黑巖射手官方外傳小說(shuō) 【第一話原文】

【ブラック★★ロックシューター BEFORE DAWN】
ストーリー/深見(jiàn)真
イラスト/友野るい
hjweb.jp/article/556253/
第一話「黙示録の騎士」
そこに、一人の少女がいる。
メキシコの貧民街で生まれ、麻薬を売る両親によって育てられ、どこかで野垂れ死にするしかないような人生を送ってきた少女。
その少女は野垂れ死にしなかった?!笍?qiáng)化」され、普通の人間にはとうてい扱うことができない強(qiáng)力な「武器」を與えられた。
少女の名は──。
「安全運(yùn)転を心がけろ、目的地につくまではな」
アメリカ合衆(zhòng)國(guó)、カルフォルニア州北部、九月のサンフランシスコ。一年で最も気溫が高くなるインディアン?サマー。晴天が続いて空気が乾いていた。海岸の方向から、微かに冷たい風(fēng)が潮の香りを運(yùn)んでくる。
山を削った場(chǎng)所にできたような坂の多い街、サンフランシスコ。ランドマークは超高層ビル、トランスアメリカ?ピラミッド。名物はケーブルカーと大聖堂。ウォーターフロントに全米屈指の金融街を擁する。ゴールドラッシュや鉄道で財(cái)を成した富裕層が、一八〇〇年代から暮らしている。
サンフランシスコのノブヒルは古くから高級(jí)住宅街として知られていた。いかにもサンフランシスコらしい坂道の両脇に、白い壁の瀟灑な建物が建ち並ぶワシントン?ストリート。大企業(yè)の重役たちの豪邸が數(shù)多く存在する。深夜二時(shí)、西海岸の陽(yáng)気が消え失せた時(shí)間帯に、住宅街に似つかわしくない無(wú)骨なトラックが二臺(tái)ゆっくりと走っていく。
対向車(chē)線にサンフランシスコ市警のパトカーが現(xiàn)れたので、トラックの運(yùn)転手はにわかに緊迫した。大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。一見(jiàn)、何の変哲もない輸送トラックだから、止められる心配はない。仮に止められても落ち著いて対処すればいい。リーダーが言った通り、安全運(yùn)転を心がけるだけでいい──。
対向車(chē)線のパトカーがトラックの橫を通り過(guò)ぎて、遠(yuǎn)ざかっていくのをサイドミラーで確認(rèn)しつつ、トラックの運(yùn)転手は安堵のため息をついた
──トラックの荷臺(tái)には、それぞれ八人が乗り込んでいる。全員がFAM(戦闘適齢の男性)。銃火器ショップへの強(qiáng)盜で入手した民間用のSIG?MPXサブマシンガンで武裝している。
民間用のMPXは規(guī)制法によってフルオート射撃機(jī)能が削除されていた。さらにストックもつけられないため、男たちはかわりにPSBと呼ばれる射撃姿勢(shì)補(bǔ)助具を取り付けていた。PSBは棒狀のパーツとベルクロテープつきのバンドで構(gòu)成されていて、バンドを腕に巻き付けることによって銃を固定する。
男たちの一人が言う?!袱长欷险筏椁い馈?br>「どんなものにも手?jǐn)?shù)料がとられる。高い稅金だってまともには使われない。超富裕層は怪しげな金融工學(xué)とやらで自分の資産を増やし続けてる。従業(yè)員の給料をケチって自分は自家用飛行機(jī)や宇宙旅行に大金をつぎこんでる。すでに何人もの経済學(xué)者が指摘したように、トリクルダウン理論なんてものは噓っぱちだ。この格差の壁をぶち破るのは、もう対話じゃない。暴力だけだ。刃物と弾丸だ」
男たちは怒れるCTGのテロリストだ。MPXサブマシンガンの弾倉(cāng)を抜いて、九ミリ弾丸が詰まっているのを確認(rèn)。弾倉(cāng)を再び本體にさしこみ、チャージングハンドルを引いて薬室に初弾を裝填する。
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この世界では、毎年一千萬(wàn)人以上が「貧困」が理由で死んでいく。そんななか、超富裕層上位に入るたった二千人が、他の四六億人を合わせたよりも多くの金を持っていた。上位一%の富裕層が一〇年間、稅金を〇?五%多く払えば一億人以上を救うことができたが、そうはならなかった。
そしてすべてが手遅れになった。
人種間の対立、宗教間の対立、東洋と西洋の対立、資本主義と共産主義の対立──様々な対立が、無(wú)數(shù)のテロリストを生んできた。
テロリストの定義が「政治的な目的を『恐怖(terreur)』を使って達(dá)成しようとするもの」だとするならば、古代ギリシアやスパルタまでテロの歴史はさかのぼることができる。そして高度に情報(bào)化された二〇三〇年代は、新しいタイプのテロ組織を生み出した。アンチ巨ビッグ?テック大企業(yè)、アンチ超富裕層を掲げたグローバルなテロ組織──「義賊主義集団」──通稱(chēng)CTGの急激な成長(zhǎng)だ。
無(wú)政府主義者や各地の反政府ゲリラ、麻薬カルテルなどを取り込んで武裝化したテロリスト集団、CTG。彼らの標(biāo)的は、まずは時(shí)価総額が世界上位の巨大企業(yè)一〇〇社。その一〇〇社の人間は、取締役や幹部はもちろん、家族やアルバイトの清掃員までが命を狙われることになった。
ようやく超富裕層は「やりすぎた」と気づいた。
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サンフランシスコ?ノブヒルの高級(jí)住宅街、一九世紀(jì)風(fēng)の華美な裝飾が特徴的なビクトリアン様式の豪邸に、二臺(tái)のトラックが突っ込んでいく。防犯裝置と監(jiān)視カメラシステムがついたゲートを補(bǔ)強(qiáng)されたフロントバンパーで打ち倒す。當(dāng)然、システムを管理している警備會(huì)社に自動(dòng)的に警報(bào)が送られるが、CTGのテロリストたちは気にしない。そもそも男たちは生きて帰ろうと思っていないから、警備會(huì)社がこようがサンフランシスコ市警の連中がこようが関係ない。突入する、殺す、脫出は考えない。典型的な自殺的作戦。

ガレージつきの三階建て一戸建て。
警報(bào)も防犯裝置も関係ない。トラックの荷臺(tái)を降りたCTGの男たちは豪邸の玄関に向かい、手彫りの裝飾が施された分厚い白いドアに向かってサブマシンガンの猛射を浴びせた。夜の闇に銃口発射炎が輝く。切り裂くような銃聲が続く。ドアノブと蝶番を狙って撃ちまくる。鍵そのものを粉砕してしまう。
半壊したドアを踏み倒し、男たちは豪邸の中へ。事前に間取りの情報(bào)は入手している。この家に勤めている家政婦が、彼らの仲間だからだ。四人が天窓つきのフローティング階段を駆け上がって、まっすぐ二階にある主寢室に向かう。
ドア越しに射撃して威嚇。そして寢室に踏み込む。ベッドの上で恐怖に震える中年の男女がいる。健康的な食事と適度な運(yùn)動(dòng)で、金持ち夫婦はどちらも引き締まった身體をしているが、銃の前には無(wú)意味だ。夫婦はこの家に銃を置いていない。強(qiáng)盜が入ってきたとき、家に銃があると奪われて逆に使われることが多い、という防犯上のデータがあるからだ。しかしそれはあくまで相手が強(qiáng)盜のときのデータに過(guò)ぎない。もしも明確な殺意と目的を持ったテロリストが侵入してきたら? 銃で武裝したプロの警備員がいないなら、逃げるしかない。
だが、この夫婦はベッドの上で驚いているうちに逃げるチャンスを失ってしまった。ここはもう高級(jí)住宅街の寢室ではない。犯罪的行為が平然と行われる殺戮地帯だ。そしてこのテロリストたちは、長(zhǎng)い時(shí)間をキリングフィールドで生きてきた。
防犯上のデータなんてくそったれだ。やるかやられるか。暴力が足りない人間に生きていく資格はない。
「俺たちの世界にようこそ」
ウェルカム?トゥ?ア?ヌエストロムンド。英語(yǔ)とスペイン語(yǔ)が混ざったスパングリッシュでテロリストは言った。さらに続ける。キリングフィールド?エス?ヌエストロムンド。キリングフィールドが俺たちの世界だ。
「金ならここにはない。銀行にある」夫が焦った早口で言った?!弗欹弗氓去`ドを渡す。番號(hào)も教える。それで助けてくれないか?」
「お前たちは夫婦どちらも、時(shí)価総額世界一五位の巨大企業(yè)に勤務(wù)している」相手の提案を無(wú)視して、テロリストの男が主張を突きつける?!弗哎愆`バル総合金融サービス業(yè)者。主な業(yè)務(wù)は、投資銀行、証券取引、証券管理、資産運(yùn)用、プライベート?バンキング……なんのことはない、すでに金を持っている人間の金をさらに増やし、貧困層を騙してしぼりとっていく仕事だ。お前たちの會(huì)社は政府に優(yōu)遇され、徹底した節(jié)稅を行っているからこの國(guó)に稅金もあまり納めていない。つまりこの國(guó)のインフラにタダ乗りしてるんだ。今日、たった今、そのツケを払うことになる。なあ、旦那さん。そんなに難しい話じゃない。あんたらはどうせ貧乏人を見(jiàn)下しているし、なにかと口先でごまかそうとする。俺たちはもう聞く耳を持たない」
テログループの仲間の一人が、夫婦の一人娘をつかまえてきた。泣き叫ぶ六歳児の髪の毛をつかんで、夫婦の前に引きずり出す。娘は「パパ、ママ」と悲鳴を繰り返している。母親のほうが半狂亂でつかみかかってきたので、このグループのリーダーがMPXサブマシンガンの引き金をしぼった。母親の額に真っ黒い穴が生じる。弾丸の射入口だ。母親の脳みそを貫通して、後頭部から弾丸が抜けていく。後頭部が爆発したかのように吹っ飛ぶ。弾丸のキネティックエネルギーによって、射入口よりも射出口のほうが大きくなる。
次に娘の頭を撃ち、最後に父親の腹に二発ぶちこんだ。父親にはとどめを刺さない。どうせ救急車(chē)は間に合わないから、ゆっくり苦しんで死ねばいい。大企業(yè)の重役たちは、それくらいの悪事をやってきた。當(dāng)然の報(bào)いだ。
テログループは一家皆殺しのあと、すぐに二軒目の豪邸を襲撃した。そこでも一家四人を射殺する。二軒目を出ると、ロシアン?ヒルとサウスビーチの方面で巨大な火柱があがった。別のグループが爆弾を使ったのだ。ここにいるトラック襲撃部隊(duì)だけではない。CTGは、全世界で同時(shí)に一〇〇以上の作戦を決行している。
けたたましいサイレンを鳴らして、二臺(tái)のパトカーがトラック襲撃部隊(duì)のもとに駆けつけてきた。パトカーは、フォード?クラウン?ビクトリア、ポリス?インターセプター。ライフル弾に対応した防弾パネルを追加することができるモデルだが、今夜の二臺(tái)はどちらもノーマル仕様のままだった。
テログループは全員でMPXサブマシンガンを撃ちまくった。大量の火花が飛び散って、パトカーに次々と弾痕が穿たれる。警察官たちはパトカーを降りる間もなく、蜂の巣にされて著弾のたびにびくびくと痙攣した。
サンフランシスコ市警の特殊火器戦術(shù)部隊(duì)──SWATが出動(dòng)した。専用の裝甲バンでやってくる。カスタムされたM4A1アサルトライフルと防弾プレート、さらに暗視裝置も裝備した精鋭部隊(duì)だ。
?。樱祝粒预葥膜梁悉à小⑷|用の弾薬しか撃てないサブマシンガン裝備のテログループはたちまち全滅するだろう。トラック襲撃部隊(duì)のリーダーは、日本製の頑丈な腕時(shí)計(jì)で時(shí)間を確認(rèn)する。
「そろそろ例の応援が來(lái)る頃だ」
?。樱祝粒预窝b甲バンが到著。素早く展開(kāi)したSWAT隊(duì)員たちとの壯絶な銃撃戦が始まる。闇夜に銃火が交錯(cuò)するなか、テログループの増?jiān)浃盲皮搿?/p>
その増?jiān)?、たった一人だった。しかも、少女だ?br> 少女はカスタムバイクを乗りこなしていた。モトグッツィのフライングフォートレスという。大型のクルーザーで、総排気量は一三八〇㏄。しかしいかついフライングフォートレスより目を惹くのは、それにまたがった少女のほうだった。
ショート丈タンクトップにホットパンツという薄著の、褐色の肌の少女。長(zhǎng)い黒髪に、引き締まった筋肉質(zhì)な手足。そして──普通の人間ではとうてい扱えないような、とんでもない重武裝。
少女は、右手に巨大なライフルを持っていた。本來(lái)なら三腳架や車(chē)に搭載して使うブローニングM2重機(jī)関銃を、手で持ち運(yùn)べるように改造したものだ。ピストルグリップと取り外し可能なストックを追加し、リンクで連結(jié)された一二?七ミリ弾が一〇〇発入った箱型弾倉(cāng)がセットしてある。このブローニングM2重機(jī)関銃カスタムは重量四〇キロを超えるが、少女は拳銃のように軽々と振り回す。
少女は左手にも武器を持っていた──つまり、バイクは半自動(dòng)運(yùn)転だ。リモートで別の場(chǎng)所にいる人間が制御している。
左手の武器は、工事用の杭打ち機(jī)を強(qiáng)化したもの。油圧ユニットとピストン構(gòu)造で、チタン製のハンマーを高速で撃ち出すパイルドライバー。接近戦用である。
少女も怒れるテロリストだ。
──アメリカの麻薬中毒者のために、世界中で麻薬戦爭(zhēng)が起きるんだ。
「コモエスタサンフランシスコ?ファッキンシットポリシア」
少女もスパングリッシュを使う。
アメリカの総人口の二割近くがヒスパニック系だ。ヒスパニック系はスペイン語(yǔ)を使うことが多い。やがて彼ら彼女らの間では英語(yǔ)とスペイン語(yǔ)の文法や単語(yǔ)が交差するようになった。そういったある種の方言をスパングリッシュという。
フライングフォートレスを飛び降りて、少女はブローニングM2重機(jī)関銃カスタムでSWATの裝甲バンを狙った。引き金を絞る。サブマシンガンやアサルトライフルとは比べ物にならないほど大きなマズルフラッシュが瞬く。火花というより小さな爆発の連続。銃聲というより砲聲。ボールペンのように大きな空薬莢が排出されて道路の上で跳ねる。
ゴンゴンゴンと裝甲に穴が空いて、燃料に引火し、SWATのバンが爆発した。その爆発に巻き込まれて、隊(duì)員二人が即死する。
SWATと撃ち合っていたテロリストたちが歓聲をあげた。
「エクセレンテ! カバリエロ?デラ?アポカリプシス」
少女はカバリエロ?デラ?アポカリプシス──黙示録の騎士と呼ばれていた。
黙示録、第一の騎士。CTGによる人間強(qiáng)化プログラムのプロトタイプ。
暗號(hào)名「カミラ(Camila)」。すでに少女は自分の本名は忘れていた。
「──私は、カミラだ」
カミラに、SWATの隊(duì)員たちがアサルトライフルの連射をくわえた。防弾ベストも著ていないカミラは、たちまちズタズタに切り裂かれるはずだった。──が、そうはならなかった。彼女の身體には、人工筋肉とDNAコンピュータに制御されたマイクロロボットによって、特殊な耐久性能が付與されていた。SWATの銃弾は、戦車(chē)の複合裝甲に當(dāng)たったときのように跳ね返される。
カミラに銃弾が効かないことを理解して、別のSWATチームの裝甲バンが彼女に向かってフルスロットルで突っ込んだ。體當(dāng)たりで轢き殺すつもりなのだ。レンコ?ベアキャット裝甲車(chē)を改造したSWATバン。八トンを超える重量が、時(shí)速一〇〇キロ以上の速度でカミラを狙う。
カミラは眉一つ動(dòng)かさず、パイルドライバーで裝甲バンを迎え撃った。油圧ユニットの勢(shì)いで、裝甲バンの正面にチタンのハンマーを打ち込む。
?。樱祝粒豫啸螭窝b甲が大きくへこんだ。
ぺしゃんこに半壊したバンが吹っ飛ばされて、回転しながらバウンドしたあと、近くのビルの側(cè)面に突き刺さった。
この少女──カミラの戦闘は、付近の野次馬によってスマホで撮影され、動(dòng)畫(huà)はたちまち全世界に拡散された。
新しい戦いの時(shí)代。その到來(lái)を告げる黙示録の騎士の咆哮。
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──二〇三〇年代前半、環(huán)境問(wèn)題、貧富の格差拡大による治安の悪化、富を獨(dú)占する超巨大企業(yè)を狙ったテロの頻発、資源の枯渇、レアアースをはじめとした希少資源の奪い合い、地域限定かと思われた?jī)?nèi)戦の國(guó)家間戦爭(zhēng)化──。様々な要因によって、世界各國(guó)の政府は革命的な解決策を切望していた。そのときにはもう、富の再分配程度ではどうにもならないほど狀況が悪化していたのだ。
普通の手段ではもう間に合わない。
?。茫裕扦叱訾筏奎a示録の騎士とはなんだ? 対抗策はあるのか?
対抗策──そしてすべての問(wèn)題の革命的な解決策。
國(guó)連手動(dòng)で、ある巨大プロジェクトが考案される。
──エリシオン計(jì)畫(huà)が、すべての始まりであり、終わりでもあった。
つづく