブラックアウト。
× × ×
しとしとと降り続ける雨の音。テーブルに突っ伏して眠り続けるキョンと、無(wú)言で読書(shū)(『蹴りたい背中』綿矢りさ)している長(zhǎng)門(mén)の姿。長(zhǎng)門(mén)が時(shí)折ページを捲るだけで他に動(dòng)きなし。それたけのシーンがカメラ固定でしばらく続いた後、長(zhǎng)門(mén)は音もなく本を閉じて立ち上がる。
〇部室棟遠(yuǎn)景。
本降りになっている雨。日が暮れかけているので薄暗い。
〇文蕓部部室。
眠っているキョンのアップ。室內(nèi)燈の燈りを誰(shuí)かが遮っているような影がキョンの顔に落ちている。
キョン 「ん……」
キョン、人の気配を感じてゆっくり目を開(kāi)ける。誰(shuí)かが跳びすさったような音。顔を上げると、ハルヒが跳びすさった後のようなポーズで立っていた。部室內(nèi)にいるのはハルヒとキョンだけ。
キョンの肩には女子用カーディガンが引っかけられている。二枚。
キョンは部室を見(jiàn)回し、やや掠れ聲で、
キョン 「あん? お前だけか」
ハルヒ 「何よ。悪いの?」(ちょっと不機(jī)嫌な聲)
キョン 「悪くはないが…」
顔を撫でながら、
キョン 「お前、俺の顔にイタズラ書(shū)きとかしてないだろうな」
ハルヒ 「しないわよ、そんな幼稚なこと」
キョン 「他の三人は?」
ハルヒ 「先に帰ったわ。あんた、なかなか 起きそうになかったから」
まじまじとハルヒを見(jiàn)るキョン。
キョンM 「で、お前は帰らずに殘ってたのか」
ハルヒ、キョンを睨みつつ、早口で、
ハルヒ 「しようがないでしよ、あんた寢てるし、部室に鍵かけて帰らないとダメだし、それに雨も降ってるしっ」
キョン、窓の外を見(jiàn)る。本格的に降っている雨。
ハルヒ 「カーディガン、返しなさい」
キョン 「あ? ああ」
肩にかかっていたカーディガンを取り、ハルヒに手渡す。しかし、もう一枚のカーディガンがキョンの肩に殘される。なぜか怒ったような顔でカーディガンに袖を通しているハルヒ。キョン、二枚目のカーディガンを手に取りながら首をひねる。
キョンM 「一枚はハルヒのもので間違いない。だが、このもう一枚は誰(shuí)のだ?」
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キョンの視線が動(dòng)き、長(zhǎng)門(mén)がいつも座っているテーブルの端(閉じた本が置いてある)と、みくるのメイド衣裝が掛かっているハンガーラックを見(jiàn)比べる。
キョンM 「って待てよ。ということは、朝比奈さんは俺が寢ている橫で著替えをしたのか? くそ、どうして本當(dāng)に寢ちまったんだ。寢たふりをしておけば…」
ハルヒ、カーディガンを羽織り終え、
ハルヒ 「さ、とっくに下校時(shí)間だし、あたしたちも帰るわよ」
キョン、カーディガンを椅子の北冂に掛けながら、
キョン 「ああ。でも俺、傘持ってきてないぜ」
ハルヒ 「一本あれば充分でしょ」
キョンの前に手を突き出すハルヒ。握っているのは男物の黒いコウモリ傘。
〇校門(mén)外。
相合い傘で雨の中を歩くキョンとハルヒ。傘の柄を持っているのはキョン。
ハルヒ 「もっとこっちに寄せなさいよ。あたしが濡れるじゃないの」
キョン 「充分寄せてるだろ……。ああ? この傘、お前のじゃねえな。職員用って書(shū)いてあるぞ」
ハルヒ 「學(xué)校の備品だもん、生徒が使って悪いことなんかないでしょ。それとも何? 濡れて帰りたいってんなら貸さないわよ」
ハルヒはキョンから傘を奪い取り、走り出す。キョン、その姿を眺めつつ、
キョンM 「まったく…。せっかくストーブを貰ってきてやったってのに、いたわりの言葉もなしか、この団長(zhǎng)様は」
?
キョン、溜息を一つついてから、
キョン 「待てよ!」
ハルヒの後を追って走り出す。
ハルヒ、身體ごと振り向く。楽しげな笑顔。そしてアカンベー。
(ストップモーション)
?
おわり。
