力太郎
むかしむかし、あるところに、お風(fēng)呂に入った事のない、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんとおばあさんには、子どもがいません。
ある日の事、おじいさんとおばあさんは、初めてお風(fēng)呂に入りました。
すると、アカの出ること出ること。
あんまりたくさんのアカがたまったので、おばあさんはこれで赤ちゃんの人形を作りました。
「ああ、この子が、本當(dāng)の人間だったらいいのに」
おばあさんがそう言うと、不思議な事にアカで出來た人形が動き出して、人間の赤ちゃんになってしまったのです。
「ありがたい、ありがたい。これは、神さまが授けてくださった子だ」
おじいさんとおばあさんは喜んで、この赤ちゃんを『力太郎』と名付けて大切に育てる事にしました。
さてこの力太郎、赤ちゃんなのに大変な大食らいで、ご飯を食べさせれば食ベた分だけ大きくなりました。
そして十五才の頃は、名前の様に村一番の力持ちに育ちました。
この頃、おじいさんおばあさんはとても年を取ってしまったのであまり働く事が出來ず、力太郎に腹一杯のご飯を食ベさせてやる事が出來なくなりました。
「どうしたものか」
おじいさんとおばあさんが悩んでいると、力太郎が言いました。
「おらは、旅に出る。だから、百貫?zāi)?ひゃくかんめ→約375㎏)の鉄の棒をつくってくれ」
おじいさんが百貫の棒をつくってやると、力太郎はそれをブンブン振り回して旅に出ました。
しばらく行くと、大男が巖をげんこつで砕いて人を集めています。
「わはははははっ、おれは天下一の力持ちだ。どうだ、おれと力比べをする者はいないか」
それを聞いた力太郎は、巖割り男に力比ベを申し出ました。
「おらの鉄棒を三回半振り回せたら、お前の子分になろう。どうだ?」
「いいだろう。出來なければ、おれがお前の子分になってやる」
巖割り男は鼻で笑って鉄棒を手に取りましたが、力太郎の鉄棒はとても重くて、どんなに頑張っても一振り半しか回せません。
そこで石割り男は、力太郎の子分になりました。
二人が旅を続けていると、お堂を背中に背負っている男に出會いました。
「おれは天下一の力持ちだ。おれと力比べをする者はいないか」
力太郎は、この男にも力比べを申し出ました。
「おらの鉄棒を三回半振り回したら、お前の子分になるぞ」
「はん。そんな事、たわいもないわ」
お堂を背負っている男は、鼻で笑って鉄棒を手に取りましたが、どんなに頑張っても、二振り半しか回せません。
そこでこの男も、力太郎の子分になりました。
三人がしばらく行くと、人影のない村で娘が一人で泣いていました。
「どうした? 何かあったのか?」
力太郎が尋ねると、娘が泣きながら答えました。
「実はこの村には、毎晩化け物がやって來て、村人を一人ずつ飲み込んでしまうのです。村のみんなは化け物に飲み込まれてしまい、殘ったのはわたし一人なのです」
「なんだ?;蔽铯椁ぁⅳ椁郡沥浃盲膜堡皮浃?/span>」
力太郎はそう言うと、娘にたくさんのおにぎりを作らせて、それをパクパクと食べながら化け物が現(xiàn)れるのを待ちました。
夜中になって現(xiàn)れたのは、家よりも大きなウシガエルです。
「まずは、おれがやってやろう」
はじめに巖割り男が立ち向かいましたが、ウシガエルの化け物は大きな口を開けると、巖割り男をパクリと飲み込んでしまいました。
「今度は、おれだ」
次にお堂男が飛び出しましたが、お堂男もパクリと飲み込まれてしまいました。
「よし、最後はおらが相手だ! 百貫?zāi)郡吴煱簸蚴埭堡皮撙恚?/span>」
力太郎は鉄棒をブンブンと振り回すと、ウシガエルの化け物の頭に鉄棒を振り下ろしました。
これにはさすがの化け物もたまらず、白目をむいてひっくり返りました。
力太郎はひっくり返った化け物の腹の上に飛び乗ると、腹をドンドンと踏みつけました。
すると化け物の口から、これまで飲んだ人たちが次々と飛び出してきたのです。
こうして化け物をやっつけた力太郎は娘を嫁にもらうと、おじいさんとおばあさんを山奧から呼び寄せて、村人たちがお禮にと運んで來るご飯をたらふく食べながら幸せに暮らしたということです。
おしまい