7年了!蕾姆終于醒來(lái)了!【小說(shuō)片段翻譯-中日文分離】

翻譯:相晴君
校對(duì):初音瀟??
潤(rùn)色:初音瀟??相晴君
“嗯……”
臉被粗糙的觸感撫摸著,菜月昴一邊呻吟一邊睜開(kāi)了眼瞼。
意識(shí)緩緩浮現(xiàn)。與此同時(shí),在張開(kāi)的眼皮對(duì)面,由模糊的視野,漸漸呈現(xiàn)出一個(gè)完整的輪廓。
在這期間,菜月昴的臉頰一直有粗糙的觸感。
“啊,真羅嗦……知道了。知道了。起床了。我已經(jīng)起床了……”
用力一壓,舔著臉的感覺(jué)讓昴發(fā)出聲音。
他不知道自己到底有多累,喉嚨發(fā)出的聲音細(xì)得讓人難以置信,也不知道自己的意圖有沒(méi)有很好地傳達(dá),沒(méi)有表現(xiàn)出肌膚接觸結(jié)束的樣子。
“不,有多甜啊……你給我看了那么可愛(ài)的一面,想在下次的女主角比賽中躍居首位……”
啊?”
“啊,嗯……”
在空空蕩蕩的嘴里咽下唾沫,總算是做出了語(yǔ)言,得到了回答。
但是,與所期待的回答不同,菜月昴的臉很僵硬。臉頰被舔得黏糊糊的,視野慢慢模糊,浮現(xiàn)在眼前的是——
“啊,啊?”
——是騎在身上舔著臉的路易·阿爾納布。
哇,啊啊啊啊啊――???
“喂!”
菜月昴被這不可能的情景震驚了,馬上就把眼前的路易撞飛了。路易被那個(gè)動(dòng)作推開(kāi),發(fā)出悲鳴滾來(lái)滾去。
看著那個(gè),菜月昴拼命地向后滑著屁股。
「什、什、什、什、什、你???你這是干什么? !你又來(lái)找我……”
嗯,嗯。哇!
“不是??!發(fā)生了什么……難道我死了……?”
菜月昴愕然地瞪著路易,拼命地顫抖著聲音。
在菜月昴面前,路易在草叢里仰著頭,手腳像孩子一樣,撲哧撲哧地叫著。
不明白意圖。目標(biāo)同樣也——不,在那之前,
“這里是哪里?”
菜月昴沒(méi)有從路易身上移開(kāi)視線,一邊加強(qiáng)警戒一邊確認(rèn)周?chē)那闆r。
于是,映入眼簾的是一片翠綠色的平原——花草稀稀落落地在風(fēng)中搖曳,宛如廣闊的草原。
……
這是在奧格里亞沙丘不可能出現(xiàn)的景象。
正確地說(shuō),在花魁熊的群生地也有花圃那樣的東西,不過(guò),這不是不自然的產(chǎn)物,而是作為確實(shí)的自然的植被存在于這里。
稍微遠(yuǎn)點(diǎn)的地方也能看到森林,這讓菜月昴的思考變得混亂。
這里不是奧格利亞沙丘。話雖如此,似乎也不是和路易對(duì)峙的“記憶的回廊”。
“草也是真實(shí)的。味道呢……呸!還真是草!”
菜月昴確認(rèn)了被拔掉的草的味道,那是真的。
然后,根據(jù)自己的傷勢(shì)和衣服破了的程度,確認(rèn)之前的戰(zhàn)斗——圍繞著普列阿德斯監(jiān)視塔的戰(zhàn)斗留下的痕跡。
也就是說(shuō),那場(chǎng)戰(zhàn)斗確實(shí)發(fā)生過(guò),菜月昴還沒(méi)有死。
襲擊了“綠色房間”的龐大的黑影,被那個(gè)吞噬了還能活著——
“——對(duì)了!? 蕾姆!? 蕾姆……”
既然路易就在眼前,同時(shí),同樣抱著它的蕾姆也會(huì)在。
因?yàn)檫@樣的想法,菜月昴把路易放在一邊,在草原的景色中尋找蕾姆。沒(méi)過(guò)多久,他就在低矮的草叢中發(fā)現(xiàn)了她靜靜地躺著的身影。
“蕾姆!啊,太好了……還是好好地,好好地平安無(wú)事
菜月昴跑到蕾姆身旁,確認(rèn)了她平安無(wú)事后,安心地呆在了那里。
看起來(lái),蕾姆也沒(méi)有外傷。身體的熱度和安靜的呼吸都一直很平穩(wěn)。菜月昴從心底松了一口氣,擦去額頭上的汗。
“啊,我放心了。蕾姆要是出了什么事,會(huì)被她姐姐殺死的……”
即使不是這樣,菜月昴自己也一定無(wú)法原諒自己而想要自裁。
一邊考慮著這些,菜月昴一邊抬起頭說(shuō)道:即便如此……”
“這里是哪里……”……塔在哪里?艾米利亞和菲爾子她們……”
環(huán)顧四周,卻無(wú)法確認(rèn)遠(yuǎn)處應(yīng)該也能看到的監(jiān)視塔的存在。
無(wú)論看哪邊,那都是一樣的。
“艾米莉亞——! !? 碧翠絲! !? ?拉姆——! !”
嗯,??!
即使看不見(jiàn),但菜月昴期待著能有答復(fù),呼喚著艾米莉亞她們。
但是,聲音空洞地回響著,回答的只有躺在草叢中的路易。雖然對(duì)這個(gè)事實(shí)很生氣,但不能無(wú)視存在也是真心話。
在毫無(wú)辦法的情況下,但保護(hù)蕾姆的只有自己,菜月昴為了對(duì)付路易而站了起來(lái)——
“……”
——想要靠手臂站起來(lái),卻不知道被誰(shuí)悄悄地拉了起來(lái)。
“——嗯”
單膝跪地,正要站起來(lái)的菜月昴發(fā)出嘶啞的喘息聲。
手臂拉袖子的力量并沒(méi)有那么強(qiáng)。但是,我不能動(dòng)彈了。
“……”
突然,他的膝蓋顫抖起來(lái),菜月昴的全身開(kāi)始莫名其妙地出汗。
真的,那是莫名其妙的沖動(dòng)。內(nèi)臟一起開(kāi)始活動(dòng),所有的叫做菜月昴的人都被這種現(xiàn)象所打動(dòng),開(kāi)始暴走。
那是無(wú)法用語(yǔ)言表達(dá)的沖擊。
那是無(wú)法形容的激動(dòng)?!?/span>
這是在這個(gè)世界上所體驗(yàn)到的驚愕之中,最強(qiáng)烈的巨浪。
“……”
慢慢地,眼皮顫抖,開(kāi)始微微張開(kāi)。
而關(guān)在那眼瞼內(nèi)的,是如同湖水般清澈的淡藍(lán)色雙眸。
那個(gè)快樂(lè)的、又美麗的眼神,我好喜歡。
那個(gè)時(shí)而惡作劇、又閃耀的眼神,我好喜歡。
那個(gè)如同勒緊自己胸口一般懇求的眼神,我好喜歡。
——一直,一直,一直,都渴望著那光輝。
這……
心臟跳動(dòng),喉嚨顫抖,就像被什么東西噎住了一樣,發(fā)不出聲音。
泣不成聲。對(duì)了。即使是那樣。這顆心,充滿了多少思念呢?
想要傳達(dá)的話語(yǔ),想說(shuō)的話題,想交換的愿望,都積累了很多。
為了尋求答案,菜月昴——
“蕾姆?!?/span>
他顫抖著嘴唇,呼喚著那個(gè)名字。
可悲的是,為了這么簡(jiǎn)單的事情,我失敗了很多次。
能清楚地告訴她嗎?也許,我覺(jué)得能說(shuō)的這只是菜月昴的幻想,重要的事情還沒(méi)有傳達(dá)給她。
因?yàn)楹ε?,菜月昴一邊喘著粗氣,一邊不停地重?fù)著。
“蕾姆、蕾姆……蕾姆,蕾姆……蕾……蕾姆……!”
每次菜月昴呼喚著她的名字時(shí),眼淚都止不住地、簌簌落下。
而且每當(dāng)眼淚奪眶而出的時(shí)候,她的身影就會(huì)變得模糊。而且,如果她的樣子看不清的話,又會(huì)害怕這只手會(huì)再次滑下來(lái)。
所以,菜月昴的臉上不停地流著眼淚和鼻涕,還拼命地用袖子擦著自己的臉,拼命地不讓自己的視線離開(kāi)她的臉。
“……”
她安靜地眨著眼,在那朦朧的瞳孔中有明確的光芒在里面。
到了這個(gè)地步,菜月昴明白了這不是迎合自己的愿望而展現(xiàn)出來(lái)的假象。
不會(huì)錯(cuò),在這里的她――就是蕾姆。
“——啊”
虛弱地動(dòng)了動(dòng)嘴唇,蕾姆想開(kāi)口說(shuō)些什么。
僅僅只是聽(tīng)見(jiàn)那嘶啞的一聲,菜月昴的胸口就像快要裂開(kāi)一樣。
一直以來(lái),昴都是通過(guò)對(duì)著她的睡顏輕語(yǔ),聽(tīng)著她淺淺的呼吸聲,來(lái)確認(rèn)她還和生命緊緊相連。
下定決心一定要找回來(lái),迎來(lái)了無(wú)數(shù)個(gè)清晨和夜晚。
但是,在這期間,一次也沒(méi)能聽(tīng)到她的聲音。
閉上眼睛,讓菜月昴想起了她對(duì)他說(shuō)過(guò)的話,叫他名字的各種各樣的場(chǎng)面。——但是,那都是過(guò)去的事了。
不論是今天,還是明天,都好想聽(tīng)到她新的聲音。
這個(gè)心愿,現(xiàn)在終于實(shí)現(xiàn)了。
“嗯……沒(méi)事的,慢慢來(lái)就好了……”
“嗯……”
她焦急地動(dòng)著嘴唇。
如果是真的,應(yīng)該為她舀一杯水吧。但是,附近看不到水源,無(wú)法將目光從她身上移開(kāi)。
一句話也可以,如果她能再一次,叫我一聲昴。
聽(tīng)到這句話,菜月昴——
“嗯……”
……蕾姆?”
靜靜地,蕾姆將嘴唇的動(dòng)作積蓄起來(lái),在干渴的口里尋求微微的滋潤(rùn)。
用分泌的唾液濕潤(rùn)舌頭,總算恢復(fù)了微弱的力量,蕾姆開(kāi)口了。
然后,藍(lán)色的瞳孔映出菜月昴的身影——
“您是...哪位呢”
“……”
從她嘴唇編織出的聲音,這就是聲音和意義的結(jié)合,滲透到菜月昴的腦中。
――你是誰(shuí)
“……”
雙膝跪地,注視著蕾姆的臉的菜月昴屏住了呼吸。
然后,吐出在肺深處積存的苦澀的氣,用力拍了拍自己的胸。
用力、用力地拍兩三下,然后告訴自己。
——這種可能性是預(yù)料之中的。
醒來(lái)的蕾姆,不記得昴的事,這種可能性也是考慮過(guò)的。
考慮到“暴食”的權(quán)能,這是自然的趨勢(shì)。雖然她失去了自己的“記憶”或“名字”,但完全有可能醒來(lái)。
是的,完全有這個(gè)可能,并不是沒(méi)想過(guò)蕾姆會(huì)失去記憶
當(dāng)然,菜月昴所受到的沖擊并不是為零。
即便如此,我也不再因詛咒命運(yùn)而絕望,不再因不合理的行為而憤怒,不再像悲劇的主人公那樣憐憫自己。
最重要的是,菜月昴早已被人們所熟知。
“讓我看看你帥氣的一面吧,昴君。”
“我的名字叫菜月昴?!?/span>
菜月昴使勁地咬著牙,嘆了口氣,臉頰也扭曲了。
菜月昴用力擦拭著臉,竭盡全力虛張聲勢(shì)地對(duì)蕾姆微笑。
如菜月昴的風(fēng)格的,毫無(wú)根據(jù)的爽朗笑容展現(xiàn)了出來(lái)。
“現(xiàn)在可能還想不起來(lái)。但是,我……”
“你…是…”
面對(duì)雷姆嘶啞的提問(wèn),昴的喉嚨哽咽了一下,然后緊緊閉上了眼睛。
然后,用漆黑的雙瞳回望著那對(duì)藍(lán)色的眼眸,繼續(xù)說(shuō)道。
“我是,你的英雄?!?/span>蕾姆,我好想見(jiàn)你”
語(yǔ)畢,為了曾與之立下誓言的少女,菜月·昴重新以英雄自居。
背負(fù)著傷痕累累的英雄形象,少年為了少女,再次這樣自報(bào)姓名。
——再一次,在這里發(fā)誓。為了從零開(kāi)始,開(kāi)始和她的故事。
————————————————————————————————————————
?
是的。至此,花了很長(zhǎng)時(shí)間寫(xiě)的《Re:從零開(kāi)始的異世界生活》第六章結(jié)束了。哈!?不是完全才一半嗎!帶著這樣的想法,章節(jié)會(huì)明確地從這里開(kāi)始改變,這是正確的道路。留下了各種各樣的謎團(tuán)的監(jiān)視塔、不知被扔到哪個(gè)角落的菜月昴,事態(tài)會(huì)怎么樣呢。請(qǐng)期待最近開(kāi)始的第七章。25卷的書(shū)籍工作結(jié)束后,開(kāi)始放松。那么,以后也請(qǐng)多關(guān)照!
日文原文
「う……」
ざらついた感觸に顔を撫でられ、スバルは呻きながら瞼を開(kāi)けた。
意識(shí)が、ゆっくりと浮上してくる。それに合わせ、開(kāi)いた瞼の向こうでぼやけた視界、それが徐々にまともな輪郭を帯びてくる。
その間も、なおもスバルの頬にはざらついた感觸がずっとあって。
「ぱと、らっしゅ……わか、った。わかった、から。起きた。もう、起きたよ……」
?
ぐいぐいと圧し掛かり、顔を舐める感觸にスバルは聲を絞り出す。
どれだけ疲れ切っているのか、喉から漏れる聲は信じられないほどか細(xì)くて、うまく意図が伝わらないのか、そのスキンシップが終わる様子を見(jiàn)せない。
「いや、どんだけ甘えんだ……お前、そんな可愛(ài)いとこ見(jiàn)せて、次のヒロインレースでトップに躍り出る気……」
「あーぅ?」
「あー、う……?」
カラカラの口の中で唾を呑み込み、どうにか言葉を作ったところへ返答があった。
だが、その返答が予期したものと異なり、スバルは頬を硬くする。べろべろと舐められた頬、ゆっくりと視界のぼやけが取れ、そこに浮かび上がるのは――、
「う、ぁー?」
――スバルに馬乗りになり、顔を舐めているルイ?アルネブだった。
「う、おわあああ――っ???」
「うあんっ!」
そのありえない光景に驚愕し、スバルはとっさに目の前のルイを突き飛ばした。その動(dòng)作に押され、悲鳴を上げたルイがゴロゴロと転がる。
それを見(jiàn)ながら、スバルは必死に後ろに尻を滑らせ、
「な、な、な、なんだ、てめぇ??? 何のつもりだ!? また、俺をおちょくって……」
「うー、うー? うあー」
「うあーじゃねぇ! 何が、何があった……俺は、死んで……?」
愕然と、ルイを睨みつけながら、スバルは必死に聲を震わせる?!?/span>
そのスバルの前で、ルイは草むらで仰向けになったまま、手足を子どものようにバタつかせて唸っている。
意図がわからない。狙いも――否、それ以前に、
「ここ、どこだ……?」
ルイから視線を外さず、スバルは警戒を強(qiáng)めながら周?chē)欷螛斪婴虼_認(rèn)する。
すると、目に飛び込んでくるのは鮮やかな緑の平原――草花がちらほらと風(fēng)に揺れているそれは、広い草原のような場(chǎng)所だった。
「――――」
アウグリア砂丘にはありえない光景。
正確には、花魁熊の群生地には花畑のようなものもあったが、これはそういった不自然の産物ではなく、確かな自然の植生としてここにあるものだ?!?/span>
遠(yuǎn)く、少し離れた場(chǎng)所には森があるのも見(jiàn)えて、スバルの思考を混亂させる。
ここは、アウグリア砂丘ではない。かといって、ルイと対峙した『記憶の回廊』というわけでもなさそうだった。
?
「草にも、実體がある。味も……ぺっぺっ! 草だ!」
毟った草の匂いと味を確かめ、スバルはそれが本物であるのを確かめた。
それから、自分の負(fù)傷や服の破れ具合から、直前の戦闘――プレアデス監(jiān)視塔を取り巻く戦いの痕跡、それが殘っているのを確認(rèn)する。
つまり、あの戦いは確かにあったことで、スバルはまだ死んでいない。
『緑部屋』を襲った膨大な黒い影、あれに呑まれながらも生き殘って――、
「――そうだ! レム! レムは……」
目の前にルイがいるのなら、あの瞬間、同じように抱えていたレムもいるはず。
その思いからルイを放置し、スバルは草原の景色にレムを探した。そして、程なく、背の低い草むらの中、靜かに橫たわる彼女の姿を発見(jiàn)する。
「レム! ああ、よかった……ちゃんと、ちゃんと無(wú)事だ……」
レムに駆け寄り、スバルはその無(wú)事を確かめ、安堵でその場(chǎng)にへたり込む。
見(jiàn)たところ、レムにも外傷はない。體の熱も、靜かな呼吸もずっと見(jiàn)てきたままだ。そのことに心の底から安堵して、スバルは額の汗を拭った。
「はぁ、安心した。レムに何かあったら、姉様に殺されるからな……」
それでなくても、スバル自身が自分を許せなくて自裁したくなる。
そんなことを考えながら、スバルは「それにしても……」と顔を上げ、
「ここはどこで……塔はどこにいったんだ? エミリアとベア子たちは……」
ぐるりと周?chē)欷蛞?jiàn)回すが、遠(yuǎn)目にも見(jiàn)えるはずの監(jiān)視塔の存在が確認(rèn)できない。
四方どちらを見(jiàn)ても、それは同じことだった。
「エミリア――??! ベア子??! ラム――!!」
「うー、あーっ!」
見(jiàn)えないまでも、返事があることを期待してスバルがエミリアたちを呼ぶ。
しかし、聲は空しく響き渡り、返事をしたのは草むらに寢そべるルイだけだった。その事実にも腹が立つが、彼女の存在を無(wú)視できないのも本音だ。
何を企んでいるのか、間違いなく持て余す?fàn)顩r下、しかし、レムを守れるのは自分しかいないと、スバルはルイに対処するべく立ち上がり――、
「――――」
――立ち上がろうとする腕を、そっと誰(shuí)かに引かれた。
「――え」
片膝をついて、立とうとしていたスバルは掠れた息をこぼした。
腕を、服の袖を引く力はそれほど強(qiáng)くはない。しかし、動(dòng)けなくなった。
「――――」
ガクガクと膝が震え、スバルの全身がわけのわからない汗を掻き始める。
本當(dāng)に、それはわけのわからない衝動(dòng)だった。內(nèi)臓が一斉に動(dòng)き始め、ナツキ?スバルという人間の全部が、その現(xiàn)象に打たれ、暴れ出している。
それは、言葉にならない衝撃だった。
それは、たとえようもないほどの激情だった。
それは、この世で味わった驚愕の中でも飛び切り強(qiáng)い大波だった。
「――ぁ」
ゆっくりと、瞼が震えて、薄く開(kāi)き始める。
その向こうに閉ざされていたのは、湖のように澄んだ薄青の瞳。
楽しげに華やぐそれが、好きだった。
?
時(shí)に悪戯っぽく輝くそれが、好きだった。
胸を締め付けるほどに懇願(yuàn)するそれが、好きだった。
――ずっと、ずっと、ずっと、その輝きに焦がれていた。
「れ……」
心臓が弾み、喉が震え、まるで何かを詰まらせたみたいに聲が出ない。
詰まらせた。そうだ。そうだとも。この胸、どれほどの想いが詰まっていたことか。
伝えたい言葉も、話したい話題も、交わしたい願(yuàn)いも、積もるほどにあった。
それを求めて、ナツキ?スバルは――、
「――レム」
唇を震わせ、名前を呼んだ。
情けないことに、たったそれだけのことをするために、何度も失敗してしまった。
はっきりと、彼女に伝わるように言えただろうか。もしかしたら、言えたと思ったのはスバルの幻想に過(guò)ぎなくて、大切なことは伝わっていないのでは。
それが怖くて、喘ぐように呼吸しながら、スバルは何度も繰り返す。
「レム、レム……レムっ、レムぅ……れ、む……れむぅ……!」
ボロボロと、彼女の名前を一度呼ぶたびに、滂沱と涙が溢れ出した。
そうして涙が溢れるたびに、彼女の姿がぼやけてしまう。そうして、彼女の姿が曖昧になったら、またしてもこの手を滑り落ちてしまいそうで、それが怖い。
だから、スバルは顔面を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、必死で自分の顔を袖で拭って、彼女の顔を見(jiàn)失わないように必死になった。
「――――」
パチパチと、靜かに瞬きして、薄ぼんやりとしていた瞳に確かな光が宿る。
ここまでくれば、これはスバルの願(yuàn)望が見(jiàn)せたまやかしなんかではないとわかる。
間違いなく、ここに彼女が――レムが、いる。
「――ぁ」
弱々しく唇を動(dòng)かし、レムが何事か口にしようとする。
その聲の、掠れた一音が聞けただけで、スバルは胸がはち切れそうな思いだった。
ずっと、彼女の寢顔に語(yǔ)りかけ、寢息を立てるその命が繋がっているのを確かめた。
必ず取り戻すと心に誓い、幾度も幾度も朝と夜を迎えてきた。
だが、その間、ただの一度も、彼女の聲は聞けなかった。
?
目をつむれば、彼女がかけてくれた言葉が、名前を呼んでくれたことが、様々な場(chǎng)面でのことが思い出された。――でも、それは全て過(guò)去のことだ。
今を、明日を、新しい彼女の聲が聞きたかった。
それが今、ようやく葉う。果たされる。
「れ、む……大丈夫、だ。ゆっくりでいいから……」
「――ぅ」
もごもごと、もどかしげに彼女は唇を動(dòng)かす。
本當(dāng)なら、彼女のために水の一杯でも汲んでくるべきなのだろう。しかし、近くに水場(chǎng)は見(jiàn)當(dāng)たらないし、彼女から目を離せない。
?
一言でいい。彼女がもう一度、スバルを呼んでくれたら。
その一言が聞けたら、スバルは――、
「――たは」
「……レム?」
靜かに、レムが唇の動(dòng)きを溜め、渇いた口內(nèi)に微かな潤(rùn)いを求める。
分泌される唾液で舌を濕らせ、何とかささやかな力を取り戻し、レムは口を開(kāi)いた。
そして、その青い瞳にスバルを大きく映しながら――、
「――あなたは、だれ、ですか?」
「――――」
唇から紡がれる聲、それが確かな音と意味を結(jié)び、スバルの脳に浸透する。
――アナタハダレ、と。
「――――」
膝をついて、レムの顔を覗き込んでいたスバルは息を詰めた。
それから、肺の奧に苦々しく溜まった息を吐いて、自分の胸を強(qiáng)く叩く。
強(qiáng)く、強(qiáng)く、二度三度と叩いて、己に訴えかける。
――この可能性は、予期していたはずだ。
目覚めたレムが、スバルのことを覚えていない可能性は考えていた。
『暴食』の権能のことを考えれば、それは自然な成り行きだ。彼女が自分の『記憶』か『名前』を失い、目を覚ますことは十分にありえた話だった。
そう、十分ありえた話だ。だから、考えないわけではなかった。
もちろん、それでスバルの受ける衝撃が、痛みがゼロになるわけではない。
?
それでも、運(yùn)命を呪って絶望したり、不條理に怒りをぶつけて悲劇の主人公ぶるほどに自分を憐れまなくて済んだ。
何より、ナツキ?スバルはすでに言われている。
?
『かっこいいところを、見(jiàn)せてください。スバルくん』
「――俺の名前はナツキ?スバル」
ぐっと、強(qiáng)く奧歯を噛みしめて、スバルは嘆きかけた顔を下ろし、頬を歪めた。
ぐしぐしと顔を拭い、精一杯虛勢(shì)を張って、スバルはレムに笑いかける。
ナツキ?スバルらしい、晴れ晴れしいほどに根拠のない笑みで。
「今はまだ、思い出せないかもしれねぇ。でも、俺は……」
「あなた、は……」
レムの掠れた問(wèn)いかけに、スバルは一度言葉を切り、ぎゅっと目をつむった。
それから、その青い瞳を黒瞳で見(jiàn)つめ返し、続ける。
「俺は、お前の英雄だ。――レム、會(huì)いたかった」
そう言って、誓いを立てた少女のために、今一度、ナツキ?スバルは英雄を名乗った。
傷だらけの英雄像を背負(fù)い、少年は少女のため、再びそう名乗った。
?
――もう一度、誓いをここに。ゼロから、彼女との物語(yǔ)を始めるために。
?
————————————————————————————————————————
?
はい。これにて、長(zhǎng)らくかかりました『Re:ゼロから始める異世界生活』六章終了です。
はあ!? めちゃめちゃ途中じゃねぇか!?
と思われるかもしれませんが、明確にここから章が変わるので、これで正道です。
様々な謎を殘した監(jiān)視塔、どこぞへ飛ばされたスバルたち、事態(tài)はどうなるのか。
どうぞ、近日開(kāi)始の七章を楽しみにお待ちください。
25巻の書(shū)籍作業(yè)が終わったら、ゆるゆる始めます。では、以降もよろしく!
?
?
小說(shuō)原文來(lái)自網(wǎng)絡(luò)。