漁業(yè)から“海業(yè)”への転換
日本近海での不漁に歯止めがかかりません。2022年の1年間の水産物の生産量は(養(yǎng)殖含む)、初めて400萬(wàn)トンを割り込み、比較可能な1956年以降、過(guò)去最低を更新しました。不漁や漁業(yè)者の高齢化で、漁船の數(shù)はピーク時(shí)からほぼ半減、擔(dān)い手の數(shù)も減っています。そこで今、課題になっているのが、漁業(yè)の拠點(diǎn)となる地域の漁港をどう元?dú)荬摔筏皮い?。キーワードは「漁業(yè)から“海業(yè)”(うみぎょう)への転換」です。いったいどういうことか取材しました。(サタデーウオッチ9取材班 井上聡一郎?経済部記者 保井美聡)
バーベキューはじめました
訪れたのは、和歌山県有田市の箕島漁港。ここにことし4月、漁協(xié)直営のバーベキュー場(chǎng)がオープンしました。

売りは新鮮で格安な魚介類。殻付きのかきは、なんと6個(gè)で698円。食材は、すぐ隣にある漁協(xié)の直売所で買うことができます。
魚市場(chǎng)などを介さず、漁業(yè)者が直接販売しているので、格安な値段で提供できます。

この漁港では、主にタチウオを漁獲し、大阪などに出荷しています。しかし漁獲量は去年までの10年間で半分以下に減り、高齢化などで漁業(yè)者も減少していました。
そこで3年前、漁協(xié)と自治體が協(xié)力し、かつて駐車場(chǎng)だった空きスペースに直売所を建設(shè)しました。
もくろみは當(dāng)たって、観光客の數(shù)は年々増加。さらに人を呼び込もうと、バーベキュー場(chǎng)が建設(shè)されたのです。

中田支配人
「當(dāng)初は地元の客が多いと見(jiàn)ていたが、大阪や奈良、神戸あたりからも來(lái)てもらっている。漁港の活性化に取り組むことで、認(rèn)知度をさらに上げていきたい」
漁業(yè)から“海業(yè)”へ
このように漁業(yè)以外の施設(shè)を作って漁港を活性化させようという取り組みを、水産庁は「海業(yè)」と名付けています。
海や漁村の魅力をいかすことで、観光客を新たに呼び込み、地域の活性化につなげる。そうすれば、漁業(yè)者の所得向上にもつながるという発想です。
不漁で漁獲量が減る中、漁港の機(jī)能を維持するためにも大事な取り組みだとして、國(guó)も支援に乗り出しています。
魚のおいしさも伝えたい
漁業(yè)を體験してもらって、消費(fèi)者と交流を深めようという取り組みもあります。
神奈川県逗子市の小坪漁業(yè)協(xié)同組合では、漁船に乗って漁を體験したあと、とった魚をさばいて調(diào)理するイベントを計(jì)畫しています。

このイベントの発起人が大竹清司組合長(zhǎng)です。
海水浴場(chǎng)などに近いこの場(chǎng)所では、シラス?jié)Oなどが盛んですが、おととしの漁獲量はピーク時(shí)から8割減少。漁業(yè)者の生活は苦しくなるばかりだと言います。
なんとか狀況を打開(kāi)したいと、大竹さんは、子どもたちが漁船に乗って漁業(yè)を體験するツアーを開(kāi)催してきました。

ただこれまでは魚をとって港に戻ったらイベントは終わり。魚のおいしさをみずから伝えることができないのが悩みでした。
そこで大竹さんは、漁港內(nèi)に広い調(diào)理場(chǎng)を作って、魚のさばき方や料理のしかたを子どもたちに教えられるようにしたいと考えています。
漁協(xié)の組合員の中には、みずからレストランを経営している人もいます。一緒に料理を作ることで、魚の魅力をもっと伝えられるようになると考えています。
またこうした取り組みが成功すれば、漁業(yè)者の収入アップにもつながると期待しています。

大竹組合長(zhǎng)
「磯焼けや不漁など課題は多いが、今の海とどう向き合っていくのかを考え、できることにチャレンジしていきたい。浜のみんなで取り組めば、それなりにお客さんを受け入れられるので、そうやって盛り上げていけたらおもしろくなると思う」
海業(yè)を全國(guó)に広げる
こうした海業(yè)に向けた取り組みを、國(guó)は5年間で500件増やす目標(biāo)を掲げています。
ことし新たに12の漁港をモデル地區(qū)に選定し、それぞれの漁港では専門家から経営のアドバイスを受けながら、今年度中に計(jì)畫をまとめることにしています。
大竹さんや逗子市が取り組みを進(jìn)める小坪漁港もこのモデル地區(qū)に選ばれていて、先行事例となることが期待されています。
海業(yè)振興のカギは
漁港にレストランや直売所ができれば、消費(fèi)者にとってもメリットは大きいですが、はたして課題はどこにあるのか。
東京海洋大學(xué)の工藤貴史教授は、漁業(yè)以外の地域の資源も集めて、魅力を高めていけるかが成功の鍵を握っていると指摘します。

工藤教授
「地域資源の魅力を最大限発揮させるためには、これまであまり意識(shí)されなかった産業(yè)どうしの連攜が重要になる。地域の漁業(yè)者や民間業(yè)者も一緒になって話し合い、事業(yè)の全體像を考えていくことが活性化のカギではないか」
海流の変化や海水溫の上昇によって、日本の漁業(yè)はかつてない厳しい狀況にあります。
漁獲量がかつての水準(zhǔn)に戻ることは考えにくく、漁業(yè)者には地域資源をフル活用して、その魅力を外に向かって売り込んでいく、攻めの姿勢(shì)が求められていると取材を通じて強(qiáng)く感じました。

その道のりは決して簡(jiǎn)単ではないと思いますが、新たな漁港の姿を思い描く人々の生き生きした表情が印象的でした。
數(shù)年後により多くの人が漁港を訪れ、地域活性化の核となる場(chǎng)所になっていることを期待したいと思います。