【日本小5道德】16#煎蛋卷
卵焼き(煎蛋卷)
作者:福井 三亥(ふくい さんがい)
秋も深まった山の辺の道。天気に恵まれ、遠足の子供達の表情も明るい。ようやく目的地のお寺に到著。
(深秋的山邊道路。天氣晴朗,遠足的孩子們的表情也很明朗。大家終于到達了目的地的寺院。)
木立に囲まれた広いお寺の境內(nèi)で、五年生は、それぞれのグループを作ってお弁當を開き始めた。擔(dān)任の由紀先生は學(xué)級の子らを見て回った。皆ご馳走が詰めてあり、どの子のお弁當にも卵焼きが入っていた。由紀先生の胸には、あの日のことが蘇ってくるのであった。
(被樹木圍繞著的寬敞的寺院內(nèi),五年級生們各自分組,開始打開便當。班主任由紀老師環(huán)視著班級的學(xué)生們。大家的菜都塞得滿滿當當,每個孩子的便當里都有煎蛋卷。由紀老師回想起了那天的事情。)
由紀が五年生の秋、遠足があった。その朝、由紀は母に起こされて慌てて飛び起きた。母から渡されたお弁當を手早くリュックサックに入れ、學(xué)校へと急いだ。その時は遅れたら困るという一心で、昨夜のことはすっかり忘れていた。
(由紀五年級時的秋游。這天早上,由紀被母親叫醒后,急忙跳起。她將母親遞給她的便當迅速裝入背包,然后趕緊去學(xué)校。這時,她一心想著遲到的話就不好了,完全忘記了昨晚的事。)
やがて山の頂上に著いた。そしてグループに分かれてお弁當を開いた時、のりをつけたおにぎりの橫に並んでいる卵焼きの黃色が、由紀の目に飛び込んできた。由紀は思わず「あっ?!工妊预β暏騾驻螭馈?/p>
(不久后到達了山頂。然后分組打開便當?shù)臅r候,海苔飯團旁邊的黃色煎蛋卷映入了由紀的眼簾。由紀不由得差點“啊”出聲來。)
前の日の夕方、畑から疲れた表情で帰ってきた母に、由紀は待ちかねたように頼んだ。
(昨日傍晚,由紀等不及地拜托一臉疲憊地從田里回來的母親道。)
「お母さん、遠足のお弁當作ってや?!?/p>
(“媽媽,幫我做遠足的便當。”)
「ああ、作ったるとも。せやけどなあ由紀。いいおかずがないので、竹輪と野菜で辛抱しといてや?!?/p>
(“好啊,當然做啊。但是啊由紀。沒有什么好菜,就只有魚糕和蔬菜,你忍耐一下吧。”)
「お母さん、私の大好きな卵焼きにして?!?/p>
(“媽媽,給我做我最喜歡的煎蛋卷。”)
「それがなあ、卵を切らしてしもて、一つもないのや?!?/p>
(“啊,雞蛋一個都沒了。”)
由紀はそれを聞くと、かえって卵焼きがほしくなった。
(由紀聞言,反而非常想要煎蛋卷。)
その頃、卵は値段が高くてなかなか買えるものではなく、お祝いや病気など特別な時にしか食べられなかった。だから、卵焼きはご馳走の一つだった。
(此時的雞蛋價格高昂,很難買到,只有在慶祝以及生病等特殊情況下才吃。因此,煎蛋卷是酒席佳肴之一。)
「お母さん、卵焼きこしらえて!」と、由紀は同じことを何遍も繰り返し、いつになくだだをこねた。母は初めはなだめていたが、しまいにはこらえかねて、「この子は!何遍言うたら分かるのや?!工却舐暏虺訾筏?。そこに、山仕事を終えて父が帰ってきた。事情を聞くと父は、「由紀、わがまま言うたらあかん。卵がないねから、ほかのおかずで辛抱しとけ?!工妊预盲坡劋护?。いつもなら父の言うことをよく聞く由紀なのに、「卵焼きほしい!卵焼きほしい!」と、泣きじゃくりながらごねた。
(“媽媽,給我做煎蛋卷!”由紀反復(fù)說著同樣的話,一反常態(tài)地纏人。母親最初安撫她,最后忍不住地大聲道:“你這孩子!要說幾遍你才懂?!边@時,做完山里活的父親回來了。父親聽說了事情的前因后果后,說道:“由紀,別任性。沒有雞蛋,你吃其它的菜忍耐一下。”平??偸锹牳赣H話的由紀,抽泣著不滿道:“我要煎蛋卷!我要煎蛋卷!”)
そして、奧の間へ駆け込み、敷いてあった布団の中へ潛り込んだ。いつの間にか泣き疲れて、夕飯も食べずに寢入ってしまった。
(然后,她沖進了內(nèi)室,鉆進了鋪好的被褥中。不知何時,她哭累了,晚飯也不吃就睡著了。)
由紀は開いたばかりのお弁當の蓋を閉じた。そのまま、皆と喋りながら食べる気がしなかった。松の木の下へ場所を移した。一人になった由紀は、そっとお弁當の蓋を開き、卵焼きの一切れを口の中に入れた。ゆっくり口を動かしていると、卵焼きの美味しい味が口いっぱいに広がり、瞼には昨夜の父の顔と母の顔が浮かんできた。いつの間にか由紀の頬を、涙が一筋二筋流れていた。
(由紀將剛打開的便當又蓋上了。她不想就這樣和大家一邊聊天一邊吃。她來到了松樹下。獨自一人的由紀輕輕打開了便當?shù)纳w子,然后將一塊煎蛋卷送入了口中。她緩緩地咀嚼著,煎蛋卷的美味在口腔中蔓延開來,眼前漸漸浮現(xiàn)出了昨晚父母的臉。不知何時,由紀的臉頰上流下了一兩道眼淚。)
遠足から戻って、由紀は母を見るなり、「お母さん、卵焼き美味しかったわ?!工取⒍Yを言った。母も嬉しそうだった。
(由紀遠足回家后,一看到母親就答謝道:“媽媽,煎蛋卷很好吃。”母親也很高興。)
「そうか、良かったなあ?!?/p>
(“是嗎,太好了?!?/span>)
「お母さん、卵どうしたん?」
(“媽媽,雞蛋是怎么回事?”)
「実はな、お前が泣き寢入ってから、お父さんが奧の間へお前の様子を見に行って、由紀の顔に涙がまだついている、よっぽど卵焼きが欲しかってんなあ、と言い出しはったんや?!?/p>
(“其實在你哭得睡著之后,你爸到內(nèi)室看你,然后說你的臉上還有眼淚,看來是非常想要煎蛋卷。”)
「うん?!?/p>
(“嗯?!?/span>)
「由紀があんなに欲しがるのやから、何とかならんのかと、お父さんが言われたんで、竹造さんとこまで行けば卵あるやろというたら、遠いけど行って分けてもろてくるかと言われたんや?!?/p>
(“你爸說既然你那么想要,能不能想想辦法呢。我說竹造家應(yīng)該有雞蛋吧,然后你爸說雖然很遠,但我去讓他分一些給我們。”)
由紀の家は山の奧にあり、隣の家とも遠く離れていた。
(由紀的家在深山,去隔壁家也距離很遠。)
「夜、あんな遠い家まで行ってくれはったん?」
(“晚上去那么遠的地方?”)
「うん、お父さんが行かれんでも、お母さんは行ってくるつもりしとったけどな?!?/p>
(“是啊,就算你爸不去,我也打算去的?!?/span>)
由紀先生は、幼い日の感動を噛み締めていた。
(由紀老師細細回味著幼時的感動。)


