《死因——空腹·櫻的境況》 與你共度的七日間補(bǔ)充小說

空腹·櫻的境況?
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原著:とむ少佐?
初翻:我不是愛麗絲,度娘(主要負(fù)責(zé)排列語序)?
校對(duì):有誰來嗎??
潤(rùn)色:有誰來嗎?
PS1:因?yàn)榉g經(jīng)驗(yàn)不多所以會(huì)自己加點(diǎn)詞下去疏通句意,雖說大概意思應(yīng)該是沒有錯(cuò)的……有錯(cuò)誤可以在評(píng)論區(qū)指出,我會(huì)把原文一起發(fā)上來。還有就是可能會(huì)按照死亡順序翻譯吧,雖然不知道是不是按官網(wǎng)的降序排列的……(話說下面把原文放上去了我還能聲稱為自己原創(chuàng)嗎?)

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■1
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“爸——爸——!”
當(dāng)我舉起那個(gè)的時(shí)候,爸爸在起伏的壟的對(duì)面抬起了彎著的腰。
“快看! 超大的蘿卜! 有兩根哦!”
“哦——!”
從對(duì)面?zhèn)鱽砹藲g呼的聲音。
“這兩根不能拿去發(fā)貨,所以就當(dāng)作今晚的晚飯吧——!”
似乎形狀怪異的蘿卜,商家是不會(huì)購入的。明明同樣的價(jià)格,大一點(diǎn)的會(huì)比較劃算,這樣想著,我撫摸著這根大蘿卜拂去附著著的土。
從身后突然伸過來的手,把我的蘿卜舉了起來。
“哦哦,好重好重。這家伙可真大??!”
“哥哥?!?/p>
比我早一些出生的哥哥,不知道什么時(shí)候已經(jīng)長(zhǎng)高到需要抬頭去看他的程度了。
因?yàn)樘枏母绺绲谋澈笳找匝鐾莻€(gè)高大的黑影的我瞇起了眼睛。
“從川村先生那里,拿到了今天早上捕獲到的秋刀魚哦,配上剛拔出來的蘿卜吃很美味哦。還要稍微滴一點(diǎn)醬油。」
我重新抱起被還回來的蘿卜。
“秋刀魚,咱拿了多少條?”
“雖然沒數(shù)過不太清楚,不過應(yīng)該夠人頭數(shù)吧?”
哥哥抬起頭,稍微出了一下神,然后“一,二,三,四”的掰指頭數(shù)著。
爸爸和媽媽,爺爺和哥哥還有我,然后再加上兩個(gè)弟弟,所以是……
“七條?”
“給了這么多啊?!?/p>
我正歪著頭的時(shí)候,哥哥將收獲的成果帶回去了。
“別偷懶,快干活!”
聽到了從遠(yuǎn)處傳來的爸爸的聲音。?
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■2
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?“一,二,三,四……”
不論再數(shù)多少遍也是一樣的。端到晚飯的餐桌上的是六條秋刀魚。
將蘿卜削片的我的手停了下來。
“少了一條……”
“沒有少哦。”
拿著托盤的媽媽來到了我旁邊。盛著米飯的木碗有完整的七人份。
“媽媽那份沒關(guān)系的啦?!?/p>
“不可以。媽媽必須連小寶寶的份也一起吃才行!”
在媽媽稍微變大的肚子里,有我的第三個(gè)弟弟。
“啊啦啊啦,那不是就要讓另外一個(gè)人忍耐了嗎?”
一邊微笑著,媽媽回到廚房去拿味增湯。
我再次回到了將蘿卜削片的作業(yè)當(dāng)中。電視上正在播出世界珍饈特輯,正好拍到一位美女將令人毛骨悚然的食物看起來很好吃似地吃著。
“那么黑的疙瘩,到底好不好吃呢……?”
我低聲嘟囔著,從旁經(jīng)過的哥哥停下了腳步。
“哥哥,那個(gè),聽說是鯊魚的卵。”
“嘿——我還以為是山羊屎來著?!?/p>
真是坦率的感想。雖然好像是很高級(jí)的食材,卻完全看不出有多高級(jí)。
“不知道好不好吃呢?”
雖然沒能抹去這個(gè)疑問,但是哥哥滿不在乎地回答“看她好像很好吃似地吃著,應(yīng)該很好吃吧?”后走開了。
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■3
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最開始是爺爺走到餐桌旁,以此為信號(hào)男人們就都陸陸續(xù)續(xù)聚集過來。
最小的菊次郎跑了過來,在榻榻米上摔倒了。因?yàn)榇笠粴q的菊太郎在逗他玩,吵吵嚷嚷的。
“今天是秋刀魚?。俊?/p>
老爺爺一邊咕嚕咕嚕地大口灌酒,一邊時(shí)不時(shí)地去看飄散著香味的烤秋刀魚。
“聽說是川村先生給的。少了一條魚……”
我把剛削成片的蘿卜輕輕地放到爺爺那份秋刀魚的邊上。用閑下來的手敲了下菊太郎,然后一把抓起哭喚著的菊次郎的脖子。
“今年可真熱啊——”
爺爺看著自己的秋刀魚,然后若無其事地只抬起一彎眉毛,看著媽媽的座位。在那里并沒有秋刀魚。
“天氣一熱就捕不到了么?”
回答那個(gè)問題的是從后面走來的爸爸。
“因?yàn)榈搅诉@個(gè)季節(jié)捕魚量會(huì)變少啊——”
將洗完澡后的手巾從脖子上垂下來,把瓶裝啤酒倒入杯中。哥哥說著“嘬一小口吧”從旁邊伸出手,但在遞來之前爸爸搶先一步將酒杯拿遠(yuǎn)了。
“那就,開動(dòng)吧?”
最后到的母親一邊坐到位子上一邊這么說以后,不絕于耳的“嘁嘁嘁”的金鈴子的鳴叫聲完全聽不到了。
我拿著筷子一動(dòng)不動(dòng),凝視著自己的秋刀魚。剛烤好的秋刀魚還熱乎著,烤地恰當(dāng)好處的焦痕勾起了我的食欲。
明明大家的面前每人各有一條,可只有媽媽那沒有。
咽了咽口水后,我把自己的秋刀魚推到媽媽的面前。
“啊啦,櫻?”
媽媽睜圓了眼睛,我稍微低下了頭。
“秋刀魚,我不喜歡吃……”
“騙人——! 姐姐啊,之前連我的份都吃掉了!”
菊太郎說出那句話后,連菊次郎也反復(fù)起哄著“吃掉了!”。
“煩死了。我可沒吃菊次郎的那份吧?”
我簡(jiǎn)短地回了一句,“是哦……”這么說著,菊次郎不再開口了。
“謝謝啦。那么就,對(duì)半分吧?”
媽媽干凈利落地撕下半條秋刀魚然后遞到我這邊。
沒什么的,我只是做了理所當(dāng)然的事。因?yàn)槲?,是姐姐啊?/p>
我放上很多切成片的蘿卜,一聲不吭地吃著秋刀魚。
只有蘿卜有好多好多。
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■4
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我出生的時(shí)候,就有個(gè)哥哥在了。
所以從那之后的數(shù)年間,我作為忽那家的最小的孩子,哥哥的妹妹,是這陽氣旺盛的家中唯一的“女孩子”。
雖然只勉勉強(qiáng)強(qiáng)地記著些許,但我想那時(shí)確實(shí)被疼愛著。只有自己一人得到愛真是太好了。
但,那也是在人情世故還不知有沒有在我心底萌生出來的那樣的時(shí)期當(dāng)中,媽媽肚子變大之前的事情了。
“櫻,弟弟要出生了哦?”
一邊撫摸著變大的肚子,媽媽一邊溫柔地說道。
? ?“那個(gè)是,好事情嗎?”
“我不再是最小的了”之類的,“要是像至今為止一樣被疼愛就好了,可接下來就不一樣了”之類的,我不知道該不該尋找回應(yīng)那些發(fā)自內(nèi)心的難題的答案,就算有被找到的答案,我也不知道該不該說出來,所以我只能這樣問。
“是啊,是很好的事情。因?yàn)榧胰艘黾恿税?。?/p>
所以當(dāng)媽媽這樣回答的時(shí)候,我明白了必須要改變自己的處世態(tài)度。
我也必須要疼愛誰,今后必須和哥哥站在同樣的立場(chǎng)上。并沒有想得太多,也因?yàn)檫€沒有到能想多的年齡,只是本能的切身感受到“弟弟要出生了”這件事。
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不久后菊太郎出生,我成為了“姐姐”。在那之前我非常地喜歡媽媽,每當(dāng)有什么事就緊緊抱住她,但自從他出生之后我便突然停止那樣做了。看著媽媽抱著新的小嬰兒,我不得不作罷。理解那叫做“忍耐”,已經(jīng)是在那很久之后的事了。
我最最喜歡的媽媽。那樣的媽媽所非常珍重的“他”,我不能不去好好地重視。在那一年后,四人同懷的最小的孩子菊次郎也加入了我們家。
我很重視他們。雖然這是經(jīng)過名為媽媽的反射板所映射出來的愛,但那是愛的事實(shí)并非謊言。
但是,有問題出現(xiàn)了。
首先有一點(diǎn),我們忽那家并不是富裕的資產(chǎn)家一族,而是甚至?xí)屛矣X得祖上肯定也不過是江戶時(shí)代名不見經(jīng)傳的老百姓之類的,最最普通的貧困農(nóng)家。雖然房子大到感覺很空曠,但那也是因?yàn)檫@里是周圍什么建筑物都沒有的鄉(xiāng)下。
其次,七人家庭,加之小兒子們還成為不了人手的不成熟,至今為止的樸素生活更是雪上加霜。再者因?yàn)榕杂袃扇硕行杂形迦?,煮一升(注:日本一升約為1803.9毫升)米當(dāng)天就見底也并不奇怪。
還有一點(diǎn)就是,我是這個(gè)家里唯一的“姐姐”這件事。這是比任何事情都,超出我的預(yù)想的沉重的枷鎖。
當(dāng)初,我以為自己會(huì)成為和哥哥一樣的角色。哥哥把我當(dāng)做妹妹疼愛是只有剛好想法一致的時(shí)候,而當(dāng)有哥哥想要看的電視節(jié)目的時(shí)候啊,或者哥哥像是在和誰打仗一般狼吞虎咽的時(shí)候,名為妹妹的存在連他腦海的角落里都沒有存在過。因著哥哥的心情我時(shí)而是他可愛的妹妹,又時(shí)而有所不同。
但是“姐姐”是不一樣的。
我被賦予了的“姐姐”的工作內(nèi)容,歸根結(jié)底既是當(dāng)姐姐又是當(dāng)爸爸,然后還要當(dāng)媽媽。
作為姐姐時(shí)去教育關(guān)心他們,作為爸爸時(shí)要教訓(xùn)兩個(gè)調(diào)皮搗蛋的弟弟,作為媽媽時(shí)必須細(xì)心照料這兩個(gè)孩子。
我不能辭去那名為“姐姐”的職務(wù)??粗蚱呷朔莸南匆伦鲲埗徽於紱]有休息的媽媽,只有我放棄職務(wù)什么的,不用想也知道那樣我會(huì)成為辜負(fù)一整個(gè)家的人。
吃飯的時(shí)候,位于媽媽旁邊時(shí),媽媽偶爾會(huì)撫摸我的頭。那是“姐姐”會(huì)被給予的唯一獎(jiǎng)勵(lì)。所以我時(shí)常會(huì)想,那真的是太好了。這也不過,是和主要矛盾相比較為瑣碎的事情。
忽那家全家出動(dòng)著手開始農(nóng)耕時(shí),我從不缺勤過。
在白天,越是工作,處在成長(zhǎng)期的身體就越是會(huì)消耗燃料,得罪肚子里的饞蟲。哥哥在飯桌上一定會(huì)再來上一碗飯,但我卻不被允許?!敖憬恪钡恼嬲膯栴}就在于此。
“因?yàn)槟泻⒆觽兲貏e能吃啊——”
用著像是從出生起就知道了一般的口吻,媽媽沒有對(duì)著任何人自言自語道。
因?yàn)槲沂墙憬?,所以男孩子們吃得越多,姐姐就越是必須要忍耐?/p>
確實(shí),我因?yàn)橛辛藘蓚€(gè)弟弟的緣故,被迫要忍耐的機(jī)會(huì)增加了。話雖如此,如果只是因?yàn)檫@樣就不能平等對(duì)待我的話,我的內(nèi)心還是會(huì)不服氣。但是,因?yàn)樵谘矍皨寢屢餐瑯尤棠椭?,所以我什么也沒有說。
只不過是些沒什么文化的農(nóng)民,但可能也正因如此,即便年號(hào)變成了平成,重男輕女的社會(huì)也還是在這里構(gòu)建了起來。
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■5
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那一天夜里,我在被褥中醒來。
從入睡開始還沒經(jīng)過多長(zhǎng)時(shí)間。
仿佛胃的周圍癟下去一般。挪開菊次郎的腳,推開菊太郎的手,我忽地?fù)纹鹆松习肷怼?/p>
“……肚子餓了?!?/p>
家里大家都睡著了。因?yàn)槊魈煲驳迷缙稹?/p>
雖然不知道肚子為什么會(huì)這么餓,明明平常都能忍住的,總之先起身去到有餐桌的房間。
當(dāng)然,餐桌上什么都沒有。月光透過被敞開著的拉門照進(jìn)來,金鈴子依舊鳴叫著。
一進(jìn)到廚房冰箱發(fā)出嗚嗚嗚的聲音運(yùn)作著。即便打開冰箱,里頭也沒有什么特別值得注意的東西。總之我先喝了杯牛奶,然后將杯子放到洗碗池里。
今早剛摘出來的蘿卜已經(jīng)啃完了。以前我也那么做過,了解到那樣吃蘿卜非常的辛苦。
坐在走廊上看著外頭,眼瞼漸漸地垂了下來。金鈴子悅耳的搖籃曲,以及秋季的夜風(fēng)沙沙沙地?fù)u晃著樹林。
聽到了一聲“嗝嗝——”,然后聽到了啪嚓的水聲。我揉了揉眼睛,穿上了涼鞋。
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來到眼前的水稻田,水的波紋擴(kuò)散開來。
一定是有青蛙在吧。水面上倒映著月光,我看到有很多黑色的小顆粒沉在水田的底部。
“魚子醬?!?/p>
剛記下來的單詞脫口而出。
雖然我知道那不并是高級(jí)食材而是青蛙的卵,但晚飯時(shí)電視上的影像卻在我的腦海當(dāng)中揮之不去。
夜風(fēng)再次吹拂,水稻搖曳著,與映照著的月光所不同的光亮出現(xiàn)在水面上。抬頭望向路對(duì)面的山,在那里亮著微弱的燈光。
肚子咕嚕咕嚕地叫著,我感到自己的肚子和我一時(shí)興起聯(lián)手在了一起。
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■6
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我并不覺得夜晚的森林有多恐怖。
因?yàn)樵揪褪巧嚼镩L(zhǎng)大的,一到夏天就會(huì)出來抓蟲子,這從小就是我的非常棒游樂園。
月光灑滿全地,即便天黑也能看得清清楚楚。因?yàn)樨堫^鷹鳴叫著(注:貓頭鷹用叫聲宣誓領(lǐng)土和驅(qū)趕小動(dòng)物),所以我知道這座山上沒有什么可怕的東西。
忘我地走著,眼前已經(jīng)能看到亮著燈的小屋。明明已經(jīng)這么晚了,卻還點(diǎn)著這么亮的電燈。
那間小屋雖然很小,但和就在旁邊的大房子還有走廊緊挨著。拿著托盤的老奶奶,走在那條走廊上。
托盤上有飯團(tuán)和碗還有……總之好像放著食物。
“這是夜宵。”那個(gè)老奶奶說著,把托盤放在門前后就原路返回了。老奶奶一走過去,走廊便嘎吱嘎吱地作響。
我稍微看了一會(huì)兒她走開的樣子。老奶奶沒有注意到我的樣子,就那樣進(jìn)入到家中。
我,肚子正餓著。
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■7
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走上跟前的走廊,沿著老奶奶走過的路前進(jìn)。在走廊的對(duì)面,小屋前放著食物。
我一踏出腳,走廊就嘎吱地響了起來。小屋前的熒光燈啪嘁啪嘁地,微弱地閃爍著。我的喉嚨變得干澀。
即便發(fā)出一點(diǎn)點(diǎn)聲響,也只會(huì)因?yàn)橹車唤^于耳的蟲鳴聲而掩蓋住,沒有絲毫的變化。
放心后,接下來下一步細(xì)心注意不讓走廊發(fā)出聲響。雖然吱吱地發(fā)出了細(xì)小的聲音,但并沒有影響到周遭。
味增湯里冒著熱氣。附上用海苔包住的飯團(tuán),還有看起來好好腌制入味的咸菜。
將流出來的口水滋溜地吸回去咽下,小心翼翼地伸出手。
背緊繃著。眼前的門輕輕地開了條縫,從里頭伸出的白手沒有發(fā)出聲響抓住了我的手腕。
“肚子餓了么?”
白手的主人,他的臉也被蒼白的皮膚所覆蓋,眼鏡后瞳孔的顏色淤塞渾濁。因?yàn)槟莻€(gè)白發(fā)蒼蒼的大人穿著白大褂,我想他一定是醫(yī)生先生吧。
因?yàn)槲也恢涝趺凑f謊,所以老實(shí)地點(diǎn)了點(diǎn)頭。沒有,發(fā)出任何聲音。
“這個(gè),想吃嗎?”
再一次點(diǎn)頭,醫(yī)生先生蒼白的臉上浮現(xiàn)出滿意的微笑。
“給你吃也沒關(guān)系的?!?/p>
“真的嗎?”
這時(shí)我終于發(fā)出了聲音。我為能治愈這空腹感到很高興。因?yàn)榈谝淮慰梢圆挥迷偃棠土恕?/p>
雖然是令人感到毛骨悚然的臉色蒼白的醫(yī)生先生,但是因?yàn)槭轻t(yī)生先生所以肯定很溫柔吧。什么嘛,沒什么好害怕的。
“啊啊,進(jìn)來吧。”
醫(yī)生先生拿著托盤進(jìn)到里面。
那個(gè)房間里有各式各樣的大型器械,不論哪個(gè)都是從來沒見過的東西。
房間的角落里堆滿了籠子,里頭的小白鼠在咔哩咔哩地?fù)现\子。
在后面關(guān)上門,只聽到咔嚓一聲上鎖的聲音,醫(yī)生先生又一次滿意地微笑起來。
“剛剛好需要。像你這樣的小孩……”

空腹サクラの場(chǎng)合
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■1
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「とーちゃーん!」
あたしがそれを掲げると、波打つウネの向こうで父ちゃんが曲げていた腰を伸ばした。
「見て! でっかい大根! 二股なの!」
「おー!」
向こうから歓聲が飛んできた。
「それは出荷には出せねえから、今夜の夕飯にでもすっかー!」
形の悪い大根は、業(yè)者が買い取ってくれないそうだ。同じ?jìng)幎韦胜榇螭い郅Δ盲胜韦摔?、あたしはその立派な大根を撫でて土を払った。
後ろからぬっと伸びてきた手が、あたしの大根を持ち上げた。
「おお、重い重い。こいつは立派だなぁ」
「兄ちゃん」
あたしよりも一足先に生まれた兄ちゃんは、いつの間にか見上げるほど背が伸びていた。
兄ちゃんの後ろから太陽が照らすから、その大きな黒い影を仰いだあたしは目を細(xì)めた。
「川村さんのとこから、今朝穫れた秋刀魚をもらってるからよ、とれたての大根で食ったらうめえぞ。醤油をちっと垂らすんだ」
あたしは返された大根を抱え直す。
「秋刀魚、いくつもらったの?」
「數(shù)えてねえからわかんねえけど、人數(shù)分はあるんじゃねえか?」
兄ちゃんを見上げたまま少しぽかんとしてから、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ、と指折り數(shù)える。
父ちゃんと母ちゃん、爺ちゃんに兄ちゃんにあたし、それに弟が二人だから……。
「ななつ?」
「そんくれえだ」
あたしが首を傾げている間に、兄ちゃんは収穫に戻っていた。
「サボってねえで働けえ」
遠(yuǎn)くから父ちゃんの聲が聞こえた。
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■2
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?「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ……」
なに回?cái)?shù)えても一緒だった。夕飯の食卓に上がったのは六尾の秋刀魚。
大根を摺り下ろすあたしの手が止まった。
「一匹足りない」
「足りなくないよ」
盆を持った母ちゃんが隣に來た。ご飯のお椀はちゃんと七つある。
「母ちゃんの分はいいから」
「だめ。母ちゃんは赤ちゃんの分も食べなきゃ」
母ちゃんの少し大きくなったお腹には、三人目の弟がいるのだ。
「あらあら、じゃあ誰かが我慢しなきゃいけないじゃない」
微笑みながら、母ちゃんは味噌汁を取りに臺(tái)所へ戻った。
あたしは再び大根を下ろす作業(yè)に戻った。テレビでは世界の珍味特集をやっていて、不気味な食べ物を美味しそうに食べる美人さんが映っていた。
「あんな黒いつぶつぶ、美味しいのかなぁ」
あたしがぼそりと呟くと、通りがかった兄ちゃんが足を止めた。
「兄ちゃん、あれ、鮫の卵なんだって」
「へえ。ヤギのフンかと思った」
率直な感想だった。高級(jí)なものらしいが、全然高そうに見えない。
「美味しいのかな」
その疑問を拭い切れなかったが、兄ちゃんは「美味そうに食ってるから美味いんじゃないの」と投げやりな答えで歩いて行った。
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■3
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始めに爺ちゃんが食卓の端につくと、それに釣られて続々と男たちが集まってきた。
末っ子の菊次郎が走ってきて、畳の上でコケた。一つ上の菊太郎がそれをからかうから騒がしい。
「今日は秋刀魚か」
爺ちゃんはぐい呑みに酒を注ぎながら、香ばしい匂いを漂わせる焼き魚をしばしばと見た。
「川村さんのとこのだって。一匹足りないの」
あたしは摺り下ろしたばかりの大根を爺ちゃんの秋刀魚の端にちょこんと據(jù)えた??栅い渴证蔷仗嗓蜻丹い皮?、泣き喚く菊次郎の首根っこを摑んで起こしてやる。
「今年は暑かったもんなあ」
爺ちゃんは自分の秋刀魚を見てから、さりげなく片眉だけを上げて母ちゃんの卓を見た。そこに秋刀魚はなかった。
「暑いと獲れないの?」
その問いに答えたのは後ろから來た父ちゃんだった。
「不漁になっちまうからな」
風(fēng)呂あがりの手ぬぐいを首から下げて、瓶ビールをコップになみなみと注ぐ。一口ちょうだいと兄ちゃんが橫から手を出すが、お前にゃまだ早いと父ちゃんはコップを遠(yuǎn)ざける。
「さ、食べましょうか」
最後にきた母ちゃんが腰を下ろしながらそう言うと、ちぐはぐな頂きますが鈴蟲の聲を掻き消した。
あたしは箸を持ったまま、自分の秋刀魚をじっと見つめる。焼きたての秋刀魚はまだ熱々で、絶妙な具合の焦げ目が食欲を挽き立てた。
みんなの前には一匹ずつあるのに、母ちゃんのところにだけない。
ごくりと唾を飲み込んでから、あたしは自分の秋刀魚を母ちゃんの前に押しやった。
「あら、桜?」
母ちゃんが目を丸くして、あたしは少し顔を伏せた。
「秋刀魚、嫌い」
「噓だー! 姉ちゃん、こないだ僕の分まで食べた!」
菊太郎がそう言うと、菊次郎まで「食べた!」と繰り返した。
「うるさい。菊次郎のは食べてないでしょ」
あたしが短く返すと、菊次郎は「そうだった」と言って黙る。
「ありがとうね。じゃあ、半分こしようか」
母ちゃんが綺麗に秋刀魚の半身だけ剝がしてこっちに寄越した。
別に、當(dāng)たり前のことをしただけだ。だってあたしは、お姉ちゃんだから。
あたしは摺り下ろした大根をたんまり乗せて、黙って秋刀魚を食べる。
大根だけはたくさんあった。
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■4
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あたしが生まれた時(shí)、あたしには兄がいた。
だからそれからの數(shù)年間は、あたしは忽那家の末っ子で、兄ちゃんの妹で、男臭いこの家での唯一の「女の子」だった。
わずかにしか覚えてないけれど、その時(shí)はたしかに可愛がられていたと思う。一身に愛を受けているだけで良かった。
だけどそれも、あたしに物心が芽生えるか芽生えないかのそんな時(shí)期に、母ちゃんのお腹が膨れるまでの話だった。
「桜、弟が出來るんだよ」
大きくなったお腹をさすりながら、母ちゃんは優(yōu)しくそう言った。
「それって、すてきなこと?」
あたしが一番下じゃなくなるのとか、今まで可愛がられるだけで良かったのにこれからはちがうのとか、そういった難しい質(zhì)問をどんな言葉にして尋ねればいいのかわからなかったし、仮に尋ねられるだけの言葉があるとして、それを口にしていいのかわからなかったから、あたしはそう訊くしかなかった。
「そうね、とっても素?cái)长胜长?。家族が増えるんだから?/p>
だから母ちゃんがそう答えたまさにその時(shí)、あたしは生き方を変えなければいけないと悟った。
あたしも誰かを可愛がらなければいけなくて、これからは兄ちゃんと同じ立場(chǎng)に立たなければいけない。決して深く考えたわけではないし、まだ考えられるような年頃でもなかったから、本能的に「弟ができるということ」を肌で感じたのだった。
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やがて菊太郎が生まれ、あたしは「お姉ちゃん」になった。それまで母ちゃんのことが大好きで、ことあるごとに抱きついていたが、彼が生まれてからはぱったりとそれをやめた。母ちゃんが新しい赤ん坊を抱いているのを見ると、あたしはやめざるをえなかった。それが我慢であるということを理解するのは、それからかなり後のことだ。
あたしが大好きな母ちゃん。そんな母ちゃんがとても大事にしている「彼」を、あたしが大事にしないわけにはいかなかった。その一年後、四人兄弟の末っ子である菊次郎も我が家に加わった。
あたしは彼らが大事だった。母ちゃんという反射板を経ての屈折した愛情ではあったが、それが愛情であることに噓偽りはなかった。
ただ、問題はあった。
ひとつに、我が忽那家は裕福な資産家の一族ではなく、きっと前世も江戸時(shí)代のくだらない百姓かなにかだったにちがいないと思うほど、至って普通の貧乏な農(nóng)家だった。家こそだだっ広いけれど、それは周りに建造物がなにもないど田舎だからだ。
そこに、七人家族の、しかも末っ子たちはまだ働き手にもならないような幼さだから、これまでの質(zhì)素な生活はさらに加速した。おまけに女二人に対して男五人なわけだから、一升炊いた米がその日のうちに底をつくなんていうこともざらだった。
もうひとつは、あたしがこの家で唯一の「お姉ちゃん」であること。なによりこれが、あたしの想像を裏切るほどに重い枷だった。
當(dāng)初、あたしは兄ちゃんと同じような役回りになるんだと思っていた。兄ちゃんがあたしを妹として可愛がるのはまさに一緒にいる時(shí)だけで、兄ちゃんの見たいテレビがある時(shí)とか、兄ちゃんがなにかと戦うようにご飯を掻き込む時(shí)とかは、妹という存在が彼の頭の片隅にさえ存在していなかった。兄ちゃんの都合によってあたしは彼の可愛い妹であったし、また同じようにしてそうでなかったりした。
でも「お姉ちゃん」はちがうのだ。
あたしに與えられた「お姉ちゃん」のお仕事內(nèi)容は、つまるところ姉であり父であり、そして母であることだった。
姉として可愛がり、父としてやんちゃな弟二人を叱り、母として子供二人の面倒を見なければいけなかった。
その「お姉ちゃん」という役職を辭任するわけにはいかなかった。七人分の炊事洗濯で一日中休まることのない母ちゃんを目の前に、あたしだけ職務(wù)放棄するなんて、それが一家の裏切り者になることは考えずともわかった。
ご飯の配膳の時(shí)、母ちゃんの隣に立つと、たまに母ちゃんは頭を撫でてくれた。それは「お姉ちゃん」に與えられた唯一のご褒美だった。だから、それは良かった。これも、本題に比べれば些細(xì)なことだ。
忽那家では家族総出で農(nóng)業(yè)に取り掛かり、あたしはそれを欠かしたことはなかった。
日中、働けば働くほど、育ち盛りの身體は燃料を消費(fèi)して、腹の蟲は機(jī)嫌を損ねるのだ。兄ちゃんは、食卓では必ずご飯をおかわりするけど、あたしにそれは許されなかった?!袱獖棨沥悚蟆工伪井?dāng)の問題はこれだった。
「男たちはよく食べるからね」
生まれた時(shí)から知っていたかのような口ぶりで、母ちゃんは誰に向けるでもなくそう言った。
あたしはお姉ちゃんだから、男たちがよく食べれば食べるほど、お姉ちゃんは我慢せねばならなかった。
たしかに、あたしは弟二人が出來たことによって、我慢を強(qiáng)いられる機(jī)會(huì)は増えた。それにしても、これだけは対等ではないと、腹の內(nèi)では不服を抱えていた。でも、目の前で同じように我慢をしている母ちゃんがいるから、なにも言えなかった。
ただのどん百姓のくせに、だからこそかもしれないけど、平成という元號(hào)になってもまだ、男性優(yōu)位の社會(huì)がここに築かれていた。
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■5
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その日の夜、あたしは布団の中で目を覚ました。
まだ眠りについてからいくらも経ってない。
まるで胃のあたりがへこむようだ。菊次郎の足をどかして、菊太郎の手を押しやって、むくりと上半身を起こした。
「……お腹減った」
家族はみんな寢ていた。明日の朝も早いからだ。
どうしてこんなにお腹が減るのかわからないけれど、いつもなら我慢できるのに、とにかく食卓のある部屋まで起きて行った。
當(dāng)然、食卓にはなにもない。開け放たれた障子から月の明かりが差し込んでいて、鈴蟲はまだ鳴いていた。
臺(tái)所へ行くと冷蔵庫が唸っていた。開けても中に目ぼしいものはなにもない。とりあえず牛乳を一杯飲んで、コップを流しに置いた。
今朝穫ったばかりの大根をかじるのはよしておいた。それは前にもやって、辛いだけだと知っていた。
縁側(cè)に腰掛けて外を見ていると、少しずつまぶたが下りてきた。鈴蟲の心地よい子守唄と、秋の夜風(fēng)がさあっと木々を揺らした。
げこ、と一つ聞こえて、それからぽちょんと水の音がした。あたしは目をこすって、サンダルを履いた。
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目の前の田んぼに行くと水の波紋が広がった。
きっと蛙がいたのだろう。水面に月が映っていて、その底に黒いつぶつぶが沈んでいるのが見えた。
「きゃびあ」
ぽつっと覚えたての単語が口をついた。
それが高級(jí)珍味ではなく蛙の卵だって知っていたけれど、夕飯時(shí)のテレビの映像が頭から離れなかった。
また夜風(fēng)が吹いて稲が揺れると、寫り込んだ月とはちがう明かりが水面にあった。道の向こうの山を見上げると、一點(diǎn)の明かりが燈っていた。
お腹がぐぐうと鳴いて、それがあたしの興味と手を繋いだ気がした。
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■6
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夜の森を怖いと思ったことはなかった。
もともと山育ちだし、夏になれば蟲取りに出かけるし、小さい頃からあたしの立派な遊び場(chǎng)だった。
そこらじゅうに月明かりも照るから、暗くてもよく見える。ふくろうが鳴いてくれるから、この山になにも怖いものがいないとわかる。
夢(mèng)中で歩いていると、もう目の前には明かりのついた小屋が見えていた。こんな遅くだというのに、まだ煌々と電気をつけている。
その小屋は小さいけれど、すぐそばの大きな家と廊下で繋がっていた。その廊下を、お盆を持ったおばあさんが歩いている。
盆の上にはおにぎりとお椀と……とにかく食べ物が載っているようだった。
お夜食です、とそのおばあさんは言って、扉の前にお盆を置いて引き返した。おばあさんが歩いて行くと、ぎいい、ぎいいと廊下が軋んだ。
あたしはそれをしばらく見ていた。おばあさんはあたしに気づかない様子で、そのまま家の中へと入ってしまった。
あたしは、お腹が減っていた。
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■7
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手前の縁側(cè)に上り、おばあさんが歩いていた道を辿った。廊下の向こう、小屋の前には食べ物が置いてある。
あたしが踏み出すと、廊下がぎい、と鳴った。小屋の前の蛍光燈がパチンと弱く點(diǎn)滅する。喉がからからになった。
少ししても、辺りの蟲の聲が鳴り続けているだけでなにも変化はなかった。
安心して、それから次の一歩は廊下が鳴らないように細(xì)心の注意を払った。ぎ、ぎ、と小さな音はしたが、辺りに響くほどではない。
お味噌汁から湯気が立っていた。海苔で巻かれたおにぎりと、よく味の染みていそうなお新香が添えられている。
滲んできたよだれをごくりと飲み込み、そっと手を伸ばす。
背筋がぴんと張り詰めた。目の前の扉がススッと開くと、中から白い手が音も無くあたしの腕を摑んだ。
「お腹が減っているのかい」
白い手の主はその顔も白い肌で覆われていて、眼鏡の奧の瞳の色は淀んでいた。その白髪交じりの大人は白衣を著ていたから、きっとお醫(yī)者様なんだと思った。
あたしは噓をつくことを知らなかったから、正直にこくりと頷いた。聲は、出なかった。
「これ、食べたい?」
また頷くと、お醫(yī)者様は白い顔でにんまりと微笑んだ。
「食べていいから」
「ほんとう?」
その時(shí)やっと聲が出た。この空腹を癒せることが嬉しかったんだと思う。我慢しなくていいのは初めてだったから。
不気味な白さのお醫(yī)者様だけど、きっとお醫(yī)者様だから優(yōu)しいんだ。なんだ、怖がらなくてよかった。
「ああ、お入り」
お醫(yī)者様がお盆を持って中に入れてくれた。
その部屋の中には大きな機(jī)械が色々あって、どれも見たことのないようなものばかりだった。
部屋の隅にはケージが積み上げられていて、中で真っ白なネズミがケージをカリカリと掻いていた。
後ろで扉が閉まり、カチリと鍵のかかる音が聞こえて、お醫(yī)者様はまたにんまりと微笑んだ。
「ちょうど、欲しかったんだ。君みたいなのが」