對談的原文（日語）文字稿如下

「人妻·愛人スポーツクラブ」

２０００年８月２５日、東京·神宮前の安西水丸事務所で収録（８分５０秒）

水「村上さんはあれですか、小さい時からスポーツ好きだったんですか？」

春「小さいときはスポーツ嫌いだったんだよね。運動會が來るのがね、いやで。走るのが遅かったからね」

水「僕なんかも完璧に嫌いだったね」

春「運動會っていやですよね」

水「うん、運動會嫌いだった。だから運動會があると、病気になんないかとかね、そんな感じで。本當に、走るのもいつもびりだったし」

春「遅かったんですか？」

水「遅かった。遅かったし、例えばバスケットボールなんかでも、絶対にこうシュートしても入らないしね。バレーボールでも、とにかくネットをボールが越えなかったりとかね。とにかくすごく力がなかった。なんか身體を動かすことがそんなに得意じゃなかったんだね」

春「うちも親があんまりスポーツに興味を持たなかったから、（僕も）あんまり興味を持たなかったし、そうするとなんか、なかなかできないんだよね」

水「そうだね」

春「跳び箱きらいだったでしょう？」

水「うん、嫌いだった。跳び箱も、鉄棒も、とにかく體操の時間がすごくいやだったね。體操があると、先生が怖かったしね。體操の先生って。だから何かこう、すごく緊張しちゃっててね。楽しんでスポーツするなんてことはほとんどなかったね」

春「でもね僕も走るのいやだったけど、３０過ぎて走り始めて、こんなに楽しいかと思ってね。そうするとね、すごく走れるようになるんですよね。３０過ぎても」

水「うんうん」

春「だから、やっぱり學校がいけないよね」

水「そうだね。そう、僕も今ではスポーツは、例えば走るのもそんなにいやじゃないし、まあやらないけどね、スポーツそのものはそんな嫌いじゃないんだけど、子どもの頃からスポーツっていうと、いちばん嫌いなもののひとつに入っていたね」

春「犬とスポーツ」

水「犬とスポーツ」

春「女」

水「へへへへ。犬とスポーツと女。あの、ともかくみんな苦手でね」（村上·何を言ってるんだか）

水「だいたい今何キロくらい走ってるの？」

春「毎日１時間くらいは走ってるかな。今日は朝５０分くらい走って、さっき２０００（メートル）泳いで」

水「でも、そういうようにしていたら、そういうことできなくなったらつらいだろうね」春「つらいだろうね。だから刑務所入りたくないですよね」

水「何も運動できなくなっちゃったら大変だよね」

春「というか、アキレス腱とかやっちゃったら、おしまいじゃない？? つらいですよね。よくほら、アキレス腱を痛めて野球の選手できないという人がいるじゃない。つらいだろうな、と思うね」

水「そうだよね。だからスポーツの選手っていうのは、やめると全然感じが変わってきたりするよね」

春「最近、何のために生きているのか、わからなくなってきたね（笑）」

水「そうだね」

春「でも、時間取られるんですよね。だいたい１日例えば朝１時間走ったら、その前後３０分くらいとられるでしょう。泳いで１時間取られたりするでしょう、それでスカッシュして４０分くらい取られたりするでしょう。そうしたら仕事する時間がだんだんなくなってきちゃうんですよね」

水「うん、そうだよね」

春「ただ、集中してやるけどね、そのぶん。わりに體力つくと、集中してできるんですよね。３時間なら３時間わあっと。そうすると、けっこうもとはとれちゃうかなあという気がするけど」

水「あの、海水パンツとかそういったものもスポーツクラブにおいてあるわけ？」

春「いや、ラケットは置いてある、スカッシュのラケットは置いてあるんだけど、あとは自分で持っていくね。だから、いつもどこかに行くときは海水パンツをかばんの中に入れていって、暇があったらジムに寄って泳ぐとかね、そういうことは……」

水「どういう人が來てるの？? ああいうとこって。僕はあんまり行ったことないんだけど」

春「人妻」

水「有閑マダムってやつ？（村上·古いっすね）　いいねえ」

春「いいっつうかねえ」

水「けっこう親しくなって、ムラカミさん、なんて言われることないの？」

春「あんまりならないねえ（笑）。スカッシュは……、それもやっぱり奧さんが多いね。ときどき相手してもらってるけど」

水「けっこうみんなうまいの？」

春「うまいよ。僕なんか負けちゃいますよ」

水「ホント？? スポーツする人妻ってどんな人なんだろうな？? でもまあ人妻ってのは人妻だよね」

春「人妻です。水泳なんかね、やっぱり泳ぎ込んでいる人ってきれいですよね。すごく身體なんてね、橫で見ててもきれいな人がいて。でもほらゴーグルとキャップかぶってるから、（顔が）わかんないですね。取るとおばあさんだったりするの。でも身體はすごくきれいなのね」

水「なるほどね」

春「あと、トドみたいな人がいると困るよね。トド人妻ね（笑）。波立つし、ぶつかるしさ」

水「そうだよね。なんか夢中になって泳いでる人っているからさ。僕も一度突き指したことがあるね。手がぶつかって。クロールやってて。

あとね、手がひっかかっちゃてさ、片側がね。向こうもクロールやってて、

僕はもう『ああぶつかったんだな』と思うんだけど、その人なんか、とにかく夢中でさ。片方の手で一生懸命こうやってる（泳ぎ続けている）わけ（笑）。

で、外せばいいんだけど、こうひっかかったまま（笑）。しばらく（僕は）立ってたんだけど、その人もぱっと外れたら、さっと行っちゃったけどね。ああいうのなんか、すごいなあと思ってね」

春「水丸さんは、なんでゴルフってやんないんですか？」

水「僕は、ゴルフはね、嫌いなんだよ。あの雰囲気があんまり好きじゃない」

春「好きじゃないよね」

水「テレビでスポーツニュースなんか見ようとしたとき、ゴルフだとぱっと変えちゃうね。あのファッションも嫌いだし。でも、僕はキャディーしてたことあるんだよ」

春「どこで？」

水「戸塚カントリークラブで」

春「なんでまた？」

水「アルバイトで」

春「學生のとき？」

水「學生のとき。だからね、そういうのもあったと思う。ゴルフやるやつはなんか田舎紳士みたいな、気に入らねえって感じが、僕の中にあってさ」

春「僕の、これ偏見かもしれないけどさ、ゴルフのバッグを擔いで歩いているやつに、ろくなやついないよね」

水「そう、いない。電車の中なんかでもね。僕なんか學生でさ、２バッグだとお金がいいから、こう２つ擔いで、ゴルファーのあとくっついていくんだけど、とにかくもう感じの悪い人ばっかりだったね」

春「ほとんど偏見だよね」

水「そう、偏見。ちょっと何かへまするとね、すぐに『どこにボール行くか、よく見てろ』なんて言われたりしてね。なんか、あまりいい思い出ないね」

春「僕の友だちというか、知り合いでもゴルフをしている人がいて、悪い人じゃないんだけど、でもなんか不思議に、ゴルフバッグ擔いで歩いているやつを見ると、いやなやつに見えるんだよね」

水「そう」

春「なんでだろうね」

水「かっこいいなあと思う人いないよね。まだ少しはテニスの方がこう、感じのいい人がいるかもわかんないけど。テニスもやんないけど」

春「編集者でも、けっこうゴルフやる人多いんですよね」

水「いるよ。広告代理店の人とかね」

春「どこが面白いんだと思うんだけどね」

水「なんかねえ、でもやっぱり、あの小さいボールをパアッと打ってさ……」

春「ゴルフのボールの形からして気にくわないよね」

水「うん、気にくわない」

春「丸いのがポツポツ開いていて、何だよ、こいつはと思うよね」

水「あのゴルフのフォームもなんかいやなんだよね」

春「あの靴もいやじゃないですか？」

水「そうそう。あの靴」

春「なんかスパイクみたいなのがついていてさ」

水「そうそう、あれもいやだね」

春「帽子かぶってるやつもいるし」

水「ズボンが変に派手でさ。だから日本の中年ファッションをまずくしたのはゴルフだよね。ゴルフが相當影響していると思う。でも、ゴルフが好きな人は多いよ。ちょっとした人は……グラフィック·デザイナーなんかでも、ちょっとした人はみんな『明日ちょっとゴルフだから早いんだ』なんて人が多いもんね。イラストレーターはあんまりゴルフやっている人はいない。小説家は多いよね」

春「小説家多いよね」

水「編集者もだから多いよね」

春「文蕓誌の編集者がゴルフやっているなんて、もってのほかだと思うんだよね（笑）。あんなに赤字だして、何がゴルフだっていうんだよね」

水「ホントそうだよ。スマートボールでもやってりゃいいんだ（笑）」

春「スキーもいやだよね。スキー、好きじゃないな」

水「そうだね、僕もそんなにスキーやりたいと思わないけど、スキーはね、ほんと貧しいスポーツだと思うよね。なんか、ただ上に上がって降りてくるだけで、なんのあれもないしね。降りてくるなりまたゲレンデのリフトのところに、われ先にと行くじゃない。あの格好がいやだしね」

春「あと、ゴルフもそうだけど、あのファッションがいやだよね」

水「僕はあの、スキーはちょっとやったことあるけど、スキーやらなかったのは、ファッションがだめでね、ああいう格好したくなくて、スキーをやらないのね。だから、僕はゴルフもスキーもやらないのは、ファッションが嫌いだったと思うんだよね」

春「僕はだからクロスカントリー·スキーっていう、自分で歩いて上がったり降りたりするのは好きでやっているけどね、ゲレンデ·スキーはいやだよね」

水「だから、むしろ普通の格好で滑れるような、山の格好で滑れるような、まあ山の格好もそんなに好きじゃないけど、林間を滑る、あれはけっこういいんじゃないかと思う。ゲレンデじゃなくてね。僕も林間滑るんだったら、誰もいないところを一人で滑って行って。熊でも出てこない限り……」

春「スキー場って、あの雰囲気がやだよね。あれはさ、あれだけの荷物擔いでスキー場まで行くわけじゃないですか」

水「あのスキーを脫いで歩いているときの靴のドタドタ、あれも嫌いなんだよね」

春「僕はスキーを擔いでスキー場に行く人を見るたびに、こんなもんでＧＤＰが増えているのかと思うと、経済なんて信用できないと思うね、ほんとに」

水「ほんとにそうだよ」

（えんえんとこういうのが続くんだけど、きりがないのでおしまい）