クッカルとカラス
むかしむかし、カラスの羽は今の様な真っ黒ではなくて、赤い羽毛に紫や青緑の混じった、それは美しい色でした。
他の烏はみんな、そんなカラスをうらやましがっていました。
特に、クッカルは、
「あーあ、おいらの著物は真っ黒なばかりで面白くない。一度でいいから、カラスさんの様な美しい著物を著てみたいな」
と、思っていました。
クッカルというのは、カラスによく似たくちばしの長(zhǎng)い鳥(niǎo)です。
そこである日、クッカルはカラスを騙して著物を取ってやろうと考えました。
そこでさっそく、カラスのところへ出かけて行って、
「カラスさん、今日は暑いから水浴びに行こう」
と、誘いました。
するとカラスは、
「それはいいな。よし、行こう」
と、言って、二人は森の奧の沼に出かけたのです。
そして、それぞれは自分の著物を脫いで、ザブーンと水に飛び込みました。
天気が良くポカポカと暖かいので、水浴びの好きな二人はとても楽しく遊びました。
ところがしばらくすると、クッカルは、
「ありゃー、大事な用事を思い出した。すまないが先に帰るよ」
と、言って、帰ってしまいました。
一人殘されたカラスは、
「あーあ、もうちょっと、一緒に遊びたかったのに」
と、ぶつぶつ言いながら水からあがって著物を著ようとしたのですが、ところがどこを探しても自慢の美しい著物はなく、そこにあるのは真っ黒で汚い、クッカルの著物だけだったのです。
「ややっ、さてはクッカルのやつ、おいらの著物を著ていったな」
カラスはクッカルに騙された事を知りましたが、もうどうしようもありません。
それで仕方なく、クッカルの著物を著て帰ったのです。
それからというものカラスは真っ黒で、クッカルはきれいな羽をつけているのだそうです。
そしてカラスはクッカルが憎くてたまらないので、今でもクッカルを見(jiàn)つけると目の敵にして追い回すのだそうです。
おしまい