仁太(じんたん)未聞花名




めんま、元気か。って、なんか変だよな、元気かなんて。
あれから俺は、學(xué)校に行ったり、行かなかったり、まあ、それなりにやってる。バイトは続けてる。
この間は、バイトの先輩にカラオケに連れててもらったんだ。俺、ああいうとこ行くのは初めてだったからさ、なんつーか戸惑った。
人前で歌うってえらい恥ずかしいのな。みんな裏聲出したりして、曲もいろんな曲してるし、前はカラオケなんて行くやつらのこと、どんだけナルシストだよとかバカにしてたのに。なんつーか、みんなすげえなって思ったよ。どうでもいいことなのにな。
うん、どうでもいいことがすげえなって思えるのって、お前のおかげなんだと思う、お前が來るまでは、周りのやつらのこととか、親父のこととかさ、當(dāng)たり前に目に見えてるもののすごさに気づかなかったんだ。
だけど、もうそうじゃない。お前が、もう隣にいなくても...でも、ここにお前がいたって思うだけで、なんか今までの景色が違って見えるんだ。ちょっとしたことが大切に思える。絶対に失えないものだって思える。
お前が戻ってくる前とは、確実に変わってるんだ、すべてが。




