河鹿の屏風(fēng)（河鹿屏風(fēng)）

作者：岸（きし）　なみ

昔、上狩野（かみかの）に代々続く家の主（あるじ）に、菊三郎（きくさぶろう）と言う人がありました。（從前，上狩野歷代的家主中有一個(gè)叫作菊三郎的人。）

悪気はないが怠け者で、のらりくらりと遊び暮らしたあげくに、山林や田畑を大方売り盡くし、それでも、まあだ借金が殘ると言う始末でした。（菊三郎雖沒有歹意，但是個(gè)懶漢，游手好閑地混日子，最后賣光了大部分的山林、田地，即便如此，還有借款未還。）

そこで菊三郎は、最後に殘った山を売るため、山見に出掛けて行きました。（于是菊三郎為了賣掉最后剩下的山，出門去看山了。）

その山は、谷川を挾んで、美しい木立が晝も暗いほど茂り合っていました。（山間夾著溪流，美麗的樹叢繁茂到白天也很昏暗。）

そして、谷の川床（どこ）には、昔から沢山の河鹿（かじか）が住んでいました。毎年初夏の頃から、哀れ深い河鹿の鳴き聲がこの辺り一帯に満ちて、そのために、ここを、河鹿沢（ざわ）と呼んでいるくらいでした。（并且，山谷的河床邊從以前開始就棲息著很多河鹿。每年初夏起，這一帶滿是河鹿無比凄涼的鳴叫聲，為此，這里甚至被稱作河鹿?jié)?。?/p>

菊三郎は、遙々山見にやって來て、売り払うつもりの木や土地の見積もりなどをしていましたが、そのうちに疲れて一休み、沢の巖陰に憑れている間に、ついうとうとと眠ってしまいました。（菊三郎千里迢迢來看山，估價(jià)了準(zhǔn)備賣掉的樹木、土地，累了便休息片刻，倚靠在濕地巖暗處的時(shí)候，不知不覺間迷迷糊糊地睡著了。）

やがて、ひどく冷たい手が肩を揺すぶるのに目を開けてみると、そこに、不思議な老人が立っていました。（沒過多久，非常冰冷的手搖著他的肩，他睜開眼睛一看，只見不可思議的老人站在眼前。）

顔は河鹿にそっくり、著物は川藻（も）の如く垂れ下がり、裾からは、ぽとぽとと雫が垂れていました。（老人的臉和河鹿長得一模一樣，和服像河藻一樣下垂，衣服下擺處水珠滴滴答答地滴落著。）

老人は、しわがれた聲で菊三郎に言いました。「菊三郎どの。わしは、この河鹿沢の河鹿の頭領(lǐng)じゃ。折角の晝寢の妨げをしたは、ここに住みつく河鹿どもに代わって、お願(yuàn)いをするため。聞いてくだされよ。お願(yuàn)いというのは、ほかでもない。今、そなたが立ち木を數(shù)え、地を測って売ろうとしているこの河鹿沢を、なにとぞ売らないでくだされということじゃ。売り渡されれば、両岸の木は切られて、谷は日照りに乾き、雨があれば、川床は濁り水に押し流されてしまうであろう。河鹿どもが住むことは、できなくなりますのじゃ?！梗ɡ先擞蒙硢〉穆曇魧杖烧f道：“菊三郎大人。老朽是這河鹿?jié)傻暮勇故最I(lǐng)。打擾到您午睡是因?yàn)槲乙碜≡谶@里的河鹿們，向您提出請求。請聽一下。請求不是別的，正是請不要賣掉您數(shù)樹木、測土地而準(zhǔn)備賣掉的這個(gè)河鹿?jié)伞Ｙu掉的話，兩岸的樹木將被砍掉，山谷會(huì)被日照曬干，一下雨，河床將被濁水沖垮。河鹿們就無法居住了?！保?/p>

なるほど—と、菊三郎は思いました。河鹿は、緑深い、清らかな谷川の畔を好んで住みます。（原來如此，菊三郎想道。河鹿喜歡住在綠意盎然的、清澈的河床邊。）

「のう—、お願(yuàn)いじゃ?！估先摔饯ρ预盲啤⒀氦讽敜瑜Δ摔筏凭杖嗓问证蛉·盲繒r(shí)、その手があまり冷たいので、菊三郎は、はっとして我（われ）に返りました。（“拜托您了?！崩先巳绱苏f道，恭敬地抓住菊三郎的手的時(shí)候，由于那雙手過于冰冷，菊三郎一下子清醒過來。）

「さては夢であったか—。それにしても、不思議な。」夢にしては生々しく、ひどく気になってなりません。（“這是夢嗎？若是夢的話很不可思議啊?！弊鳛閴魜碚f栩栩如生，菊三郎對此非常在意。）

流石怠け者の菊三郎も、夢のためばかりでなく、先祖から受け継いだ山や谷を人手に渡すことを、初めてすまないと思うようになっていました。（就算是懶漢菊三郎，也不只是因?yàn)閴?，他初次覺得把從祖先那里繼承下來的山谷交給其他人很過意不去。）

土蔵の中の書畫や骨董、あらゆるものを金に換えて、やりくり算段に駆け回ったあげく、やっとどうにか河鹿沢を持ちこたえることが出來た時(shí)、家の中に殘った物と言っては、こればかりは売り物にもならぬ白い枕屏風(fēng)が、たった一つだけ—。菊三郎は、この枕屏風(fēng)を枕元に立て回して、やれやれの吐息と一緒に、その夜を獨(dú)り、ひっそりと、眠りにつきました。（菊三郎用倉庫里的書畫、古董等所有的東西換了錢，四處奔走設(shè)法籌錢，最后終于勉強(qiáng)保留下了河鹿?jié)傻臅r(shí)候，家里只剩下賣不了的一扇白色枕邊屏風(fēng)。菊三郎將這枕邊屏風(fēng)豎圍在枕邊，嘆了口氣，然后這一夜獨(dú)自靜靜地睡著了。）

明け近いと思われる頃、沢山の河鹿の鳴き頻る聲に取り巻かれたような気がして、菊三郎は目が覚めました。（臨近黎明之時(shí)，菊三郎感覺被眾多河鹿不斷鳴叫著的聲音圍繞著，便醒了。）

ふと起き上がった菊三郎は、思わず、あっと叫びました。（一下子爬起來的菊三郎不禁叫了起來。）

枕元から縁側(cè)にかけて、點(diǎn)々と水に濡れた足跡が続いています。そして、白い屏風(fēng)の面（おもて）には、いつの間に、誰が來て描いたのでしょう、墨の色も鮮やかに、沢山の河鹿が谷間に戯れている絵が、生き生きと描かれてありました。畫面はまだ濡れていて、見ると、床の間の矢立の筆からは、墨が滴っているのでした。（從枕邊到走廊，有著一點(diǎn)點(diǎn)濕漉漉的腳印。并且，白色的屏風(fēng)表面，不知何時(shí)，有人來畫了墨色鮮明、栩栩如生的眾多河鹿在谷間嬉戲的畫。畫面還是濕的，再一看，地板間的硯盒中的筆還滴著墨。）

なんとも不思議な—と、菊三郎は、その絵に見とれました。墨一色の濃淡をものの見事にかき分けた、河鹿の群れ遊ぶ図は、見る者の心に不思議な感動(dòng)をそそりました。（多么不可思議啊。菊三郎看這幅畫看得入迷了。僅用不同濃淡的墨色，完美地畫出的河鹿群嬉戲圖，勾起了觀者內(nèi)心不可思議的感動(dòng)。）

描いた者の知れない名畫として、河鹿屏風(fēng)の噂は、人から人に流れました。（河鹿屏風(fēng)作為畫者不明的名畫，廣為流傳。）

都から遙々下ってきた、ある名高い絵師は、この屏風(fēng)を見るより感嘆の聲を放ちました。千両箱を攜えて、屏風(fēng)の譲渡しを頼んでくる者も、二、三にはとどまりませんでした。が、何を思うところあってか、菊三郎は、この屏風(fēng)を、一代の家寶じゃと言って、手放しませんでした。（從京城千里迢迢趕來的某個(gè)著名畫師，看到這扇屏風(fēng)的時(shí)候連連感嘆。帶著千兩箱，懇求轉(zhuǎn)讓屏風(fēng)的人也不止兩三人。然而，不知菊三郎是怎么考慮的，說這扇屏風(fēng)是一代家寶，沒有出讓。）

そして、何一つないがらんどうの家の中から、生まれ変わったような、働き者の第一歩を踏み出しました。（然后，菊三郎從空空如也的家中開始，脫胎換骨，踏出了勤勞工作的第一步。）

やがて、長い月日の後に、見事に家を再興した菊三郎は、老いて亡くなりました。菊三郎が亡くなると、不思議なことに、屏風(fēng)の絵は年ごとに薄れていって、とうとう消えてしまったということです。（最后，經(jīng)過了漫長的歲月，復(fù)興了家族的菊三郎衰老死去。菊三郎死后，不可思議的是，屏風(fēng)的畫一年年地淡化，最后消失了。）

俗に河鹿沢と言う、浄蓮（じょうれん）の滝の上の方、渓流にやや川床の開けた辺りでは、今でも、鳴きしく河鹿の聲を聞くことが出來ます。（世稱的河鹿?jié)?，在凈蓮瀑布的上方，溪流中一些河床的附近，至今也能聽到河鹿頻頻鳴叫的聲音。）

詞匯

上狩野：靜岡縣伊豆市中部的村子。

のらりくらり：游手好閑、無所事事；推推托托、態(tài)度曖昧

見積もり（みつもり）：估量、估計(jì)、估價(jià)

うとうと：迷迷糊糊、似睡非睡

ぽとぽと：液體不斷滴落的聲音及其樣子

やりくり：設(shè)法安排、籌劃、籌措；男女幽會(huì)

戯れる（たわむれる）：玩耍、嬉戲；戲弄、調(diào)戲

矢立（やたて）：箭筒；小硯盒；攜帶式筆墨盒

千両箱（せんりょうばこ）：江戶時(shí)代保管貨幣的容器，一般是放一千兩，也有兩千兩、五千兩的箱子，箱子大小不定

攜える（たずさえる）：攜帶、拿；偕同、攜手、手拉手

がらんどう：空空的、空曠的

作業(yè)

1.讀課文