空の下の君

あれから十二年経って 今思えば本當(dāng)に幸せな時間だった 時々 彼女は今なにをしてるのだろうと僕はを思う。
? 「見て、孝雄くん」彼女の無邪気な笑顔で僕を仰いでそう話した、その笑顔はどうしようもなく引っかかれる。
「なに 雪野ちゃん」僕は恥ずかしくて少し顔を橫になって言い返した。
「空、こんなにも青いんだ。ねえ~ねえ~どうして人は空を見ただけで心が奪われたみたいに気持ちがいいの?」雪野ちゃんが空を見上げて生ぬるい風(fēng)に彼女の前髪を揺らす。僕はその光景をたぶんこの一生忘れることもないだろう。
近くの桜の樹から吹き飛ばされた桜の花びらが僕と彼女の目の前に通り過ぎて ふっと地上から舞い上がり、空に向かった。
「ね~聞いてる孝雄くん?もう~」かのじょが不機嫌そうな顔で私の前にすぐに立っていた。
「聞いてる 聞いてる」と僕は慌てて答えたけど、ホントは聞いてなかった。
「ウソ ぜったい 聞いてないでしょう」と怒った顔で少し上げた體で僕を睨んだ。彼女のその怒った顔はいま 思えば いとしく哀しくまたいい思い出になったのだ。
「そうかな」と誤魔化すように空を見上げてちょっと笑った。
僕の笑った顔を見てうちに 雪野ちゃんも怒った顔から微笑んで顔に変わった。あの日、僕たちは糸山の山麓の小道を歩いていた、雪野ちゃんは僕の前で歩き、時々上半身だけすこし振り向いて話しかけてくる。僕はそんな満開の桜に包まれた雪野ちゃんを見て初めて幸せを感じた。それもまた 僕がこれからの人生の中で感じる最後の幸せだった
記憶の中では雪野ちゃんが話していることがなんかわからないことが多い。例えば 人っていつ死ぬの?とか、生活の引き換えに僕たちは何を失ったとか、心はどうしても安らぎをえられないんだろかう?たぶん、これは自然からの罰かもねとか。
最初はほんとにわけわからないことだ。今にしては僕がその方向に時々考えるようになった。その時、雪野ちゃんが來島海峽展望臺で話した言葉を思い出す?! ?/p>
「面忘れ いかなる人の するものぞ 吾れはしかねつ 継ぎてし思へば 」という短歌は知ってる?孝雄くん。